急な知らせを受けたけれど、いざお通夜の香典の金額と渡し方について良く分からず、迷ってしまうとお悩みの方は少なくないですよね。弔事のマナーは簡単な様で難しいことが多いのです。
お付き合いの度合いは人それぞれ…その関係によって対応もその人その人で良いんじゃない?とクールでドライな近年の人間関係や人付き合いに照らし合わせれば、そのようなご意見もあるかもしれません。
そうはいっても、できることならマナー違反はしたくないもの。ご遺族に不快な思いをさせないよう、また周囲の人と足並みが揃わず恥ずかしい思いをしないよう、一度正しいマナーについて考えてみましょう。
そこで今回は、お通夜に参列する際の香典の金額と渡し方についてお伝えします。
お通夜のマナー。
香典の金額と渡し方
香典の金額:自分の年齢や故人との間柄
そもそもお通夜に持参する『香典』の意味を知らなければ、なかなか身近な事として考えるのは困難です。もともとは仏教に由来する言葉で、仏壇にお供えするお香を指していて、昔は誰かが亡くなると、その人の冥福を祈ってお香をお供えするというのが一般的だったのです。
そうしたことから、お通夜や告別式で行われる「焼香」という儀式があります。また一説には「何もできなくて申し訳ないから、せめてお金でお手伝いさせていただきたい」という意味があるとのこと。実際に葬儀や法要など仏事にはかなりのお金も労力も必要です。そこで、ご遺族に対し「お手伝いできない分、お金だけは…」という気持ちの表わし方として、お通夜には香典をお渡しするのです。
では、お通夜のマナーとして『香典』が必要であることの意味がお分かりになったところで、実際に包む金額についてのルールですが、当然のことながら故人との関係によって変わってきます。またお包みする側の年代によっても違いはあります。
今回は中間層である「30代」の方を例にお話を進めていきます。例えば、
故人が家族や親族である場合、お通夜でお渡しする香典の中身は、
祖父母なら10,000~30,000円。
実親(父、母)なら50,000~100,000円。
義親(義父、義母)なら50,000~100,000円。
兄弟、姉妹なら50,000円。
おじ、おばなら10,000~20,000円。
その他の親族(いとこ、甥、姪など)なら3,000~20,000円
と言うのが一般的な相場になります。
会社関係の方が亡くなった場合、
上司本人なら5,000~10,000円。
上司のご家族なら3,000~10,000円。
同僚、部下本人なら5,000~10,000円。
同僚、部下のご家族なら3,000~10,000円
となります。
友人、知人関係の場合、
友人、知人なら5,000~10,000円。
友人、知人の親なら3,000~10,000円。
その他、学生時代の恩師なら3,000~10,000円。
隣近所の人なら3,000~10,000円。仲人さんなら10,000円。
と様々なケースがありますが、家族、親族以外の場合は1万円が上限と考えていれば、ある程度の傾向はつかめますね。
因みに会社関係、友人・知人、その他の場合、同じような関わりを持つ人達とお通夜に伺うなら、香典の金額は相談しあい、足並みを揃えることが無難ですのでオススメです。お札の入れ方のマナーとしてはお札の向きを揃えることとと新札は避けることは、ぜひ覚えておいてください。
不祝儀袋の表書きと宗教に注意
お通夜にはお香典を専用の封筒「不祝儀袋」に入れご遺族にお渡しします。一般的に不祝儀袋と一口に言っても、いざ売り場に行ってみると同じ白黒の水引にも表書きが様々あります。
不祝儀の表書きの違いは、宗教ごとの違いでもあります。例えば、仏教では御霊前、御仏前、御香典。キリスト教では御霊前、御花料、弔慰料。神道では御霊前、御玉串料、御榊料。その他新興宗教や無宗教では御霊前というようなことです。
つまり先方の宗教を事前に確認できていれば良いのですが、不安があれば、お通夜の香典袋はオールマイティな「御霊前」が無難ということになります。
ただ、浄土真宗の場合は「亡くなった人は、死後すぐに仏になる」という考え方があるため『御仏前』を使用します。プロテスタントの場合は「儀式は故人のためではなく、故人と深い交わりがあった人のためにされるものである」という考え方があることから『弔慰料』を用いるのが正しいと言います。
この両者の場合には『御霊前』を使ってしまうと、失礼に当たるといわれますので、充分な注意が必要です。
お通夜の香典袋の表書きに迷ったら、葬祭会場へ問い合わせたり、お寺や教会の情報を調べたりすれば宗教・宗派はたいていわかりますので、どうしても不安な時は、それを参考にしてみて下さい。
渡し方:薄墨で記名
お通夜に持参する香典袋の封筒には名前を書きますが、この時のマナーは、薄い墨で書く…つまり『薄墨』を使うことです。実はこれにも意味があり、「悲しみの涙で墨が薄くなる」ということからだといいます。
水引の下に自分の名前をフルネームで書き、裏面や中袋にも、住所や氏名を書く欄があれば住所・氏名を書いておきます。
会社関係でお付き合いのあった方のお通夜の場合、連名の香典というケースもあります。その場合、3名までなら目上の方から目下の順で、右から左へ。中袋にも全員の住所、氏名を書くのが一般的です。上下関係がなければ五十音順でも良いでしょう。
4名以上なら、表書きには代表者(団体名)の氏名をフルネームで書き、その左側に『外一同』と氏名の文字よりもやや小さめの文字で書きます。中袋あるいは別紙に全員の名前を書き、場合によっては個別金額を書いてもよいとされています。
一般的には、お通夜の受付でお香典をお渡しします。その際「このたびはご愁傷様でございます」とお悔やみの言葉を述べ記帳し、「どうぞ御霊前にお供え下さい」といって渡します。記帳と香典が逆になる場合もあります。
いかがですか。以上が正しいお通夜のマナー、香典の金額と渡し方です。ご自身と関わりのある方とのお別れはとても辛いものです。それはご遺族と同じ気持ちですよね。しかし、ご遺族は哀しむばかりではいられず、様々な営み事があり、気が休まる暇もないものです。
香典にはそんな助け合いの気持ちも含まれていることはご存知ない方も多いですよね。また、お通夜での香典のマナー同様、弔問にもマナーはありますので、この機会に一緒に覚えておいてください。
親しい友人や近い親戚の場合はできるだけ早く駆け付け、一般的な友人・知人・会社関係の方の場合にはお通夜以降の弔問が望ましいとされています。
とにもかくにも、お通夜には『故人を心から偲ぶこと』が第一なのです。
まとめ
お通夜。香典の金額と渡し方とは
・自分の年齢や故人との間柄により違います
・不祝儀袋の表書きと宗教に注意しましょう
・薄墨で記名しお通夜の受付で渡しましょう