一周忌の挨拶は、施主の一連の仕事のなかでも、多くの参列者へ気持ちを伝える、大切なもの。
故人が亡くなった日から七日目を「初七日法要」、それ以降本来は七日目ごとに法要を行うしきたりがあり、四十九日目を「四十九日法要」とし、法要は死者の冥福を祈りその霊を慰める為に行います。
その後の区切りの法要として、死後満一年の命日が「一周忌」。一周忌はお寺や自宅に近親者や知人を招き、法要後に会食をするなど盛大に行うことが一般的なのです。その後は三回忌になるだけに、この一周忌の挨拶は大切な節目でもあります。
とは言え、施主になるとどんな準備が必要になるのか、不安に思いますよね。一周忌の準備とマナーはもちろん、その時にする一周忌の挨拶も、感謝や今の想いを、上手に伝えたいですよね。
そこで今回は、その不安を解消する為に、マナーとともに一周忌の挨拶の文例集を7つお伝えします。
一周忌の挨拶。
施主が押さえるマナーと7つの文例集
最初の一周忌の挨拶を簡単に
法要が始まる際の施主による一周忌の挨拶は、ごく簡単に済ませて問題はありません。
【 一周忌の挨拶:始まり 】
「本日はお忙しい中、ご参列いただきありがとうございます。
ただいまより○○○(戒名)の一周忌法要を始めさせていただきます。
(僧侶に向かって)よろしくお願いします。」
と言って一礼し、席につきます。
僧侶の読経、焼香、法話の後、僧侶は退場し一周忌の法要は終了します。
法要後そのままお開きの、一周忌の挨拶
【 一周忌の挨拶:そのままお開き 】
「本日はご多忙中にもかかわらず、お集まりいただき誠にありがとうございました。
おかげさまで、○○の一周忌の法要を無事終えることができました。
○○亡き後、今日まで多大なご厚情を賜りながらゆっくりとお礼を申し上げることができず、申し訳ございませんでした。
この場をお借りして改めてお礼申し上げます。
これからも、どうか変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
本来であれば、皆様と一緒に粗宴を囲みながら故人を偲びたいところではございますが、遠方からお越しの方も多いため、本日はこれにてお開きとさせていただきます。
お荷物になるかとは存じますが、心ばかりのものを用意してございますのでお帰りの際は、どうかお忘れなきようお持ち帰りくださいませ。
本日はまことにありがとうございました。」
会食がない場合には、挨拶の中でその旨を伝え、折詰の料理と酒の小壜を用意し、引き出物と一緒にお持ち帰りいただきます。
法要終了後、会食の案内
一般的には法要が終わったら、会食の場を設けることがほとんどです。この場合には、施主による一周忌の挨拶の後、会食の案内をしてください。
【 一周忌の挨拶:会食の案内まで 】
「おかげさまで、とどこおりなく一周忌の法要を営むことができました。
なお、別室に心ばかりの粗宴を用意しておりますので、どうぞお召し上がりください。」
…と挨拶をして、会食の会場へ案内します。この時、引き出物は膳のそばに置くか、お開きの時に一人一人にお礼を述べながら手渡しをします。
会食の挨拶の文例
法要後に会食がある場合には、会食の開始時にも施主による一周忌の挨拶をしなければなりません。
【 一周忌の挨拶:会食前 】
「本日は亡き○○の一周忌の法要にお集まりいただき、ありがとうございました。
このように大勢の方においでいただき○○もさぞ喜んでいることと思います。
本日は、たいしたおもてなしもできませんが、お時間の許す限り、存分に○○の思い出話などをしていただきたく存じます。
どうぞごゆっくりおくつろぎくさい。」
それでも、一周忌の挨拶では簡単にご案内としての言葉で大丈夫です。
献杯がある場合の、一周忌の挨拶
会食事には、献杯をお願いすることがあります。その場合には、一周忌の挨拶後、施主より献杯をお願いした方をご紹介する流れがあります。
【 一周忌の挨拶:献杯 】
「本日はお集まりいただき誠にありがとうございました。
おかげさまで、一周忌の法要もとどこおりなく済ませることができました。
これより、時間の許す限り皆さんと一緒に○○を偲びたいと思います。
まず始めに○○の友人である△△様に一言お願いいたします。」
献杯の挨拶をお願いする場合は、あらかじめ誰かに頼んでおきます。
会食の終了を告げる、一周忌の挨拶
一周忌の法要も無事に終わり、会食の終了を告げる時にも、施主より締めの一周忌の挨拶をします。
【 一周忌の挨拶:締めの言葉 】
「皆様、本日はお忙しい中、最後までお付き合いいただきまして本当にありがとうございました。
皆様から○○の思い出話を伺い、改めて○○を身近に感じることができました。
故人にとっても何よりの供養になったと思います。
なごりは尽きませんが、これにてお開きとさせていただきたいと存じます。
どうぞ、これからも変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。」
施主より僧侶への挨拶
一周忌の挨拶だけではなく、当日法要をしていただいた僧侶へも、お礼を伝えるのは当然ですよね。
【 一周忌の挨拶:僧侶へ 】
「本日はお心のこもったおつとめを頂きまして、誠にありがとうございました。
些少ではございますが、これはお礼でございます。
どうぞお納め下さい。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。」
僧侶へはお礼をお渡しします。僧侶がお食事に同席してくださる場合には、「御布施」または「御経料」、「お車代」の2つを用意するのが礼儀です。
さらに僧侶がお食事を辞退されたら、「御布施」または「御経料」、「御車代」、「御膳料」の3つをお渡しします。金額の相場は3万円~5万円で、挨拶のときに一緒にお渡しするのが慣わしです。
さて、これで施主になった時の挨拶もこれで安心です。ただ、一周忌の挨拶だけではなく節目の法要ですから、他にも正式な喪服を着用するなど、注意したい事柄がさまざまあります。
一周忌の挨拶は当日の事柄ですので、前日までに準備が必要なものですが、それまでには法要の日時や場所、さらに会食の場を設けるのが一般的ですので、その会場や食事の手配まで、全て施主が行わなければならない段取りなのです。
ひと昔前までは、隣近所からのお手伝いもお願いできましたが、最近ではそのような風習もなくなり、施主がひとりで全ての段取りを抱え込むことも少なくなくなりました。
そんななかで一周忌の挨拶まで前日にバタバタとしては、法要が終わってからグッタリとしてしまいます。一周忌の挨拶は例文を上手に利用しながら、お願いできるところはお願いして、一周忌を乗り切ってください。
まとめ
一周忌、施主が押さえるマナーと挨拶
・一周忌は施主の挨拶から始まる
・僧侶の読経、焼香、法話で終了となる
・法要の後、会食があるのが一般的
・法要には引き出物を準備しておく
・法要のみなら、引き出物と、折詰の料理と酒の小壜を用意
・会食終了の挨拶が締めの挨拶となる
・僧侶へはお礼(御布施など)をお渡しする