あらゆるビジネスシーンの中でも、特にサービス業は直接お客様と顔を合わせ、言葉を交わす業界ですから、言葉遣いにも十分な配慮が必要ですよね。
間違った言葉遣いをしてしまうと、即それが命取りになり「接客がなってない!」「不快な思いをさせられた、感じが悪い!」とたちまち悪評が流れてしまいます。ですから、言葉遣いの間違いには、上司はもとよりお客様からも厳しい指摘を受けて当然と言えるでしょう。ビジネスシーンでは、言葉遣いがその人の印象を大きく左右してしまうものなのです。
最近では若者のみならず、あらゆる年齢層の人達の間でも、本人が気付いていない言葉の乱れが社会問題にもなりつつあります。そこで今回は接客業に従事する人なら注意したい間違えやすい5つの言葉遣いについてお伝えします。
接客業は要注意!
間違えやすい5つの言葉遣い
「ら」抜き言葉や「さ」「れ」入れ言葉
最近では、この言葉遣いをする方のほうが多くなってきているのではないかというほど、一般的に耳にする言葉遣いになってきています。
そもそも「ら抜き」言葉とはどんなものをいうのか。『できる』などの可能を表す表現をする際に「ら」を抜いてしまう言い方を指します。
例えば「食べられる」を「食べれる」、「見られる」を「見れる」など。言われてみると、確かについ日常生活の中で使っていたなんて気付く、誤った言葉遣いですよね。
これは元々は「られる」を尊敬語として用いているのが間違いやすい原因と考えられます。この様な言葉遣いを接客のシーンで使用することはあまりないとは思いますが、日常使用している言葉はふとした時につい出てしまうものですから、充分気を付けましょう。
また、実際に起こりがちなのが、「人に~をやらせる」の動詞を変換するときに「させる」としてしまう「さ」入れ言葉。「一生懸命やらせていただきます」というところを「一生懸命やらさせていただきます」といってしまうことは誤りです。
「さ」入れは改まった場で使われることが多いため、敬語と混同して間違って使う人が多いようです。例えば「走る」「読む」「通る」の変換は「走らせる」「読ませる」「通らせる」は正解ですが間違うと面倒なことになりますね。
「れ」入れ言葉にも時折出合う事があります。「○○時には伺えると思います」とするところを「○○時には伺えれると思います」や「行けます」を「行かれます」など。意外に普通に使っているものではないでしょうか。可能を表す言葉と尊敬を表す言葉の言葉遣いとしての違いを正しく覚えないと、接客のシーンで思わぬ誤解が生じることもあるのです。
「○○になります」「○○のほう」はNG
お会計の際によく起こりうる間違った言葉遣いとして「500円になります」や「おつりのほうになります」などがあげられます。
同様に、飲食店などでお客様にメニューをお渡しするときにも、似たような間違った言葉遣いをしている接客業従事者は多いものです。
「メニューになります」「メニューのほうご覧ください」など、丁寧に言っているつもりかもしれませんが、実はその必要はなく「500円です」などのように言い切る形が正しい言葉遣いです。
「申し訳ございません」はNG
お客様に謝罪する際には当たり前に使用してしまっている「申し訳ございません」は、実はNG言葉遣いなのです。正しくは「申し訳ありません」です。
これには異論を唱えたくなりますが、その理由を聞けば確かに納得です。そもそも「申し訳ない」で一つのお詫びを表す単語になり「申し訳」自体が否定形の単語ではないので、注意が必要なのです。
しかし、慣れないうちはどうしても「申し訳ございません」が丁寧で「申し訳ありません」は若干横柄に感じてしまい多くの方が違和感を感じがちです。
そんな時に少し丁寧さをプラスしたいと思うのならば「大変申し訳ありません」「本当に申し訳ありません」のように、その程度の大きさを表す言葉を付け加えると、正しい言葉遣いが実感できるでしょう。
取り次ぎ言葉「お待ちください」
電話対応での取り次ぎや順番待ちなどで使う接客用語で「少々お待ちください」というシーンは多々あります。全く違和感なく使うこの接客用語ですが、実はお客様に対しては少々上から目線であるということは、あまりご存知ないでしょう。
「お待ちください」という言葉遣いは、お客様に対する命令口調になってしまうため、気をつけるべき言葉のひとつなのです。
「ください」と言っているのだからお願しているのでは?と感じますが、本当に丁寧に言うなら「少々お待ちいただいてよろしいでしょうか?」「少々お時間いただいてよろしいでしょうか?」となるのが正しい言葉遣いになります。
お礼の言葉への返し「とんでもございません」
お客様からお礼の言葉をいただいて、つい「いえいえ、とんでもございません」と応答してしまうことがありますよね。
実は、これは誤った接客用語です。「ありがとう。助かりました」という一言に「とんでもございません」と答えることが何故いけないのかというと、その言葉の元の言葉「とんでもない」で1つの単語だからです。
厳密に言えば「ある、ない」の使い分けができない言葉というわけです。正しくは「とんでもないことでございます」となるのですが、正直なところそれでは少し違和感があると感じる方も多いでしょう。
しかし、正しい接客用語として言えば、それが正解ということですので、インプットしておいてください。
いかがですか。以上が接客業の現場で特に注意すべき間違えやすい5つの言葉遣いでした。特に大切なお客様との対話のシーンでは『敬語』を積極的に使いたいところですが、正しい知識を持たず何となく使ってしまうと、意外なところに落とし穴があるものです。
日本語は実に難しいものですが、正しい言葉遣いが身についているだけで、接客の場面では同じ行動をしていても倍以上の印象アップ効果があります。
逆にいえば、どんなに気の利いた接客が出来ている店員さんだとしても、言葉遣いに間違いがあれば、それだけでお客様に不快感を与え、評価を下げられてしまう方もいるということになります。
ぜひ正しい言葉遣いを身につけて、気持ちのよい接客を心掛けるようにしましょう。
まとめ
接客業の間違えやすい言葉遣いとは
・「ら」抜き言葉や「さ」「れ」入れ言葉
・「○○になります」「○○のほう」はNG
・「申し訳ございません」はNG
・取り次ぎ言葉「お待ちください」
・お礼の言葉への返し「とんでもございません」