送別会にプレゼントを記念品として贈ることは、ほとんど恒例のようになっていますが、実は「こういうものは贈ってはいけない」という、一定のマナーがあります。
送別会と一言で言っても、様々なパターンがあるはず。例えば職場で定年退職をする上司の送別会と、遠くの地に異動する同僚の送別会では、職場の仲間として別れを惜しむ点では同じでも、少し意味合いが違ってきます。
寿退社や出産に伴う退社というのも、またそれらとはニュアンスが変わってきます。もちろん職場だけでなく、学校やサークル、近所づきあいなどでも送別会が開かれることがありますよね。
そんな時に贈る送別会のプレゼントマナーには、「すべての相手に対して失礼」なものから、「目上の人に対して失礼」「女性に対して失礼」など、実は様々なものがあるのです。選ぶ前にそれが失礼ではないか、確認したいですよね。
そこで今回は、そんな送別会のプレゼントを選ぶ際に、ぜひ知っておきたい7つのマナーについてお伝えします。
送別会のプレゼントを選ぶ!
知っておきたい7つのマナー
全ての送別会のプレゼントに向かない
送別会のプレゼントにおいては、なるべく相手の好みを調べてそれに沿ったものを贈るか、もし好みがわからなければ「無難なもの」を贈るのが最も良いとされています。
その中でも「全ての送別会のプレゼントに向かないもの」という品物が存在します。特にマナーに詳しい年配の方には、必ず良くない印象を与えてしまいます。それでは、以下にそれらの品々についてお伝えします。
【 全てに向かない、送別会のプレゼント 】
☆ 刃物→
・ ハサミやペーパーナイフなどが含まれます。「縁を断ち切る」という意味に繋がります。
☆櫛→
・ 語感が「苦・死」に繋がるため、縁起が悪いとされています。
☆ 白いハンカチ→
・ ハンカチは日本語で「手巾(てぎれ)」と呼ぶため、別れを連想させます。さらに白いハンカチは故人の遺体に被せる布を想像させるため、縁起が悪いとされています。
☆ 履物→
・ 靴・靴下・ルームシューズなどが含まれますが「足で踏みつける・見下す」という言葉を連想させるため、特に目上の方には失礼とされています。
目上の方の送別会のプレゼント
格下の者から目上の方には、特にプレゼントに向かないものが存在します。目上の方の中には、こういったマナーを重視される方も多いものです。ぜひ覚えておいてください。
【 目上の方へ向かない、送別会のプレゼント 】
☆ 現金 →
・ 古くから「お金は目上の者が格下の者に恵む」という印象があるため、その逆を行っては大変失礼に当たります。商品券やビール券なども失礼にあたるので、注意が必要です。
☆ 下着 →
・ 身に着けるプライベートなものであるばかりか「下」の字が入るため、格下から贈るのは失礼とされています。
☆ ベルト →
・ おなかあたりを締めるものですが、これが「腹を締める」→「気を抜かないように」という意味に転じるため、目上の方には失礼とされています。
☆ 時計・万年筆・かばん →
・ どれもプレゼントには最適の品々に見えますが、実は「勤勉であるように」という意味があるため、目上の方には失礼とされています。特に定年退職する方にビジネスバッグは、嫌味にも捉え兼ねられません。
☆ 日本茶や海苔 →
・ 香典返しなどの弔事に使われることが多い品々は、忌み嫌われることがあります。
転居する方の送別会のプレゼント
異動や転勤などで、転居する方のプレゼントに向かないものも存在します。どれも「縁起が悪いから向かない」のですが、もしそれを無視して贈ってしまったら、転居後もますます頑張ってほしいという気持ちが、マナー違反のために伝わらないこともあるかもしれません。要注意です。
【 転居時に向かない、送別会のプレゼント 】
☆ 赤いもの・ライター・灰皿など →
・ 「火」を連想させるため、特に新築の家に転居する方にはタブーとされています。
☆ 割れもの →
・ 食器や置物などがこれにあたります。贈ってしまいがちではあるのですが、割れものは「縁が壊れる」に繋がるため、新天地に向かう方には贈らないほうが良いのです。
☆ 棘のあるもの →
・ 「縁を傷つける」イメージがあるため。したがってサボテンやバラの花束もやめた方が良いと言えます。
女性の送別会のプレゼント
こちらは「縁起が悪い」というよりも「デリカシーがない」送別会のプレゼントになってしまいます。どんな年代の女性でも必ず傷つきますので、以下のものは避けてください。
【 女性に向かない、送別会のプレゼント 】
☆ 下着 →
・ 「目上の方に贈ってはならないもの」でもお伝えしましたが、決して個人的ではない席で、このようなものを贈るのはマナー違反です。特に女性の上司や先輩には大変失礼となります。
☆ ダイエットグッズ・ヘルスメーター・白髪染めなど →
・ 「体型に関するもの」「年齢に関するもの」は女性が最も気にする部分です。ましてや男性から女性にこれらのものを贈ってしまったら「セクハラ」と捉えかねられません!
外国人の方の送別会のプレゼント
送別会の主役が日本人ではなく、外国人の方ということもあるかもしれません。ここでは主に「中国人」の方に贈ってはいけないものについてお伝えしますが、ぜひ相手の国の「プレゼントのタブー」について、事前に調べておくことをおすすめします。
場合によっては「宗教のタブー」も絡んでくることを、念頭に入れて送別会のプレゼントを選ぶようにします。
【 中国の方に贈ってはいけないもの 】
☆ 置時計 →
・ 卓上で使う時計すべてを含みます。
置時計は中国語で「鐘(ジョン・zhong)」と呼びます。そして「置時計を贈る」は「送鐘(ソンジョン・song zhong)」となるのですが、これが中国語で死期を連想させる「送終」と全く同じ読み方となるのでプレゼントとしては大変忌み嫌われています。
☆ 傘 →
・ 中国語で傘は「サン(san)」と読みます。この読み方は「散」の中国語読みと同じなので、縁起が悪いとされています。
【 ドイツの方に贈ってはいけないもの 】
☆ チューリップ →
・ ドイツではチューリップは「絶交」を意味します。
【 アメリカの方に贈ってはいけないもの 】
☆ ロゴが大きく入ったグッズ →
・ 「おしゃれ」「ポップ」ではなく「単なる宣伝」と捉えられることがあるため、プレゼントとしては喜ばれません。
送別会の花束に向かない花々
送別会のプレゼントとしては花束が定番ではありますが、このような場面に向いていない花々がいくつかありますので、お伝えしておきます。
【 送別会のプレゼントに向かない花々 】
・シクラメン → 花の名前が「死・苦」を連想させます。
・菊 → 葬儀を連想させます。
・あじさい → 「色あせる」イメージがあります。
そして、切り花の場合は「4本・9本・13本」と縁起の悪い数とされる本数を避けます。切り花は単身赴任の男性や、あと数日後に転居を控えている方にも「もらっても活ける花瓶がない」ということで、ちょっと困ったプレゼントになりかねません。
また、縁起とは関係なく「持ち帰るのが大変」という意味で、鉢植えの花も好まれないことも覚えておいたほうがよさそうです。
送別会のプレゼント選びで気をつけたいこと
他にも、以下のことに気をつけて送別会のプレゼントを選びます。
★ 金銭面で負担を感じさせないものを選ぶ
・ 送別会ではプレゼントの予算は一般的に「3,000~5,000円」ほどです。
もしも深いおつきあいがあるなら10,000円を目処にし、大人数で予算を集めるなら「ひとりあたり1,000円未満」が良いとされています。あまりに高価なものを贈ると、贈られた相手が負担に感じることがあるのでほどほどの価格帯のものを選ぶようにしたほうが得策です。
★ 持ち運びしづらいものや、貰ったあと対応に困るようなもの
・帰宅時に持って帰るのが大変なものやウケ狙いやあまりにも好みに合わないもので、対応に困ってしまうプレゼントも考えものです。
前の項で鉢植えの花は持ち運びしづらいため好まれない、ということを述べましたが、これもその一部。ぜひ相手の立場を第一に考えてください。
送別会のプレゼントを選ぶ際の、7つのマナーについてはいかがでしたでしょうか。縁起というのは根拠のはっきりしない迷信かもしれませんし、中にはコーヒーカップやお茶を喜ぶ方もいらっしゃいます。もちろん、贈る相手の人となりを想像して、ぴったりのものであればそちらを優先することもあります。
しかし送別会においては、これまでの感謝の気持ちとこれからもますます、元気でご活躍されますようにという思いが大切ですので、やはりちょっと悪いいわれのあるものは避けた方が安心です。もしも、「それでもコレを贈りたい!」と言うこだわりがあれば、メッセージカードに添えるのも一案。
特に文化の違う外国人の方は、贈った相手方が日本人だからしょうがない!と感じるにせよ、自国でタブーとされるものを贈られると戸惑いは生じますよね。
これらのマナーは、日本人として知っておいて損のないマナー。送別会のプレゼントに限らず様々な贈り物を選ぶ時に役立ってくれるはずですので、この機会に覚えておくことをおすすめします。
まとめ
送別会のプレゼントのタブー
・ハサミ・櫛・履物は、絶対タブー
・現金や下着、ベルト、文具などは、上司には失礼
・転居のプレゼントでは火・割れ物・棘はタブー
・女性なら下着や体型、年齢に関するものはデリカシーがない
・外国の方へのプレゼントは、相手の国の文化を考慮する
・シクラメン・菊・紫陽花の花は、贈り物にはタブー
・金銭的にもスペース、持ち運びにも負担のない品選び