お通夜のマナーは知っているようで知らないことが意外とたくさんあります。故人との最後のお別れの夜であるお通夜。訃報を耳にしたら、できるだけお通夜には参列したいもの。しかし、急いでお通夜に駆けつけなければいけないとき、ついつい忘れがちなのがマナーです。
もちろんお通夜は、あまり普段から頻繁に参列するものではなく、また突然のことですので、準備する時間もほとんどない事例が大多数です。さらに生前から親しかった故人であれば、気持ちも乱れるため、マナーどころではない、という心情にもなるでしょう。
けれども遺族や参列者の方々も同じ気持ちだと思えば、しっかりとしたマナーで敬意を表したいものです。そこで本記事では、急な訃報で慌てた時に役立つ、基本的なお通夜マナーと準備を7つの項目に分けて、お伝えします。
突然お通夜に行かなければいけないとき、また日頃から知識を身に着けておきたいという方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
お通夜マナーの迷いどころ、
急な訃報での準備と礼儀
急なお通夜は遅れそうで迷った時
お通夜は突然やってくるものです。人の運命は誰にも決めることができないので、当然ですよね。訃報を聞き、突然の知らせでお通夜に間に合わないという場合、遅れたら失礼にあたるのではないか…欠席しようと思う方がいらっしゃるかもしれません。
■ 遅れてでも駆けつけるのが、お通夜のマナーとされています。
遅れても良いので、できるだけ参列しましょう。30分ほどでしたらお焼香にも間に合います。遅れた場合は、静かにそっと後方へ座るようにしましょう。
お通夜に出向く時の服装で迷った時
お通夜の服装は、ブラックフォーマルが一般的です。昔はお通夜は「急いで駆けつけています。」という意味合いを込めて、濃紺などの平服がマナーと言われてきました。けれども最近では、お通夜のみの参列者も多く、お通夜・お葬式ともに、ブラックフォーマルが良しとされるようになりました。
【お通夜マナーで必須のブラックフォーマル】
■ 男性のお葬式スタイルは、ブラックスーツが基本です。
<けれども、お通夜の場合なら…>
・ 濃い紺やグレーのスーツでも大丈夫です。
・ ネクタイも黒もしくはダークカラーを選びます。
■ 女性であれば、ブラックフォーマルのドレスが基本です。
・ 黒や濃い紺などのワンピースやスーツが好ましいです。
・ ストッキングは黒が基本です。
・ アンダーのシャツも黒いものを選びます。
お通夜の場合、突然の訃報を聞いて駆けつけてきたという意味を込めて、地味な平服でも問題ありません。しかしこのとき、アクセサリーなどの装飾品はNG、女性はネイルを落としていくのがマナーです。
お通夜でのお香典の出し方
お通夜に弔問した際、お香典を渡す場面があります。お香典袋は金額に見合った袋を選び、必ず袱紗(ふくさ)に入れて持参します。お渡しする直前で袱紗(ふくさ)からお香典を出し、袱紗(ふくさ)をお香典の下に添えて、両手で差し出すのが、お通夜マナーです。
【お通夜マナーでの、お香典の出し方】
■ 新札でお香典を渡すのはNGとされています。
お通夜は、誰も予想をすることができないもの。新札を渡すと、「まるで死期を予想していた」という意味にあたるため失礼とされており、マナー違反です。
しかし、あまりにボロボロのものや、シワだらけのものでもかえって失礼とされています。適度に折り目のついたお札を使用しましょう。
お通夜に参列する時の、タイミングとは
元々、お通夜は一晩中行なわれるものです。最近では夕方の6時から行なわれる「半通夜」が主流となっています。
【お通夜に出向くタイミング】
■ 半通夜よりも、早く着きすぎるのはマナー違反。
お通夜の当日は、突然のことで遺族の方は何かとバタバタしています。
また、早く着きすぎると祭壇の準備も出来ていないというケースも考えられます。お通夜のお手伝いをする場合を除いて、なるべく10分前くらいに会場に到着するようにしましょう。
お通夜マナーで気遣うべき言葉掛け
お通夜の際、口にするべきではない「忌み言葉」というものがあります。お通夜での忌み言葉とは、「死」という直接的な言葉です。
【お通夜マナーとして避けるべき「忌み言葉」】
・「死亡」や「死ぬ」などの直接的な言葉。
・そして「生存」という言葉も相応しくありません。
【お通夜マナーに適した言葉】
・ 亡くなったことについては、「ご逝去(ごせいきょ)」
・ 亡くなる前については「ご生前」や「お元気なころ」などと、言葉を置きかえましょう。
また、不幸を再び繰り返さないことから、「たびたび」や「かさねがさね」、「再三」という言葉も使用しないのがマナーです。
通夜であることを常に意識して
お通夜には、故人を通して知っていた友人や親族の方など、以前より知っていた方達と会う場面があります。しかしお通夜は、あくまでも故人を偲び、弔う場です。懐かしい方と再会しても、余計なおしゃべりは控えてください。
もちろん、近しい友人が遺族である場合には、声を掛けたくなるものです。その場合でも、悲しみのなかにいるからこそ、掛ける言葉には細心の気遣いでもあるお通夜マナーがあります。
【遺族への挨拶でのNG行為】
■ 基本的に悲しみを増幅する言葉は避けます。
・ 故人が亡くなった原因を聞くことは、タブーです。
・ ご遺族の方々、参列者の方々とも、世間話は避けます。
もちろん大きな声で話したり、笑ったりすることは厳禁です。できるだけ挨拶は、目礼や会釈などを心がけるのがマナーです。ご遺族への声掛けも、真心を込めながらも簡潔に。
「通夜ぶるまい」への心遣いを忘れずに
お通夜の後に、親族や参列者が食事をすることを「通夜ぶるまい」といいます。この通夜ぶるまいは、故人を偲び供養をするという意味が込められています。
【「通夜ぶるまい」へのお通夜マナー】
■ もし食欲がない場合でもお断りせず、箸だけでもつけてください。
・ 長居は控えつつ、出して頂いた食べ物は、有り難くいただきます。
通夜ぶるまいではお酒が振舞われることもありますが、通夜ぶるまいは、あくまでもお通夜の一部です。宴会ではありませんのでなるべく静かにいただき、長居は控えるのが礼儀です。
いかがでしたでしょうか。今回は突然の訃報でお通夜に駆けつけるものの、心配な基本的なお通夜マナーを、7つの項目に分けて説明してきました。お通夜では、たくさんの方が故人を亡くしたことを悲しみ、それぞれの思いを偲んでいます。そのような場では、特にマナーに気を付けるべきです。
初めての頃は、「気持ちが大事」と気のみ気のまま、参列してしまう若い人々も多いです。そのため、年月を経てから思い起こして「恥ずかしい!」と感じた、と言う経験談が多いのも、お通夜の席。それぞれの宗派によっても細かいお通夜マナーがあるため、できることなら、身近な年配の方々に確認したいところです。
特に遺族の方は、深い悲しみの中にいます。不快な思いをさせ、さらに悲しみを増長させないよう、心配りと気遣いをすることが大切です。お通夜に参列する際は、落ち着きながら素早く準備をし、出発する前に改めて本記事に目を通していただき、マナーを再確認してください。
まとめ
急な訃報でも礼儀を持って参列できる、お通夜のマナーとは
・お通夜は遅れてもOK!遅すぎなければ必ず駆けつける
・喪服でなくても大丈夫。服装はブラックフォーマルが基本
・お通夜でのお香典で新札はNG!折り目のついたものを
・時間をしっかり確認。あまり早く着きすぎることは避ける
・忌み言葉に注意!使用するべきではない言葉に気をつけて
・あくまでもお通夜!私語は控えてマナーを守る
・欠席NG!通夜ぶるまいは箸だけでもつけるのがマナー