故人を偲ぶ機会として、通夜や告別式を行うのが一般的です。
ですが最近になり都市部では「直葬」というものをする家が増えているといいます。その数は都心部では、5件に1件を占めているとも言われ、直葬が増えているということを表しているものです。
でもこの直葬とは、いったいどんなものなのでしょう。
直葬とは、通夜や告別式を行わず、故人が亡くなった後、直接火葬場に運び火葬をするというものです。中には僧侶を呼ばない直葬というケースもあり、この「直葬」が宗教とは離れた儀式となっているものが増えているのが実情です。
では、この直葬とはどんな時に選択されるものなのでしょうか。その直葬を選ぶ理由には、現在の社会の問題と思われているものが如実に反映されているものでもあります。
その社会の縮図とも言える都市部で増えている「直葬」を選び葬儀をしない理由を7つご紹介しましょう。
都市部で増加中の直葬、
葬式をしない7つの理由
葬儀費用が払えない人が多くなった
最近の都市部では、収入に大きな格差があると言われており、少ない収入の中から葬儀費用を捻出することが難しいと考えている人も多いようです。
一般的な葬儀費用については、全国平均でも200万円を超えると言われており、定収入の世帯では、間違いなく大きな負担となるとかんがえられます。
故人の費用で葬儀をあげるのではなく、残された遺族の費用で葬儀を行う場合には、残念ながら費用の理由で、直葬となる可能性も高くなると考えられるでしょう。
参列してくれる知人友人が少ない
マンションや新興住宅地が増えていることもあり、地域のコミュニティーとのつながりが希薄になっていると言われています。
また、インターネットや携帯電話の普及で、家を出ることなくさまざまな用事を済ませることが出来たり、SNSでコミュニケーションを図ることが出来るので、実生活での関係はどんどん薄くなっていく傾向にあります。
そのために、葬儀を行っても参列してくれる人が少なくなっているのも直葬が増えることにつながっています。
故人への愛情がなく儀式をしない
親子関係や親族関係が悪化してしまっているケースでは、故人に愛着・愛情がないために葬儀という儀式ではなく、遺体をお骨にするための手段として直葬を考えるという人もいるようです。
以前は、そのような関係性であっても親族や知人の助けなどを借りて、通夜葬儀という形で故人を見送っていたものと考えられています。
ですが最近では、葬儀の形が多様化していることもあり、直葬という火葬のみというスタイルを選ぶ人も増えているようです。
費用や手順の多さから敬遠してしまう
通夜や葬儀は費用が多大に掛かってしまうことは先程もご紹介しましたが、その際にやるべき手順が多かったり、参列者への対応などやらなくてはならないことが多いために、それを敬遠してしまうという遺族も増えているようです。
人間関係が希薄になっていることもあり、普段の生活にかけ離れた気を使う儀式を行い、また多くの費用が支払うことに抵抗があるようです。
費用が捻出できたとしても、あまりの葬儀の手順やしがらみの多さから尻込みしてしまう人もいることでしょう。
核家族化が進み血縁者が少なくなった
核家族化が進んでいる現在、亡くなった故人に血縁者がいないというケースも少なくありません。
また、遺族に血縁者が少ない場合もあり、そのことから葬儀を簡略化して執り行いたいと考えて直葬を行うこともあります。
本来は、葬儀を執り行うことで、親族や知人の故人とのお別れの場所を作りますが、それをする必要がないと感じた場合には、直葬であっても、問題はないとも言えるでしょう。
お別れの場所がほしいと言ってくれる人が少ないことはとても寂しく感じますね。
葬儀をする意味を見いだせなくなった
都市部では、葬儀をすることに意味が見いだせなくなったというのも直葬をする理由になっています。
さまざまな理由がありますが、宗教心がなく特定の宗教での葬儀で故人を見送る必要性を感じられない人が増えているのも原因の一つなのかもしれません。
もともとは、宗教と人々の生活は密着したものでしたが、現在では葬儀の時にしか宗教に接することがなくなっている人も多く、葬儀をすることに意味が見出せないこともやむをえない理由なのかもしれませんね。
遺族に金銭的精神的負担を掛けたくない
少子化が進んでいることもあり、故人が亡くなった時に子供ひとりにかかる負担は、精神的にも費用的にも大きくなっているのが現状です。
残される子供のために、精神的にも費用的にも大きな負担となる葬儀を執り行うという負担を残したくないと考えて、亡くなった時の葬儀費用や葬儀の内容について予め決めておいたり、精神的費用的な負担が小さい直葬を生前に希望する人も増えていると言われています。
残された遺族にとっても合理的な方法であるとはいえますが、寂しい気持ちにもなりますね。
いかがでしょうか。直葬を選び葬儀をしない理由は、関係の希薄さでしたよね。
本来、葬儀を執り行うことには大切な意味があり、その意味を考えることにも大きな意味があったはずです。それを合理的に直葬という儀式を解決策としてしまうことには寂しさも感じてしまいますが、そこに意味を見出す人たちが増えていることも事実なのです。
葬儀をしない理由は、まさに現在の社会問題の縮図になっていると言えます。故人を見送るという儀式の形は多様化していますが、亡くなった人を偲び、悔む気持ちだけは忘れたくないものですね。
まとめ
都市部で増加中の直葬、葬式をしない7つの理由
・葬儀費用が払えない人が多くなった
・参列してくれる知人友人が少ない
・故人への愛情がなく儀式をしない
・費用や手順の多さから敬遠してしまう
・核家族化が進み血縁者が少なくなった
・葬儀をする意味を見いだせなくなった
・遺族に金銭的精神的負担を掛けたくない