三回忌に参列する時。社会人なら知っておきたい基本のマナー


三回忌は故人の命日から数えて二年後に執り行われる法要のことです。「どうして命日から三年後ではなく二年後なの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

それは命日の当日が一回目の忌日、命日から一年目(一周忌)が二回目の忌日、そして二年後は三回目の忌日という数え方をするからです。三回忌は法要の中でも重要なもので、残された遺族や親族の他、故人に縁のある友人・知人が集まり供養を行います。

多くの方にとっては招かれる機会がそれほど多くない儀式ですから、基本のマナーも曖昧になりがちですが、社会人ともなれば、やはり「知らず知らずのマナー違反」というのも避けたいもの。事前にしかるべきマナーを押さえておきたいものですね。

そこで今回は、三回忌に参列する時には確認しておきたい、一般的な基本のマナーについてお伝えします。

 

三回忌に参列する時。
社会人なら知っておきたい基本のマナー

 

神式やキリスト教式での「三回忌」

三回忌とは仏式の法要のことですので、神式やキリスト教式では、その教義に従った儀式となります。

【 神式での「三回忌」 】

■ 「三年祭」と呼ばれますが、三回忌とは異なり、故人の逝去日から数えて「三年後」の追悼の儀式を指します。

【 キリスト教式での「三回忌」 】

■ 決まった儀式はありませんでしたが、仏式の法要に合わせてカトリックでは「追悼ミサ」、プロテスタントでは「記念式」を行うことがあります。

こちらも神式と同様に、故人の逝去日(カトリックでは「昇天記念日」プロテスタントでは「召天記念日」と呼ぶ)から三年後となります。

この後、各項目でお話を進めますが、儀式の内容は違っても供物料や供物、参列のための服装などは共通事項が多いものです。そして何よりも故人を思いを馳せ、遺族とともに祈る心が大切です。

 

三回忌の法要に招かれたら

ここからは、仏式の三回忌のマナーを中心にお話を進めます。三回忌などの法要に招かれたら、できる限り参列するのが礼儀です。

【 三回忌を欠席する 】

■ やむを得ず欠席しなければならない時は、まず電話で欠席の旨を伝え、法要の前日までに先方に届くように、供物料または供物を送るのがマナー。

・ 供物料や供物の詳細に関しては後述しますが、供物料は不祝儀袋に入れ、欠席のお詫びの手紙と共に現金書留の専用袋に入れてから、先方に送るようにします。

供物も水引が印刷された「掛紙」をかけて送ります。これらは神式やキリスト教式においても同様のマナーです。

 

供物料の相場と不祝儀袋の書き方

三回忌に参列する際には、遺族から「供物の辞退」がアナウンスされていない限りは供物料または供物を持参します。まずは供物料についてお話します。

【 供物料とは 】

■ 通夜や葬儀の際に持参する「香典」と同等のものです。

まずはその「相場」ですが、法要後にお斎(おとき・会食のこと)がある場合はそれを考慮した金額とします。

【 三回忌の供物料の相場 】

・ 故人と血縁関係にある場合は1~3万円(お斎があるなら2~5万円)
・ 故人との関係が知人や友人なら5千~1万円(お斎があるなら1~3万円)

…が大体の相場です。

なお、神式やキリスト教式でも相場は同じです。供物料は葬儀の時と同様、不祝儀袋に入れて持参します。以下に仏式及び、神式・キリスト教式の不祝儀袋の書き方を説明します。

【 三回忌の不祝儀袋の書き方 】

○ 仏式

・不祝儀袋は、水引が黒白または双銀の結び切りを用いる(地方によっては水引が黄白になることも)。
・表書きは「御仏前」「御佛前」または「御供物料」を用いる。

浄土真宗を除き、四十九日の法要までは「御霊前」という表書きを使いますが、四十九日を過ぎると「御霊前」は使わず「御仏前」「御佛前」となります。

○ 神式

・不祝儀袋は水引が黒白または双銀の結び切りを用いる。
・表書きは「御供物料」「御玉串料」「御神饌料(ごしんせんりょう)」を用いる。

○ キリスト教式

・十字架や百合の花が描かれた専用の封筒や、白い封筒を用いる(水引は使わない)。
・表書きは「御花料」「御供物料」を用いる。

また、不祝儀袋には「香典」と同様に名前をフルネームで書き入れますが、表書き・名前とも薄墨ではなく、濃墨や黒の万年筆を使って書くようにします。

 

供物とその掛紙について

供物を贈る際には、原則的に掛紙をかけるのがマナー。「掛紙」とは、弔事に用いる水引が印刷された紙のことを指し、慶事では熨斗(のし)が印刷されているので「熨斗紙」と呼びますが、弔事には熨斗を用いないため「掛紙」と呼ばれます。

以下に仏式及び神式・キリスト教式の供物と、その掛紙について説明しますので、参考にしながら準備をしてみてください。

○ 仏式の場合

・供物は菓子・果物・線香・ろうそくなどの他、故人が好きだったものを。

・殺生を連想させる肉や魚は避ける。

・掛紙は水引が黒白または双銀の結び切りとし、表書きは「御供物」「御供」とし、名前も書き入れる。

○ 神式の場合

・供物は菓子・果物・酒などの他、故人が好きだったものを。

・ろうそくや線香は仏式の供養のためのものなので避ける。

・掛紙は水引が黒白または双銀の結び切りとし、表書きは「御供」「奉納」とし、名前も書き入れる。

○ キリスト教式の場合

・生花のみ「供花」として贈る。供物は贈らない。

・教会には供花を置けない場合があるため、バスケットや花束にしたものを遺族の自宅に届けるのが原則。

・掛紙は必要ない。

・バラなど、トゲのある植物は避けること。

 

三回忌の際の服装

三回忌の際の服装は、男女とも「略喪服」を着用するのがマナー。大切なことは、決して遺族よりも高い格式の喪服を着用しないことです。三回忌では遺族は「準喪服」を着用するのが一般的で、葬儀や告別式に参列する時の参列者の喪服がこれにあたります。

「略喪服」は「準喪服」よりも制約がゆるいものになりますので、以下に説明します。

○ 男性

・スーツは黒や紺・チャコールグレーなどの無地のダークスーツを。シングルでもダブルでも可。

・シャツは白無地、ネクタイは黒無地とし、タイピンはつけない。

・靴は光沢や派手な飾りのない黒いものとし、靴下も黒を着用すること。

○ 女性

・黒や紺・チャコールグレーなど、露出の少ない無地のシンプルなスーツ・アンサンブルやワンピースを。

ちなみに、女性の服装マナーは数多く、スカート丈はひざ下で、フレアスカートやプリーツスカートなど、動きやすいものが好印象。もちろんパンツスーツでも大丈夫です。

・アクセサリーをつける場合は一連のパールやオニキスのネックレスを。

ストッキングは黒を着用する。

・靴やバッグはシンプルで光沢のない黒いものを。

・髪はきちんとまとめて、メイクを控えめにすること。

なお、男性にも女性にも言えることですが、靴やバッグなどは爬虫類やファーなど、殺生をイメージさせるものはNGです。三回忌も「故人を偲ぶ場」ということを決して忘れないでください。

 

遺族への挨拶と供物料や供物の渡し方

会場には決められた時間の20~30分前には到着するようにしてください。

【 三回忌でのご遺族への挨拶 】

■ まず遺族に

「本日はお招きいただき恐縮です。ご一緒にご供養させていただきます。」

※ (神式やキリスト教式では『供養』を使わずに『お祈りさせていただきます』)

…と挨拶をします。

この時「ありがとう」という言葉は使わないのがマナーです。例えば「お招きいただきましてありがとうございます」などの挨拶は避けます。供物料は通夜や告別式同様に、袱紗(ふくさ)に包んで持参します。

【 三回忌での供物料 】

■ 自ら仏前や神前に供えるのではなく、遺族に挨拶した際に「心ばかりですがお供えください」と一言添えて渡します。

供物も同様に、遺族を通して仏前や神前に供えて貰います。その後の儀式は式次第に従って進行しますが、焼香や献花などは通夜や告別式と同様となります。

 

三回忌の基本的なマナーのお話はいかがでしたでしょうか。仏式の法要は三回忌以降も七回忌、十回忌…と節目ごとにその後も続きますが、七回忌からは遺族と親族のみで法要を執り行うのが一般的です。

故人との関係が友人・知人の場合は、法要に参列できる最後の機会でもあります。「招かれたら参列するのがマナー」という理由には、このような事情もあることを覚えておくと、行き届いた配慮ができます。

宗教によって儀式に様々な違いはあるものの、故人を偲んで安らかであるよう祈る気持ちは、どの方式でも最も大切なもの。故人や遺族に対して敬意を示すために基本的なマナーを守ることも大事ですが、そんな気持ちを持って参列すれば、故人もきっと喜んでくれるのではないでしょうか。

 

まとめ

三回忌の基本マナー

・神式やキリスト教式でも、参列時のマナーは共通している
・不祝儀袋の書き方は、宗教によって違いがある
・供物も宗教によって違いがあることに注意
・参列時の服装は「略喪服」で遺族より格上の服装はNGとなる
・遺族への挨拶は「ありがとう」を使わず、お供えは遺族に渡すこと


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