神社に参拝する時には、いくつかの守るべきマナーがありますが、改めて思い返せば、キチンと理解している人々は少ないですよね。そのため、知らず知らずのうちに行っていた神社の参拝が、神様への大きなマナー違反になっていることもあるのです。
最近「パワースポット」として全国的に有名な所も増えましたが、多くのどの町にもある小さなお社まで幅広くある神社。どの神社でも神様をお祀りし、人々の信仰を集めていることには変わりはありません。
多くの方はお願い事がある時に神社に参拝するでしょうから、ぜひ失礼のないようなマナーを身につけておきたいものですね。
そこで今回は、神社の参拝のマナーを7つの項目に分けてお伝えします。ポイントは神社への参拝を「大切かつ神聖な人に会いに行く」と考えること。そうすると、マナーの意味がよりわかりやすくなるはずです。
神社の参拝方法は大丈夫?
実は知らない7つのマナー
神社へ参拝する際の、鳥居
神社と言えば、必ず鳥居があります。この鳥居は、私たちの住む「俗世」と神様のいる「聖域」の境界にある門だと考えられています。したがって鳥居をくぐり神社の境内に入ったら、そこはもう「聖域」!
【 神社の参拝:鳥居 】
★ そのため、鳥居を避けて境内に入ったり、近道として参道の途中から境内に入ることは、いわば壁を乗り越えたり、裏口から「家の敷地内」に入ること同じです。
・ さらに鳥居をくぐるときは、お辞儀をして参道を進みます。
なお、規模の大きな神社では「二の鳥居」「一の鳥居」など、大きな鳥居が離れて存在することもあります。これは、くぐるたびに神様に近づき身が清められていくことを意味しますが、あまりに鳥居同士が離れているようなら、一の鳥居だけでも、きちんとくぐるようにしてください。
参道の中央を通らない
参道の中央は「正中(せいちゅう)」と呼び、神様の通り道。そのため参道の右側か左側に寄って参道を進むのが本来の姿なのです。
【 神社の参拝:参道の歩き方 】
★ もっと厳密に言いますと、行きと帰りの「歩く場所」は別にすること、という考え方もあります。
・ 例えば規模の大きな神社などの初詣などでは、参拝順路が矢印で示されることがありますが、あの順路は混雑を避ける意味もあるものの、順路通りに進めば歩く場所が、行きと帰りでは違うようにできているのです。
普通に神社に参拝する時には、例えば「行くときも帰る時も、自分から見て参道の『左側』を通るようにする」と決めておけば、同じ参道でも行きと帰りの足取りを変えることができるので、試してみてください。
「手水舎」で手と口を清める
参道を進んでいくと、必ず「手水舎(ちょうずや・てみずや)」と呼ばれる、柄杓が備えられた施設があります。ここは神様に直にお会いするために、身を清める場所。
もともとの由来は水に浸かって身を清める「禊(みそぎ)」ですので、神社に参拝するときには必ず立ち寄ることが大切です。それでは、手水舎での手と口を清める作法をお話します。
【 手水舎の作法 】
① 手水舎の前で一礼する。
② 右手に柄杓を持って水を汲み、まず左手を水で清める。
③ 柄杓を左手に持ち替えて、右手を水で清める。
④ もう一度柄杓を右手に持ち替えて、左手の手のひらに水をため、その水で音を立てずに口をすすいで清める。
⑤ 口に含んだ水を、左手で口元を隠しながらそっと排水溝に吐き出す。
⑥ 残った柄杓の水で、再度左手を清める。
⑦ 柄杓の柄を椀の部分が上になるようにして片手で持ち、柄に水を流す。
⑧ 柄杓を元あった位置に戻して一礼する。
この時、柄杓に口をつけることはタブー!必ず水を手のひらに受けて口を清めるようにしてください。また、濡れた手をぬぐうためのハンカチなどをあらかじめ取り出しやすく用意しておきます。
お賽銭を賽銭箱に投げ入れない
拝殿に着いたら、いよいよ神様への拝礼です。順番としてはお賽銭を入れるのが最初となります。
【 神社の参拝:お賽銭 】
★ このお賽銭ですが、賽銭箱に音を立てて投げ入れる方もいますが、静かにそっとずべらせるように入れるのがマナーなのです。
・ 何故なら、お賽銭はもともと収穫された米や野菜などの、食料の捧げものだったからです。
捧げものがお金に変わった今でも、もともとは食料だったと思えば、投げることがマナーに反することはどなたでも理解できること。大規模な神社の初詣で、賽銭箱が遠くて投げ入れるしかない事態を除き、なるべくお賽銭は丁寧に扱うようにできれば安心です。
鈴を力強く鳴らす
賽銭箱にお賽銭を入れたら、鈴についている紐や縄でを揺すって鈴を鳴らします。
【 神社の参拝:鈴を鳴らす 】
★ この時は申し訳程度に鳴らしたり、他の参拝者の目を気にして控えめに鳴らすのではなく、なるべく力強く鳴らすのがマナーです。
・ この鈴の音は、神様へのご挨拶の意味もありますが、鈴の音によって場を清め、魔物や悪しきものを祓うともされているのです。
ぜひ遠慮せずに、力強く境内に鈴の音を響かせてください!
拝礼は「二拝二拍手一拝」が基本
鈴を鳴らした後にようやく拝礼となります。神社によっては拝礼方法が図や文章で説明されている場合もありますが、基本的な拝礼は以下のようになります。
【 神社の参拝:拝礼の仕方 】
① 姿勢を正して、二回深いおじぎをする(二拝)。
② 胸の高さで一度両方の手のひらを合わせ、右手を少し下にずらした状態で二度柏手を打つ(二拍手)。
③ 柏手を打ったら、手のひらをぴったりと合わせ直して祈り、手を下ろす。
④ 最後に一回、深いお辞儀をする(一拝)。
右手を少し下にずらすのは、神と人が一体になっていないと言う意味です。その状態で柏手を打つことにより邪気を祓い、その後、手のひらをぴったりと合わせることで神と人が一緒になり、祈りを聞き届けてくれると言われています。
なお、例えば出雲大社は二拝四拍手一拝など、神社によっては拝礼の作法が異なる場合があります。
参拝が済んでも油断をしない
参拝が済んでも、境内を出るまではまだ「聖域」の中ですので、油断しないように!
【 神社の参拝:参拝が済んだ後 】
★ 行きと同じように、参道の中央は通らずに進みます(順路の表示がある場合はその順路に従います)。
・ そして鳥居をくぐったら拝殿の方に向き直し、一礼してから帰路に着きます。
いかがでしたでしょうか、作法のひとつひとつにそれ相応の意味があることに、驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。この作法を覚えておけば、日本中どの神社に参拝に行ったとしても、神様に失礼のない参拝をすることができます。
なお、私たちはつい観光目的で、有名な神社に参拝することもありますが、大切なのは自分の家の近所の神社にも参拝しておくことです。冒頭でも述べましたが、どんなに小さい神社でも神様が祀られています。
そしてその地域全体を昔から見守ってくれているのですから、挨拶と感謝の意味をこめて折に触れて参拝しておくと、心もスッキリ保つことができるのではないでしょうか。
これらの神社の参拝の作法は、日本人としても理解しておきたいもの。ぜひ身につけておきましょう。
まとめ
神社の参拝の作法の基本
・鳥居は必ずくぐり、入る前に一礼をする
・参道の中央は歩かない。帰りと行きは違う場所を通る
・「手水舎」には必ず立ち寄り、手と口を清める
・お賽銭は丁寧に扱い、乱暴に投げ入れない
・鈴を鳴らすことは神様への挨拶、そして魔を祓う意味もある
・二拝二拍手一拝が拝礼の基本だが、少し異なる神社もある
・鳥居を出るまでが神社への参拝。鳥居をくぐったら一礼