焼香の仕方が解らなくて緊張した、という経験がある人はたくさんいますよね。そんな人は、自分の番が回ってくるまで心臓がドキドキして、とりあえず前の人を真似してその場を乗り切ったのではないでしょうか。昔は大家族が普通だったので、葬儀に参加する機会も多く、焼香の仕方は親や兄弟が教えてくれました。しかし、今は核家族の時代。大人になって初めての法事に参加する、なんていう方も多いでしょう。誰にもに教わってないのなら焼香の仕方を知らないのは当然です。
とはいえ、大勢の人が参加している法事の場で恥をかくような仕草はできません。焼香の仕方は宗派によっても少しづつ違っています。前の人がやった手順が正しいとは限りません。マナーを守りつつ、正しい手順で亡くなった方のために焼香したいものです。そこで今回は、宗派によっても違う、正しい焼香の仕方についてお伝えします。
焼香の仕方。
その場で戸惑わないための5つの手順を確認
焼香は葬儀の重要な行為
焼香とは、亡くなった方やお墓の前でお香を焚いて拝むことです。元々は古代インドの風習だったもので、仏教といっしょに中国を経て、平安時代に日本に伝わったとされています。昔は、海外からもたらせる香木を小さく削って、香炉で焚いていました。今でも葬儀では、四角い香炉で焚くのが一般的です。なお、お線香で省略するケースもあります。
葬儀や法事などお坊さんにお経を唱えてもらう際には、参列者が焼香を行うのがマナーです。セレモニーホールでの葬儀では司会の方が、また、お寺での葬儀ではお坊さんから、焼香をと案内してくれます。そして、それに従って、親族の方から順に行っていきます。焼香の仕方が解らないからと、ここで遠慮してはいけません。それは亡くなった方に失礼なことです。亡くなった方のために、心をこめて焼香を行いましょう。
正しい焼香の手順とは
参列者による焼香は、葬儀での重要なイベントです。正しい焼香の仕方で、亡くなった方の冥福を祈りましょう。
正しい焼香の手順は次のとおりです。まず、自分の順番が来たら、焼香台まで移動して、遺族に一礼します。そして、遺影に向かって一礼します。焼香台には、四角の香炉台が置いてあります。その台から抹香を右手の親指・人差し指・中指の3本の指でつまみ、額の高さまで持ち上げます。そして、香炉台の炭の上にくべてお香を焚きます。これを、1回から3回行います。なお、この回数は宗派によって違います。そして、合掌し、亡くなった方の冥福を祈ります。最後に、遺族に一礼して自分の席に戻ります。
なお、焼香で合掌する際には、数珠をいっしょに持ちます。式典が始まったら、手に持って用意しておきましょう。また、合掌する際、音を出してはいけません。そして、参列者が多い場合は、回数を省略して、できるだけ短い時間に済ませるのがマナーです。
焼香の仕方は宗派によって違う
焼香の仕方でも差が出やすいのが、抹香をおしいだく回数で、これは宗派によって違います。参列者の多くが3回やっているのに、1回ですます人や、2回だけという人もいるかもしれません。この回数は、自分の家の宗派に合わせて行うのがマナーです。亡くなった方の宗派とは関係ないので、参列者によって回数が違ったりするのです。
焼香の仕方を正しく行うために、自分の家の宗派を確認しておきましょう。まずは父親か夫の父親に聞くのが一番です。詳しいやり方は、父親も知らないかもしれません。しかし、菩提寺さえ解れば、宗派はわかります。自分の家の菩提寺の住職に、詳しい焼香の仕方を教えてもらうのもおすすめです。大抵の住職は、檀家からの質問には丁寧にわかりやすく答えてくれます。
こんな時は1回で
焼香の仕方が宗派によって決まっているからと言って、何が何でもそのとおりやる、ということではありません。場合によっては、回数を省略しても構いません。
セレモニーホールなど広い場所では、基本通りに行うのがマナーです。しかし、狭いお寺の本堂で葬儀を行う場合など、焼香がやりにくい場合があります。そんな場合は、回し焼香といって、四角い焼香台を参列者で回して焼香を行うこともあります。そんな場合は、早めに次の方に回すのがマナーです。3回または2回やるところを1回に省略しても構いません。
また、参列者が多く、式典の時間内に参列者全員が焼香できないこともあります。そんな場合は、司会者またはお坊さんから、早めに焼香を行うよう促すこともあります。そんな時も、1回で済まして進行に協力してあげましょう。
お線香で代用することも
本来ならお焼香を行うケースでも、お線香で代用することがあります。例えば、お通夜の法要では通常は焼香を行いますが、お坊さんが間に合わない場合は、お線香で省略します。そんな場合も、焼香の仕方と同じように、宗派によってやり方に違いがあります。もちろん、正しいやり方で行うのがマナーです。
法事や法要でお線香を立てる行為は、略式の焼香が一般に普及したものです。焼香の仕方は宗派によって回数が違っていましたが、お線香の場合はもっと複雑です。禅宗や浄土宗では1本だけ、または、3本まとめて立てますが、浄土真宗では1本の線香を2,3本に折って寝かせるのが正しいやり方です。さらに、地方によっては、お線香を寝かせるというのもあります。このやり方も、機会があれば父親などに確認しておきましょう。
いかがでしたか。宗派によっても違う、正しい焼香の仕方についてお伝えしました。急に通夜や葬儀に参列することになっても慌てないために、事前に準備しておくことをおすすめします。特に、焼香の仕方は宗派によっても少しずつ違います。機会があれば、詳しく確認しておくと良いでしょう。併せて服装や持ち物はもちろん、基本的なマナーについても確認しておくと安心です。また、葬儀に数珠は欠かせませんが、宗派によっては、数珠の形も決められています。焼香の仕方といっしょに、そういったことも調べておきましょう。
葬儀は、亡くなった方のことを思い、冥福を祈る場です。焼香の仕方が解らなくて緊張した、なんてことにならないよう、社会人のマナーとして覚えておきましょう。
まとめ
焼香の仕方で迷わないために覚えておきたい手順とは
・焼香は葬儀の重要な行為、正しく行いましょう。
・正しい焼香の手順を覚えましょう。
・焼香の仕方は宗派によっても違うので確認をしましょう。
・時間が無い時は早く済ますのがマナー。
・焼香をお線香で代用することもあります。