訃報の文例集。わかりやすくスマートに伝わる書き方のコツ

訃報の文例集。わかりやすくスマートに伝わる書き方のコツ
訃報は突然飛び込んできますよね。急いで情報を取りまとめ、社内はもちろん取引先にも通知しなくてはいけません。この場合、総務部や人事部が担当するのが一般的ですが、同じ部署の事務担当者に直接役目が回ってくる時もあるので、あらかじめ訃報の書き方や文例を押さえておくに越したことはありません。そして担当に指名されたら大変です。

亡くなったのが会社の社員なのかそれとも家族の方なのか、通夜や葬儀の日付などの情報を正確に把握する必要があるし、社内向けの訃報と社外用では書き方も違います。それと訃報は時間との勝負。通知するタイミングは当然葬儀前日までが基本ですが、亡くなってから葬儀の日までの日数は限られていることが多く、書き方に迷っている暇はありません。

そこで今回は社内宛や社外宛などさまざまなケースに分けて、相手にわかりやすくスマートに伝わる訃報の書き方のコツを文例を交えながらご紹介していきます。いざという時に慌てないためにもぜひご覧下さい。

ちなみに、訃報を作成するにあたっては社内用、社外用など書き方に若干の違いがありますが、共通して伝えなくていけない内容は次の通りです。

・いつ誰が亡くなったのか
・通夜、葬儀の日時、場所
・葬儀の形態(仏式、神式など)
・喪主の氏名、連絡先

それではこれから、いくつかのケースに分けて訃報の文例をご紹介します。

社員のお父様が亡くなられたことを社内に知らせる訃報

社員各位                  平成○○年○月○日
○○株式会社 総務部総務課
訃 報

業務部業務課○○様のご尊父(※1)○○様には長らく病気療養中であられましたが、○月○日午後○時○分心不全のため享年(※2)80歳で永眠されました。

ここに心から哀悼の意を表すとともに謹んでお知らせ申し上げます。なお、通夜及び葬儀、告別式は仏式にて下記の通り執り行います。

一、通夜(※3)    ○月○日(水) 午後 ○時より○時
一、葬儀、告別式  ○月○日(木) 午後 ○時より○時
一、住所        住所、連絡先電話番号を記載(※4)

※1.訃報の際に使う続柄の記載のしかたに注意してください。

・父→ご尊父
・母→ご母堂
・奥様→ご令室
・兄→ご令兄
・弟→ご令弟
・姉→ご令姉
・妹→ご令妹
・息子→ご令息
・娘→ご令娘

※2.享年「きょうねん」と呼びますが、生まれた年を一歳とする数え方で、お正月を迎えるごとに一つ歳を足していきます。ただ最近はプライバシーという観点から歳の記載を省略する場合がありますので遺族への確認が必要です。

※3.通夜がご自宅の場合は「通夜は○月○日自宅にて執り行います」などと特記し、住所と連絡先電話番号を添えてください。

社員の訃報を社外に通知することの重要性と文例

社葬はその会社にとって大きな儀式ですが、社外的には自社の思いがけない事態への危機管理能力を評価される重要な場面です。もしも各取引先や会社OBなどへの訃報が徹底されていない場合、不信感を招きかけませんので、葬儀担当者には抜けのないしっかりとした対応が求められます。以下文例をご紹介します。

平成○○年○月○日
株式会社○○御中                     ○○株式会社
代表取締役○○○○

訃 報

弊社取締役営業部長○○○○儀。かねてより病気療養中でありましたが、○月○日午後○時○分、○歳にて永眠(※1)いたしました。

ここに生前のご厚誼に深く感謝いたしますとともに謹んでご連絡申し上げます。
つきましては通夜ならびに葬儀告別式を下記日程にて執り行いますので合わせてお知らせ申し上げます。

一、通夜      ○月○日(水) 午後 ○時より○時
一、葬儀、告別式  ○月○日(木) 午後 ○時より○時
一、場所      ○○斎場(住所、電話番号、地図などを記載)
一、喪主      ○○○○(長男)
一、担当連絡先   総務部総務課(電話番号を記載)

なお、誠に勝手ながらご供花、ご供物、ご香典の儀は固くご辞退申し上げます。

家族が亡くなったことを会社に報告する訃報の文例>

社員の家族が亡くなった場合、小さな会社であれば上司に口頭で報告すれば済むことですが、慶弔休暇が認められている会社であれば手続き上書類が必要になりますので書面で訃報を報告するのが一般的です。以下文例をご紹介します。

平成○年○月○日
業務部業務一課長○○○○殿

父が病気療養中の処、他界いたしましたので以下ご報告申し上げます。

死亡者氏名 年齢 ○○○○享年80歳
死亡日時     平成○年○月○日 午後○時○分
続柄       父
死因(※1)
通夜       平成○年○月○日(水) 午後六時より
葬儀告別式    平成○年○月○日(金) 午後一時より二時まで
場所       ○○斎場(住所、電話番号を記載)
仏式       浄土宗
喪主       ○○○○(長男)(※2)
備考       就業規則第○○条により○月○日から○月○日の7日間
慶弔休暇(※3)を申請させていただきます。

連絡先 業務部業務一課○○○○
電話番号(自宅の電話や携帯の電話番号、メールアドレスなど)
自宅住所

※1.死因はプライバシーの観点から、または死亡年齢が若かった場合などは記載する必要はありません。
※2.喪主の氏名は必ず記載してください。なぜなら訃報を提出した人が喪主とは限らないからです。また出席者が斎場に弔電や花束などを手配する際に喪主の氏名が必要になります。
※3.慶弔休暇は義務付けされた制度ではないので、申請の際は確認が必要です。

家族葬の場合の訃報の文例(社内文書)

以前は参列者が100人を越える葬儀は普通でしたが、最近では本人や家族の希望で親戚やごく親しい友人だけで執り行う家族葬が増えてきました。

ですから亡くなった後に無防備に会社や友人に連絡をとってしまうと、小さな葬儀のはずが大混乱になることも考えられます。ですから家族葬を執り行う場合はあらかじめ訃報を通知する人を絞り込んでおく必要があります。それでは、社内向けの訃報の文例をご紹介します。

平成○年○月○日
社員各位                          株式会社○○
総務部総務課

訃 報

営業部部長○○様のご尊父○○様には病気療養中の処、薬石効なく(※1)○月○日午後○時○分享年90歳で永眠されました。

ここに心から哀悼の意を表すとともに謹んでお知らせ申し上げます。
ついては通夜及び葬儀告別式は故人の意思、ご家族の意向として家族葬にて執り行うとのことですので
ご会葬およびご厚志(※2)につきましてもお控えいただきますようお願い申し上げます。

なおご家族葬とのことですので葬儀の日時、場所等の記載はいたしませんのでご了承ください。

※1.薬石効なく、とは色々な薬や治療のことで、この場合は「色々な薬や治療のかいもなく永眠されました」の意味です。
※2.厚志→香典、供花、お供物のこと。

家族葬の場合の訃報の文例(会社への報告)

家族が亡くなったことを会社に報告する訃報の文例ですが、家族葬のため会葬をお断りする内容です。

平成○年○月○日
業務部業務一課長○○○○殿

父が病気療養中の処 他界いたしましたので以下ご報告申し上げます

死亡者氏名 年齢  ○○○○享年80歳
死亡日時      平成○年○月○日 午後○時○分
続柄        父
通夜        平成○年○月○日(水) 午後六時より
葬儀告別式     平成○年○月○日(金) 午後一時より二時まで
場所        ○○斎場(住所は家族葬のためあえて書く必要はありません)
喪主        ○○○○(長男)
備考        就業規則第○○条により○月○日から○月○日の7日間
慶弔休暇を申請させていただきます。

この度の葬儀は亡き父の生前の意志により家族葬にて執り行いますのでご厚志につきましては失礼ながらご辞退させていただきます。
皆様にご迷惑をおかけしますが、私どもの気持ちをお汲み取りいただきご配慮ほどよろしくお願いいたします。

連絡先 業務部業務一課○○○○
(電話番号、メールアドレスなど)

さて、備えあれば憂いなしと申しますが、訃報の書き方はいざという時に慌てないために、また社会人マナーとしても覚えておいたほうがよさそうですね。もちろん葬儀の担当に任命された場合は、不幸のあった社員から話を聞いて訃報を作成しなくてはいけませんが、その報告は本人にとっては悲しい出来事です。

頭が混乱して訃報に記載すべき死亡時間や死因を思い出せないかも知れません。そんな時はその人の気持ちを思いやって、今回ご紹介したような文例にこだわることなく文章を成立させてください。

また、家族葬を執り行うにあたっての問題点は、葬儀が終わってから亡くなったことを知った人達が後から自宅に尋ねて来て遺族に負担がかかること。

さらに「どうして、知らせなかった」とお叱りを受けることなどですが、これらは全て家族葬で執り行うという連絡が行き届いていなかったために起るトラブルです。したがって、家族葬の場合は特に訃報が重要なのです。以上、わかりやすくスマートに伝わる訃報の書き方のコツをお伝えしましたが、少しでもみなさまのご参考になりましたら幸いです。


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