敬語は使い方が肝心。普段あまり意識しないまま話していますが、敬語の使い方一つで、相手に与える印象も良くなったり悪くなったりします。もちろん、敬語の使い方を間違えていると、知らず知らずのうちに恥をかいていることだってあるのです。
日常で敬語を使うシーンは、とてもたくさんありますよね。特に社会人にもなれば、敬語を使わない日はないといっても過言ではありません。
でも正しい敬語の使い方なんて、誰かから指摘されないと気付かないものもたくさんあります。また、“敬語”と一括りに言っても、尊敬語や謙譲語など、使い方は様々です。
「自分は間違った敬語の使い方をしてしまっていいないだろうか…。」気になりますよね。そこで今回は、実は間違っている敬語の使い方を、「間違えた!」体験談とともにお伝えします。
敬語の使い方で大失敗?
先輩に聞く「勘違い!」ワードとは
そもそも、敬語とは何か
そもそも、敬語とはなんなのでしょうか。敬語は大きく分けて「尊敬語」、「謙譲語」、「丁寧語」に分類され、それぞれ以下の目的で使用します。
【 敬語の使い方:種類 】
・ 「尊敬語」…相手を立てるとき
・ 「謙譲語」…自分をへりくだるとき
・ 「丁寧語」…文末に「です」、「ます」や単語の頭に「お」や「ご」をつけて丁寧にするとき
普段の何気ない会話の中で、丁寧語(「~です。」や「~ます。」など)を使うことが多いため、「丁寧語=敬語」と勘違いしている人もいるかもしれませんが、上記のように「尊敬語」や「謙譲語」も敬語なのです。
敬語の使い方で、よくある間違い
社会人の場合、敬語の使い方は入社したての頃、会社から教育を受けるケースが多いのですが、そのあとは基本的に独自で習得したり経験を重ねることで身につくものがほとんどです。
実際に前線に立って仕事をするようになると、教育では教わらなかったこともたくさん出てきます。
「こんなとき、なんて言えばいいんだっけ?」と考えながら会話していると、いつの間にか間違った敬語の使い方になってしまっている、なんてことも珍しくありません。例えば下記のような間違えが挙げられます。
【 ふと間違えやすい敬語の使い方事例 】
例1)
★ 上司から仕事を頼まれて「了解しました」と言ってしまった。
…目上の人には「承知しました」か「かしこまりました」を使うのが正解です。
例2)
★ お客様から専門外のことを聞かれて「担当者へお伺いしてください」と言ってしまった。
…「伺う」は「聞く」の謙譲語です。この場合は「担当者へお尋ねください」が適切です。
例3)
★ 部長宛にかかってきたお客様の電話口で「○○部長はいらっしゃいます。」と言ってしまった。
…この場合は「○○はおります。」が適切です。役職をつける場合は「部長の○○」とします。
例4)
★ 社内会議の進行で「○○さんがご意見を申し上げます。」と言ってしまった。
…「申す」は謙譲語です。この場合は「○○さんがご意見を述べます。」が適切です。
例5)
★ 受け答えのときに「○○様のおっしゃられたように」と言ってしまった。
…「おっしゃる」+「られる」は二重敬語となり間違いです。「○○様のおっしゃったように」が適切です。
例6)
★ メールに添付ファイルもないのに「ご査収ください。」と書いてしまった。
…「ご査収」は“確認して受け取る”という意味ですので、添付ファイルがない場合には使用しません。
例7)
★ 「私の方で処理しておきます。」と言ってしまった。
…「方」は方角を表すときに使う言葉ですので、この場合は「私が処理しておきます。」が適切です。
いかがでしょうか。ついつい間違えてしまっている、敬語の使い方はありませんでしたか?言葉を発する前に一呼吸おいてみると、敬語の使い方の間違いも、事前に防ぐことができるかもしれません。
ビジネスシーンでよく使う単語
様々な言葉が飛び交うビジネスシーンでは、敬語の使い方が今後の関係に大きく影響することもあります。お客様との会話の中で、正しい敬語の使い方ができずにいると、人としての信頼性が会社の印象にもつながりかねません。
では、ビジネスシーンで特によく使う単語と、その正しい敬語の使い方をいくつか挙げたいと思います。
「見る」
尊敬語:お手元の資料をご覧ください。
謙譲語:資料を拝見いたしました。
丁寧語:資料を見ました。
「聞く」
尊敬語:
こちらの音声をお聞きください。
~にお尋ねください。謙譲語:
○○様のお話を拝聴させていただきました。
○○の件についてお伺い(お尋ね)したいのですが。丁寧語:私が聞いておきました。
「言う」
尊敬語:○○様のおっしゃったように
謙譲語:私が申し上げます。
丁寧語:○○さんが言いました。
「行く」
尊敬語:何時頃おいでになりますか?
謙譲語:○時にお伺いいたします。
丁寧語:○時に行きます。
「居る」
尊敬語:○○様はいらっしゃいますか?
謙譲語:担当の○○がおります。
丁寧語:○○さんがいます。
「借りる」
尊敬語:部長がお借りするとおっしゃっていました。
謙譲語:ペンを拝借(お借り)してもよろしいでしょうか?
丁寧語:ペンを借ります。
いかがでしたでしょうか。敬語の使い方はシーンによって様々ですが、尊敬語、謙譲語、丁寧語の使い方を間違えてしまうと、相手に違和感を与えるだけでなく、社会人としての評価にも影響します。
敬語の使い方が身についていないと、「この子、大丈夫かな?」と思われても仕方ありません。
とはいえ、誰もがはじめから完璧な敬語が使えるわけではありませんよね。現場での臨機応変な対応は、やはり経験がモノをいうことだってあります。
失敗したとしても、次へのステップアップだと思って前向きに考えると、より素直に自分の間違えを改められるはず。「失敗は成功のもと」なのです。
「敬語の使い方なんて、今さら聞けない!」なんて思いは捨てて、ベテランでも新人でも、もう一度敬語の使い方について見直してみると、実は間違っていた敬語の使い方も発見できるかもしれません。
まとめ
敬語の使い方におけるポイントとは
・敬語の構成を把握しておく
・謙譲語、尊敬語、丁寧語の使い分けを理解しておく
・言葉を発する前に、一呼吸おいて頭の中で整理する
・敬語の使い方一つで会社の印象にもつながることを頭に入れておく
・間違えた敬語の使い方は、次に活かせるようにしよう