告別式の挨拶は喪主や遺族にとって、大切な場面ですよね。突然の訃報などでは特に、駆けつけてくださった多くの参列者の方々に、お礼とご案内をしなければならない、喪主や遺族にとっては、最も大きな役割のひとつでもあります。
けれども、近年では日程も長くなる葬儀が多いものの、一般的には故人が亡くなった翌日や翌々日に行われる告別式の挨拶だけに、ショックのなかで執り行うことも含め、なかなか準備はできるものではありません。
ただ、実はこの告別式の挨拶には、基本となる構成があります。そのため、例え気持ちが追いつかない告別式の挨拶でも、この基本の構成を押さえた例文がしっかり伝えられれば、まずは大丈夫。
気持ちも不安定になりがちな告別式の挨拶、例文を参考に出来たら、心強いですよね。そこで今回は、基本の構成を押さえた告別式の挨拶例文を、それぞれの立場別に分けてお伝えします。
告別式の挨拶、基本の構成。
ポイントを押さえた例文集
告別式の挨拶。喪主が夫
告別式の挨拶では、使ってはいけないワードが…。それが重ね言葉。例えば、重ねて、重ね重ね、重々、度々、またまた、いよいよ、ますます、次々、続いて、引き続き、再び、再度、再三、繰り返す、返す返す…、などなど全てが重ね言葉です。
これは、不幸を重ねるという意味合いから、葬儀や告別式ではタブー。そこを意識して文章を作成してください。
【 告別式の挨拶、夫の例文 】
「遺族を代表しまして皆様にご挨拶を申し上げます。
私は故人◯◯の夫△△でございます。
妻とは〇〇年間苦楽をともにしてまいりました。家庭をしっかり守りよき妻・母として本当に尽くしてくれました。
〇〇を失った今、私達家族はいかに〇〇に支えられていたのかを痛感するとともに、幸せな日々を過ごせたかを身に沁みて感じております。
未だに〇〇がこの世にいないことを受け入れることができませんが、〇〇はきっとあの世から見守ってくれると信じ家族と力を合わせて行きていこうと思います。
皆様にはこれまで同様のお付き合いをいただきますよう心よりお願い申し上げます。
本日はお友達の皆様、ご近所の皆様、お忙しい中のご会葬をいただき誠にありがとうございました。故人と共に心よりお礼申し上げます。」
告別式の挨拶。喪主が妻
告別式の挨拶では、死亡を逝去、急死を突然のこと、生存中は生前と言い方を気をつけて伝えるのも、ひとつのポイント。それを踏まえて読んでみてください。
【 告別式の挨拶、妻の例文 】
「遺族を代表したしまして皆様に一言ご挨拶申し上げます。
私は故人〇〇の妻△△でございます。
人生まだこれからという時に病に倒れ、〇〇歳という短い一生を閉じることになりました。
〇〇年間夫婦として支え合ってまいりました。〇〇は良き夫、良き父として私達家族には無くてはならない存在でした。
夫との想い出を胸に家族皆で支え合って生きていこうと思います。
加療中の際、ご丁寧な御見舞を頂戴頂きましてありがとうございました。皆様にご恩が返せず故人もさぞ申し訳なく思っていることでしょう。
この場をお借りして故人にかわりお礼申し上げます。ありがとうございました。今後も変わらぬご厚誼賜りますようよろしくお願い申し上げます。
本日は会社の皆様、ご友人の皆様、お忙しい中ご会葬をいただき誠にありがとうがざいました。」
告別式の挨拶。喪主が子ども
【 告別式の挨拶、子どもの例文 】
「本日はお忙しいところ父(母)の葬儀にご参列くださりまして、誠にありがとうございます。
ご丁重なご弔慰並びにご厚志を賜りまして厚く御礼申し上げます。
父(母)は30年ほど前に家督を譲りましてから、悠々自適に過ごしていましたが近年は病気がちで入退院を繰り返しておりました。
一昨日、93歳で生涯を閉じることになりました。
父が晩年豊かに過ごす事ができたのも、ひとえに皆様のご厚情の賜物と深く感謝し、心から御礼申し上げます。
父(母)亡き今、残された者同士が団結し、父の意思を継承しながら前進してゆく所存です。
これまで同様のご指導とご鞭撻(べんたつ)をお願いしたしましてお礼のご挨拶とさせて頂きます。
本日は誠にありがとうございました。」
告別式の挨拶。喪主が親
今回の告別式の挨拶の例文は、キリスト教式を想定しました。キリスト教式のポイントは、亡くなった方は、天に召されるという考えであること。以下の言葉を置き換えるようにしてください。
【 告別式の挨拶、キリスト教式の言葉 】
・ 逝去、死去、永眠→召された、召天
・ 極楽、浄土、涅槃→天国、御国、みもと
…以上に注意して、出来るだけシンプルに伝えると、下記のような例文になりました。
【 告別式の挨拶、親の例文 】
「本日は足元の悪い中、〇〇の為にお集まり頂き誠にありがとうございます。
また〇〇の為にお祈りして頂き厚く御礼申し上げます。
私の息子〇〇は10歳でした。先日の1/2成人式でも同級生と仲良く写真を撮っていた矢先の出来事で、まだ心の整理がつきません。
これからの成長が見られないと思うと断腸の思いでございます。
しかし今日こうして神父様(牧師さま)はじめ、親しくしてくださった沢山の方に見守られて神のみもとにのぼり、永遠の安らぎを得たものと存じます。
皆様、本日は本当にありがとうございました。」
告別式の挨拶。喪主に代わって
ここまで告別式の挨拶の例文をお伝えしましたが、例文を伝えるだけとは言え、喪主の方の気落ちが大きかった場合には、挨拶自体が難しいこともあるはず。そんな時には、喪主に代わって親族代表の告別式の挨拶も可能。
【 告別式の挨拶、喪主にかわっておじ 】
「本日はご多忙の中、ご会葬頂きまして誠にありがとうございました。〇〇家を代表してご挨拶を申し上げます。
〇〇太郎は〇〇家長男として生まれました。
仕事一筋の真面目な人生を送っていた人です。
退職後は会社の同僚や、近所の老人クラブ、趣味の将棋など沢山の方とのご親交を賜り晩年は楽しく暮らすことができました。遺族にとってはそれは何よりの慰めでございます。
子供達もそれぞれ立派に成長し、亡き兄も何の心残りもなかったものと信じております。
〇〇家親族一同これからも心を合わせてやってまいりますが、生前にもましてご厚誼賜りますようお願いしてご挨拶にさせて頂きます。
本日はありがとうございました。」
いかがでしたでしょうか、今回は突然の時にも安心してお葬式に望むことができるよう、基本の構成を押さえた告別式の挨拶を、喪主のパターン別にお伝えしました。それぞれ細かな内容は違いながらも、だいたいの流れのパターンは理解出来たのではないでしょうか。
この他にも、告別式の挨拶のポイントとして、故人のエピソードを具体的に添えた内容にしてみたり、お葬式の規模によって、言葉の端々やちょっとした内容も柔軟に変化させるのも、配慮のひとつ。
例えば、ごくごく家族や身内のみで執り行う「家族葬」だった場合には、よりフランクに、より具体的なエピソードを参列者にお伝えすることで、より故人の人柄を回想でき、それぞれが故人への想いを募らせる内容になるはず…。
告別式の挨拶は一連の葬儀の挨拶のなかでも、喪主や遺族の気持ちが伝わりやすい、また伝えたいシーン。本記事を参考にしながらも、素直な気持ちを上手に散りばめて、皆で故人を偲んでください。
まとめ
告別式の挨拶の基本構成
・今日の葬儀に来てもらったお礼
・以前に頂いた気持ちや、御見舞などのお礼
・亡くなる前の近況
・残された家族からの参列者に向けての挨拶
・最後に今日来てくださった方に改めて挨拶