就活メールは採用担当者にとって、ビジネスマンとしての今後の所作がうかがい知れるもの。現代の日本社会では、個人の能力やスキルも大切ですが、一方で最重要視しているのが、ビジネスを上手に渡り歩く社会性です。
確かに若い頃は、強い権力に憮然と立ち向かうヒーローが、格好良く見えるかもしれません。社会に出てからも、時にそんな勇気が必要なシーンが出てきます。けれどもそれは、基本的な相手への礼儀をわきまえてからの話。
就活では能力だけではなく、やる気を評価するポテンシャル求人も増えてきました。そこで若者が勘違いしやすいのが「自己主張=やる気」の構図。けれども「上手に」自分のやる気と意見をアピールしつつ、相手に一目置いてもらうには、基本マナーが不可欠なのです。
そこで今回は、担当者へあなたの想いが伝わるための、基本的な就活メールのマナーを、7項目に分けて解説します。この基本を押さえて、確実にあなたの想いを担当者に伝えましょう!
就活メールのミス多発!
多くの若者がおかす7つの失敗
「用件を伝える」事がビジネスメールの目的
ビジネスの現場では毎日何十、企業によっては何百通ものメールを受信します。特に応募者の調整をする採用担当者に至っては、その数は想像に値します。そのため、一覧で見える「件名」は、ひと目で分かるものが適切です。
★ 件名:「よろしくお願いいたします!」の間違え
・ 就活メールは知人や友人とのメールではありません。「よろしくお願いいたします!」では、何のメールだか分からないため、後回しになる確立が高いです。
また、もうひとつの間違いにお気づきでしょうか?タイトルの最後にあるビックリマーク「!」のこと…。随分慣れ親しんだ相手ならば大丈夫かもしれませんが、就活メールでは「!」は使わないのが常識です。
相手はあなたの事を知りません
SNSやLineに慣れてしまうと、「内容を簡潔に伝える。」ことに終始してしまう傾向があります。けれどもビジネスメールは前述したように、多くの人からの受信があるため、簡単な自己紹介は不可欠です。
★ 「面接を受けたいのですが、どのようにすれば良いでしょうか。」
・ 確かに素直な意見ではありますが、冒頭にこれでは唐突すぎます。就活メールを送るに至った経緯を冒頭に添えてください。
例)
・ 「先日、○○よりご紹介を頂きました、○○と申します。」
・ 「○○と言う雑誌の求人欄を拝見し、応募したくメールを差し上げました。○○と申します。」
などなど。
また、「どのようにすれば良いでしょうか。」と相手任せにせず、「面接をお願いできますでしょうか?」などの文面で書くようにしてください。
冒頭の書き出しは、「宛名」を明記
手紙文化に慣れている30代後半以降の世代や、もうすでにビジネスメールを頻繁にやりとりしている人々ならば、常識中の常識ではありますが、こちらもLineやSNSの常用により、新卒世代が犯しやすい就活メールのミスがあります。
それは、冒頭に「宛名」を必ず明記すること。書けば非常に当たり前なのですが、案外この「宛名」の形式を間違えた就活メールは多いです。
★ 「(株)○○□□ ○○様」
・ ここでの間違えは、まず会社名です。よく省略文字が使用されるのは確かですが就活メールでは(株)ではなく、「株式会社」と省略せずに明記します。
・ さらに採用担当者の名前が分かっている時には、「一行空けて」記すと形も整います。部署が分かれば部署も添えて送ります。
またこのように、宛名を書くことは分かっていても、ちょっとしたミスが多いのも目立ちます。正しい例はコチラです。
例) 株式会社 ○○□□
人事部 ○○ 様
このように会社名と担当者名を二行に分け、始まりを揃えて書き始めると、美しい就活メールになります。
連絡が取りやすい人が優先です
特に多くの応募者に対応している場合には、やはりやりとりのスムーズさが重要視されます。「スムーズに進むから。」という理由だけではなく、会社に入った後も「取引先や関係者とのやりとりの対応が、スムーズに出来る人。」と言う評価に繋がるからです。
★ 先方からのメールの返信が滞る。
・ これはその人個々の時間の概念によっても違うかもしれませんが、ビジネスメールの基本マナーでは、「返信は24時間以内」が原則です。
ビジネスシーンでは24時間を越えたメール返信には、「返信が遅れまして、申し訳ありません。」と添えています。就活メールでも、これに習って24時間以内の素早い反応を心がけると好印象です。
メールアドレスまで見られています
この項目でもSNSやLineに慣れている世代に見られがちなミスです。
評価のメインではない就活メールのやりとりですが、実は担当者は細かなところまで見ています。…というよりも、ビジネスメールがメインの世界では、細かなミスまで目に付いてしまう…、と言った方が正しいかもしれません。
★ 「love2013****@****.co.jp」などのメールアドレス
・ メールアドレスは案外目立ちます。「love」などのカジュアルすぎるものや、「yossy」などのニックネームを使ったアドレスは、評価を下げる原因にもなります。
大学などでアドレスを配布されていない場合には、gmailやyahooなどのフリーメールを利用して、就活メール専用のアドレスを用意すると安心です。
読みにくいメールは後回し
またスマホをメインして利用している世代では、特に前述したようなネット上のフリーメールを利用している場合には、おかしやすいミスがあります。
★ 「株式会社 ○○□□ 人事部 ○○ 様 初めまして。突然のメールを失礼いたします。○○様からご紹介頂きました、○×大学△△学部3年の○○ ○○○と申します。……」
この間違えに気付くでしょうか?この文章、パソコンで受信すると非常に読みにくい文章になっています。
★ ビジネスメールは、パソコンでのやりとりが主流です。
・ そのためスマホで読みやすい文章が、先方で読みやすいとは限りません。必ず適度な改行を入れて、パソコンで読みやすいような配慮が必要です。
一番安心な方法は、そもそもパソコンで就活メールを送ること。その後の返信をはじめとするやりとりで、「読みにくい」ミスが起き難いです。
敬語がしっかりとしていれば怖くない!
最後に就活メールでは、「定型文をまるまるコピーする」ミスをおかしやすい傾向があります。これは実は、ミスをしたくない想いの裏返しでもあります。けれども、どんな時にも対応できる、敬語スキルがあれば安心です。
【 就活メールの敬語で間違えやすいミス 】
・「~の方、宜しくお願いいたします。」⇒「~の方、」はいりません。
・「~してください。」⇒「~をお願いできますでしょうか。」
・「了解しました。」⇒「承知しました。」「承りました。」
この三語は、就活メールでよく見られる敬語ミスです。「~の方、」はバイトなどで多く見受けられるため、「バイト敬語」などと言われていますが、ビジネスでは間違えです。
「了解しました。」は同僚やチームメイトなど、同等の立場で使われるため、就活メールなど目上の方へ返信する時には、「承りました。」などの表現になります。
以上、人事担当者がよく見つける就活メールで、若い人々がおかしやすい間違えと、その解説はいかがでしたでしょうか。敬語の使い方など、なかには「それが正しいと思っていた!」などと驚く項目もあったかもしれません。
現在の若い人々は、ほとんどがスマートフォン(スマホ)を持ち歩きます。さらに通信手段の主流がLineやSNS。その形態に慣れているために、当たり前と思っている部分が、反対に目に付きやすい、おかしやすいミスに繋がっています。
応募する企業をはじめ、社会では幅広い年代の男女が多く働いています。スマホ世代は10代~30代前半。現在ではどの世代でもスマホを使いこなしてはいますが、ビジネスメールではパソコンが基本であることを、念頭に置いてやりとりします。
また、面接後や会社説明会後など、要所要所でしっかりとお礼をするなど、礼儀を重んじた行動が、企業評価に繋がります。
まとめ
就活メールを送るなら、事前にチェックしたい7つの項目
・件名は内容が分かるようなタイトルを書く
・はじめに自己紹介をしてから要件に入る
・冒頭の書き出しは、「宛名」先方の会社名と担当者名
・先方からのメールは、24時間以内の返信が好ましい
・おかしくない、就活用のメールアドレスを用意する
・パソコンでのやりとりを前提とした、読みやすい改行
・「~の方、」など若い人が間違えやすい敬語をチェック!