考えたくはないけれど、決して逃れることはできない家族の死。深い悲しみの中にありながらも、故人をあたたかく送り出してあげるのが家族の使命です。
通夜と葬儀を取り仕切るために、まず決めるのは誰が喪主を務めるかということ。もしあなたが務めることになったらどうしますか?
急なことだけにゆっくりと準備を進めている暇はありません。今回は、喪主の挨拶をすることになった際に注意したい7つのマナーについてお伝えします。
喪主の挨拶をする際に注意する
7つのマナー
その1: 平等に感謝を伝える
喪主とは、いわば葬儀の主催者です。遺族の代表者として一連の葬儀を取り仕切らなくてはなりません。実務的ことは周囲に任せ、故人に寄り添う位置で弔問を受けるのが喪主の役割。
目上の人であっても玄関まで見送る必要はなく、一人の方と長々と話し込むのもマナー違反です。これは挨拶をする時も同様で、来ていただいた全ての方へ平等に感謝の気持ちを伝えなければなりません。
特定の方への思いやエピソードに偏ることのないように注意しましょう。一人ひとりに伝えられなかった感謝の気持ちは、喪主の挨拶でお返ししましょう。
その2: 忌み言葉を使わない
葬式や葬儀の席では、不吉な意味を連想させる「忌み言葉」は使用しないのがマナーです。
重ね重ね、またまた、度々のような「繰り返し言葉」は、死や不幸が繰り返されることを意味するので喪主の挨拶でも避けましょう。
その3: 長くなりすぎないようにまとめる
故人への思いは語っても語り尽くせないものだと思います。上手に話す必要はありませんが、ある程度の気持ちはまとめておきましょう。
溢れる思いに任せて話していると、次々と話したいことが出てきて全体的にまとまりのない挨拶になりかねません。季節や天候によっては、悪条件の中で会葬者に立ち姿勢を強いることになります。
聞く側に負担をかけない程度の時間配分を考えましょう。心配な方は、あらかじめ原稿を準備しておいても構いません。
その4: 会葬者の心情を考える
思いもよらぬ急な死のお知らせは、会葬者にも多大なショックと負担をかけることになります。まずは忙しい中駆けつけてくださったお礼と急なお知らせのお詫びを伝えましょう。
会葬者から積極的に聞かれることはないと思いますが、当然気になるのが死因です。
死因が明らかにされないままでは、会葬者もきちんとした気持ちで故人とのお別れをしにくいもの。自殺や事件に巻き込まれての死など遺族にとっては辛いものであっても、差し支えのない程度に伝えてあげるのが親切です。
辛いのは遺族だけではなく、会葬者も同様であるということを忘れないようにしましょう。
故人が長い闘病生活に苦しんでいたのであれば、「最後は安らかな顔をしておりました」など会葬者がほっとするような言葉を入れるのも心配りです。
その5: あたたかいエピソードを盛込む
挨拶の中に故人の人となりを紹介するエピソードや家族しか知らない素顔などを交えると、故人への想いがこもったあたたかい挨拶になります。
ただし本人はよかれと思って話したことが、聞く人によってはあまり印象のよくないこともありますので注意が必要です。エピソードが思いつかない場合は、故人が話した印象深い言葉などを入れるとよいでしょう。
葬儀は悲しい場には違いありませんが、会葬者と共に故人を偲び少しでもあたたかい気持ちで帰っていただくのもひとつのお返しです。
その6: 冷静に落ち着いて話す
それが突然の死であれば、どこかに悲しみをぶつけたくなるかもしれません。でも感情的になり、自ら悲しみをあおるような挨拶は控えましょう。亡くなってからまだ時間が浅くても、喪主としてしなければならないことがたくさんあります。
すぐに冷静になることは難しいと思いますが、気持ちを落ち着かせながらゆっくりと話すよう心がけましょう。会葬者も完璧な挨拶など求めていません。原稿を見ながらでもいいので、自分のペースで丁寧に話せば気持ちの伝わる挨拶になります。
その7: 無理そうであれば代理を立てる
本来であれば、喪主本人が挨拶をすることが望ましいと言えます。ただ、精神的ショックが大きく話すことが困難な場合や、喪主がまだ若く幼い場合などは代理の人にお願いしても構いません。
言葉に詰まったり、泣いてしまうのは仕方のないことですが、あまりに取り乱してしまっては聞く側にも精神的負担を与えてしまいます。
スムーズに話す必要はありませんが、あまり無理をするよりは代理の人に任せるのもひとつの方法。ただし代理を頼む場合は、どのような立場なのか挨拶前に自己紹介をしてもらいましょう。
以上、喪主の挨拶をする際に注意する7つのマナーをまとめました。喪主の挨拶に絶対こうしなければならないという決まりはなく、ここにまとめた内容も全てを盛り込む必要はありません。
一番大切なのは、お別れに来てくださった方々への感謝と気配り。辛いのは遺族だけではないということを心に留めて、故人をあたたかく送り出せる挨拶にしたいものですね。
まとめ
喪主の挨拶をする際に注意する7つのマナー
その1: 平等に感謝を伝える
その2: 忌み言葉を使わない
その3: 長くなりすぎないようにまとめる
その4: 会葬者の心情を考える
その5: あたたかいエピソードを盛込む
その6: 冷静に落ち着いて話す
その7: 無理そうであれば代理を立てる