突然のご不幸で葬儀と同時に大事なのが納骨の準備ですが、実際に経験しなければ納骨の費用や時期などについての詳しい知識はなく、よくわからないとおっしゃる方も少なくないでしょう。
大切な人とのお別れは言葉にならないほど哀しいものです。しかし、ご遺族はそんな哀しみに暮れる時間もないほど、次々とやらなければいけないことがあり、立ち止まることも許されないのが現実です。
冠婚葬祭の中には、様々なマナーやルールなど守るべき決まり事が多いのですが、実際には当事者になってみなければ分からないことばかりです。最近では、葬儀社が一連の流れをレクチャーしてくれますが、納骨に関してはセレモニーとは少し性質が異なりますから、その費用や流れについては事前に知っておく必要がありそうです。
そこで今回は、納骨の費用や時期、手順についてお伝えします。
お寺に法要の依頼、費用はお布施と塔婆
お墓を既にお持ちの方、これからお墓を建てる方、納骨の費用についてはそれによって大きく違います。
既にお墓をお持ちなら、まずは、納骨の手順の第一歩として納骨の前に四十九日の法要を行うとすればお寺に事前連絡を入れ、日程を決めます。一般的には家族や親戚が集まりやすい土日を希望する方が多いので、法要の予約が取りづらい場合もあります。
日程の候補が決まったら、なるべく早めに寺に相談し、同時に塔婆が必要な場合も相談します。
さて、肝心の納骨の費用ですが、寺へのお布施として約30,000円~50,000円が必要です。これは、開眼法要や回忌法要もされる場合、それらを合わせて包むことになります。
また、塔婆をたてる場合には、塔婆の費用として1本あたり約2,000円~5,000円ほど。塔婆の用意と金額については事前に寺に確認します。
そもそも、基本的に納骨の時期については、厳密にいつまでという決まりはありません。【墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)】でも納骨時期の規定はありません。
一般的には、お墓をお持ちの方は四十九日の法要当日に合わせて納骨する場合が多く、四十九日の忌明けの法要で親族が集まり、お坊さんの読経後、納骨式も続けて行うという流れです。また、場合によっては火葬を終えた当日に納骨する場合もあります。
その他、気持ちの整理がつかない、お墓が決まらないなどの理由で数年間自宅に御遺骨を置いておく方もいらっしゃるという位、納骨の時期は様々です。
新たにお墓を建てるという場合には、建墓までに2~3ヶ月かかってしまうため、四十九日は法要のみ行い、一周忌、或いは、お彼岸や初盆といった節目に納骨することもあります。
石材店に字彫り、納骨作業を依頼
墓石に戒名やお名前を新たに彫る場合には、石材店への依頼が必要になります。数日で出来ることもありますが、2~3週間は要すると思っていた方が確実です。
墓誌に追加で没年・戒名などを彫るという場合も、事前に石材店に依頼して刻名してもらい、生前に赤色で名前を刻んである場合には白色に塗り直してもらいます。この字彫りの費用は約30,000円~50,000円です。
また、納骨式に石材店に来てもらい納骨作業をしてもらう場合には、事前に石材店に墓石の開け閉めや、祭壇の準備を依頼します。納骨の費用として石材店に支払う作業費用は約15,000~30,000円です。内容と費用の詳細は石材店に確認しましょう。
中には、ご自身でお墓の下部にあるお骨を収めるスペース、いわゆるカロートの開け閉めをする場合もあるようで、その場合は石材店への依頼及び費用は不要になります。
納骨に必要な書類、遺骨埋葬許可証と印鑑の準備
納骨には、遺骨埋葬許可証が必要となりますから、これを必ず持参します。これは、【火葬許可書】に『火葬執行済』と記載されたものです。
霊園墓地を利用するときには、墓や納骨堂などの使用名義人の使用許可証と一緒に印鑑を持っていきます。
参列者への連絡と会食・お礼の手配
四十九日の法要と納骨を同時に行う際には、家族以外の親族・特に親しかった方なども参列する場合も多いものです。
納骨式にきていただく、親戚や参列者には日程が決まり次第連絡をします。この連絡と同時にしなければいけないことは、食事やお礼の品の準備・手配です。
納骨式の後に食事の場を設けることもあり、会食参加人数がまとまり次第、食事や食事処の予約、お礼の品の準備が必要になります。
納骨式の後、霊園などの法要室を利用した場合、かかる費用は約10,000円~30,000円が一般的です。お寺を利用する場合はお寺に確認し、レストランやホテルなどを利用するなら手配をします。仕出し料理にするのか、人数に見合った会場でお料理込みの会食にするのかを決め、早めに予約します。
お料理の費用については、お呼びする方々との関係性などもありますので、各ご家庭のお考えで決定するものになりますので、本当にそれぞれです。
参列してくださる方へのお礼の品は、会食の後、お開きの際にお渡しします。これにかかる費用は約3,000円~5,000円ほど。故人が好きだった故郷のお菓子やお茶・海苔などが選ばれることが多いようです。
お供え物の準備
納骨式ではお花や果物、お酒、和菓子などをお供えしますので、その費用や手配の準備も必要になります。故人の好きなものがあれば一緒に用意しておきましょう。
お花や果物に関しては、ご自身ではどのくらいのものを用意したらよいのかわからないというケースもあるでしょうから、お寺に相談してみるのも良いのではないでしょうか。
以上が納骨の費用など準備しておくべきことです。冠婚葬祭に関わることは、本当に難しいことがたくさんあって、いざ自分の身にふりかかってくると誰もが途方にくれてしまうものです。
特に、大切な人が亡くなるなど辛いことは、ほとんどの場合、突然訪れることですから充分な準備期間もなく対応しなければいけないことばかりですよね。葬儀のように家族と共にゆかりのある多くの方が故人とのお別れをするセレモニー的なモノと違い、納骨となると家族や親せきなど特に近い立場の人が本当の意味でのお別れの儀式という印象です。
ここで、改めて大切な人を亡くした哀しみを噛みしめるご家族も多いことでしょう。そして、その納骨の儀を滞りなく行うために必要な費用はじめ、様々な納骨の知識は予め持っていた方が安心です。
まとめ
納骨の準備とは
・お寺に法要の依頼、費用はお布施と塔婆
・石材店に字彫り、納骨作業を依頼
・納骨に必要な書類、遺骨埋葬許可証と印鑑の準備
・参列者への連絡と会食・お礼の手配
・お供え物の準備