年忌法要とは?大人が知っておくべき5つの基礎知識

年忌法要とは?大人が知っておくべき5つの基礎知識
年忌法要とは何?と聞かれたらすぐには答えられない方が多いですよね。年忌法要とは「一周忌」「三回忌」などのことです、と言われたらイメージがわきやすいかもしれません。では、そもそも法要とは何?ともっと細かく尋ねられたらどうでしょう。やっぱりきちんと答えるのは難しそうです。

しかし法要とは、多くの方にとっては生涯のうちに何度か参列の機会がある大切な行事です。年齢を経ていくうちに法要を「執り行う側」に立つこともあるでしょう。そうなると大人としてはその意味やしきたりなどの「基礎知識」を身につけておいた方が良いと言えるでしょう。

そこで今回は、法要、特に年忌法要とは何かということについて、知っておくべき基礎知識をお伝えいたします。

「法要」とは何だろう?そして「年忌法要」とは?

法要とは、仏さまになった故人を偲び冥福を祈る仏教行事のことで、具体的には僧侶にお経をあげてもらうことを指します。似た言葉で「法事」がありますが、こちらは法要の後の会食等も含めています

仏教ではこの法要を執り行う日が決まっています没した日から7日ごとに四十九日まで執り行う法要は「忌日(きび)法要」、その後に「百箇日法要」、そしてその後に「年忌法要」が続きます。

年忌法要とは、毎年巡ってくる故人の命日である「祥月命日(しょうつきめいにち)」に合わせて行われる法要で「一周忌」「三回忌」「七回忌」「十三回忌」…と、主に「三」と「七」のつく年に執り行います。注意したいのは「一周忌」は没年の翌年となりますが、三回忌以降は亡くなった年もプラスする「数え年」の数え方となることです。

年忌法要は「三十三回忌(没後32年)」で故人が完全に成仏すると考えられ、これをもって「弔い上げ」とするケースが多いものの、その後も三十七回忌、四十三回忌…と法要を続けるケースもあります。なお五十回忌は特別に「遠忌(おんき)」と呼ばれ、以後は50年ごとの法要となりますが、ここまで来ると故人の供養と共にご先祖様の供養も行う、という意味合いが強くなります。

 

一周忌と三回忌は、大きな規模の法要となる

法要では「四十九日法要」「一周忌法要」「三回忌法要」の3回は遺族・親族だけではなく故人の友人・知人も招く、大きな規模の法要となるのが一般的です。四十九日法要は、7日ごと7回に渡って行われる「故人の生前の罪」を裁く審判の最終日であり、少しでも良い世界に生まれ変われるように多くの者が集まり供養をするのが良いとされるため、大規模となりますが、一周忌法要と三周忌法要も大規模となるのは何故でしょうか。

実は「四十九日法要」までは仏教の考え方で、次に来る「百箇日法要」そして「一周忌法要」「三回忌法要」の3つの法要については仏教ではなく、中国の儒教の祭祀の考え方である、冥界の十人の王に審判を受ける「十王信仰」に基づいています

この考え方ですと、7回の審判が終わったかに見えても、実はあと3回審判が待っているということになります。百箇日法要は「忌日法要」と「年忌法要」をつなぐ法要と言われており、遺族のみで執り行うのが一般的ですが、一周忌法要と三回忌法要でも多くの者が集まり供養をすれば、故人が「さらに良い世界で幸せに暮らすことができる」ということになるのです。

ちなみに三回忌以降の法要は、法要の規模を縮小するのが一般的です。七回忌からは日本で独自に付け加えられた法要で、三と七を重視する儒教の考え方に基づき「七回忌」「十三回忌」…と続いていくのです。

 

祥月命日に年忌法要を執り行えない場合はどうする?

法要を執り行う側の立場に立った時のお話です。年忌法要とは祥月命日に執り行うものですが、現在では多くの方が参列しやすい休日に設定するのが一般的です。ただしその場合は、必ず祥月命日よりも前に年忌法要を執り行います

また、場合によっては一年の間に二つ以上の法要が重なる場合がありますこのような時にはひとまとめに法要を執り行うことができ、これを「併修」と呼びます。ただし併修ができるのは一般的に七回忌以降となります。三回忌以前で併修を希望する場合は菩提寺に相談したうえで決定することが良いと言われます。

また、併修を執り行う日は「その年の早い命日に合わせる」か「あとに亡くなった方の命日に合わせる」ことになりますが、どちらにするかも菩提寺と話し合い決定します。

 

年忌法要の服装マナー

年忌法要では、遺族・親族(法要を執り行う側)と一般参列者(法要に招かれる側)の服装の格が違うことに注意をしなければなりません。以下にそれぞれについて説明します。

《遺族・親族》

一周忌法要までは「正喪服」

・男性:和装→紋付袴羽織(紋付きの長着に袴をつけ、紋付きの羽織を羽織る)
洋装→昼:黒のモーニングコートにレギュラーカラーの白いシャツ、黒の分量が多いコールパンツ
夜:「ブラックスーツに白いシャツ、光沢のない黒無地のネクタイ」に喪章をつける

・女性:和装→染め抜きの五つ紋・黒無地の着物
洋装→黒無地の派手な装飾のないワンピースやスーツ、アンサンブル

三回忌法要からは「準喪服」

・男性:ブラックスーツに白いシャツ、光沢のない黒無地のネクタイ
・女性:ブラックフォーマル(ワンピース・スーツ・アンサンブルなど)

《一般参列者》

一周忌法要までは「準喪服」(上記参照)

三回忌法要からは「略喪服」

・男性:ブラックスーツや紺・グレーなどのダークスーツに白シャツ、黒無地のネクタイ
・女性:黒・紺・グレーなどのシンプルなワンピース・スーツ・アンサンブルなど

なお、七回忌以降は遺族・親族は原則的に略喪服となりますが、皆で服装を打ち合わせてお互いに了承しているなら、黒や紺・グレーなどを基調にした「きちんとした」服装でも構いません

 

年忌法要に招かれたら「参列する」のがマナー

こちらは年忌法要に招かれる側のお話ですが、もしも年忌法要に招かれた場合は、やむを得ない用件がある時以外は参列するのがマナーです。参列する際にはお供えや供物料を持参して、法要後に会食がある場合はそちらにも原則的に参加します。

もしも年忌法要を欠席する場合は、可能であれば法要の前日までに、訪問してお供えや供物料を渡し、仏壇を拝ませてもらうのがよいでしょう。遠方等の理由でで訪問が難しい場合は、返信ハガキと一緒に供物料を現金書留で送ると丁寧な印象になります。その場合は供物料と共に「御仏前にお供えください」と手紙を添えます

 

このように年忌法要とはこのように奥の深いいわれがあり、様々なしきたりがあるものなのです。仏教だけではなく儒教の考え方などを取り入れたことで、日本独自の年忌法要のかたちが出来上がりました。このように故人の冥福を長きにわたって祈り続けることは、とても日本人らしい姿勢と言えるのではないでしょうか。

また、法要とはただ単に故人の冥福を一心に祈るのではなく、故人のおかげで様々な方とつながりができたこと、また今自分がこの世に生きていることに思いを馳せ、感謝する行事でもあります。そのことも忘れずに敬意をもって故人と向かい合えば、きっと故人も心から喜んでくれることでしょう。ぜひそんな気持ちで「法要とは何か」を捉えてくださいね。

まとめ

年忌法要とは

・「法要」とは何か、「年忌法要」とな何かを捉えよう
・一周忌と三回忌は、大きな規模の法要となる
・祥月命日に年忌法要を執り行えない場合は前倒しの日程とする
・年忌法要の服装マナーを捉えよう
・年忌法要に招かれたら「参列する」のがマナーとなる


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