ある程度大人になると、「法事」という言葉自体は知っている方も多いですよね。では実際、「法事ってなんなの?」と聞かれた時に、正確に答えられるでしょうか。恐らく上手く答えられない方が多いことでしょう。類似した言葉の「法要」との区別はついていない方もいるかもしれません。
法事は、冠婚葬祭の中の1つとして扱われており、大人としては知っておくべき最低限のこと、知らない方が可笑しいと言われてしまうこともある儀式です。なので、なにか常識と違う事をしてしまえば、周りの人にマナー違反と思われてしまうことでしょう。しかし、そんな法事で守るべきマナーは、学校等ではあまり教えてもらえません。
そこで今回は、法事の常識、法事に招かれた際に気を付けたいマナーについてお伝えします。
法事の常識。招かれた際に
気を付けたいマナーとは
法事って、そもそもなんなの?
法事とは、亡くなった故人の冥福や成仏を祈り、その御霊を慰めるための冠婚葬祭行事の1つです。故人の供養の為に行われるものであり、仏教用語では追善供養とも呼ばれます。法要と法事の違いはあまりありません。お経を僧侶にあげてもらい、納骨するまでが法要と言われ、その後の会食までを含めたものを法事と呼びます。
法事では、先述通り僧侶にお経をあげてもらい、ご焼香を行い、納骨(或いはお墓参り)を行い、会食を行います。 尚、この順番等は各仏教や地域によって異なる事もありますので、参列する際には確認してからにしましょう。
身内以外が参列する法事としては、初七日法要と四十九日法要があります。これ以外にも、一周忌等があり、逆に参列しないでよい法事としては二七日、三七日等の初七日法要と四十九日法要の間の法事が挙げられます。
参列する上で知っておきたい法事の常識とは?
法事とは、葬儀やお通夜とは異なり、結婚式のように招待を受けて参列するものです。つまり、招待されたら出席する事が礼儀となっています。食事を用意したりするという事もあるため、出席者の人数等もはっきり書いておく事が求められます。返事は遅くても法事の一週間前までには提出する事が礼儀です。
参列する際には、返信用はがきに招かれた事に対するお礼や、主催する側の遺族に対しての気遣いを書き加えておくと、丁寧な対応であるといえるでしょう。
法事に参列できずに欠席する際にも返事はすぐに出しましょう。この際にも、欠席するお詫びを一言添えておくとよいでしょう。また、法事に間に合うようにお詫びの手紙を添え、現金書留等で御供物料やお花、果物などを送る事が好ましいです。更にいうと、後日改めて訪問し、ご焼香やお線香を挙げに行くことで、誠意が通じるのではないでしょうか。
参列する上で知っておきたい、法事の服装事情とは?
参列する際には服装に注意する事もマナーとして挙げられます。基本的には、故人が亡くなってからの一周忌の頃までは喪服等で伺う事が求められます。
男性であれば、黒のスーツにワイシャツ以外の小物なども黒で統一するべきです。また、スーツはシングル・ダブルに関しては問わず、黒のスーツであれば問題ありません。小物まで黒という事は、ネクタイ、靴下、靴等も黒を使用する事になります。
男性の服装で注意すべきなのは、腕時計やベルトです。腕時計が金色であったりする際は、着用を避けましょう。また、ベルトに関しては、革製品のような爬虫類柄のものは避けます。仏教では殺生は禁じられており、革製品などはその殺生を連想するため、使用を控えるべきであるといわれています。同様に、冬などは法事に行くまでの経路で革ジャンの着用は避ける事が求められます。
女性であれば、喪服や黒のワンピース、スーツ、アンサンブル等を着用する事が求められます。また、その際着用するストッキングの色も黒色になり、夏場であっても生脚を避け、黒ストッキングを着用すべきであると言われています。男性同様、女性も小物も黒で統一する事が大切です。
女性で注意する点としては、靴とアクセサリーが挙げられます。靴はパンプスを使用する事が通例で、サンダルやミュールのようなつま先が出る物は使用を控えるべきです。また、アクセサリーについては、結婚指輪や真珠、オニキスのような宝石を使用した物のみが着用可能です。髪飾りであれば、黒の紙ゴム等の黒い物を使用しましょう。
参列する前に準備しておきたい、香典について
香典とは個人に対しての御供え物の代わりとして渡す、或いは急な訃報に対する出費を助け合う、相互扶助の意味を込めた現金の事をいいます。
香典として包む金額は、故人との関係性によっても異なりますが、友人関係などであれば1万円程度、身内であれば相場より高額な2-3万円程度が多いです。一般的な仏式の法事であれば、会食が設けられるため、その分を考慮した金額を包む事もよいのではないでしょうか。
また、香典袋の表書きは仏式、神式、キリスト教式であるかによっても異なります。仏式であれば「御仏前」、神式であれば「御玉串料」、キリスト教式であれば「献花料」が挙げられます。また、相手の宗教が不明な際には全てに使用できる表書きとして、「御霊前」と書くとよいでしょう。
知っておきたい、ご焼香のやり方
ご焼香とは、故人の仏前に芳香を捧げることによって、故人を深く敬い、その上で謹んで心を捧げるという意味があります。宗派によって方法は異なりますが、基本的な方法を次の通りです。
① 周りの参列者に軽く会釈をして御霊前に進みます。
② 遺族と僧侶に対して、深く一礼します。
③ 祭壇の故人の遺影に向かって深く一礼をします。
④ 香台の前へ出て香をつまみ軽く頭を下げて目の高さにささげ、左の香炉へ指をこすりながらパラパラと落とします。使用するのはどちらの手でも構いません。この際に、数珠は左手にかけ、落ちないようにしておきましょう。
⑤ 合掌をします。この際音が鳴らないように注意しましょう。
⑥ 下を向いたまま2、3歩下がり遺族と僧侶に黙礼して席へと戻りましょう。
このような過程を踏み、正しい焼香を行いましょう。
いかがでしたでしょうか。法事についての正確な意味を初めて把握した方も多いかもしれません。法要は亡くなった方の成仏を祈り、故人の魂を慰めるための儀式です。一方法事は、法要に加えて招かれた人々に対して会食をふるまう事も合わせたものをいいます。この違いは是非覚えておきたいものですね。
服装のマナーに関しては、黒で統一するという事はイメージの中であったかもしれません。その一方で、香典袋の書き方は意外と知らない方も多かったかもしれませんね。表書きの分類が信教によっても違うことを知らない人はいたかもしれません。是非これも覚えておきたい部分です。
是非とも、法事についてしっかりと意味を理解し、大切な人をしっかり弔えるように正しいマナーを身につけましょう。
まとめ
法事に招かれた際に気を付けたいこととは
・法事とは、亡くなった個人の冥福や成仏を祈り、その御霊を慰めるための行事です。参列の可否に対する連絡は早急に返し、その際に返信はがきなどには一言添えるとよいでしょう。
・服装は黒の地味な物を着用しましょう。男性であればスーツ、女性であればワンピース等が望ましいです。
・香典は普通の関係であれば約1万円程度、身内であれば2-3万円を包むのが望ましいでしょう。
・ご焼香は、遺族と僧侶、遺影に対して行う前と行った後に礼をする事を心掛けておくとよいです