お彼岸とは何か、子どもに堂々と伝えられる人は案外少ないですよね。「お彼岸とは?」の問いに限らず教えたい、日本での代々伝わる神様を崇めて大切にする行事。
あなたも子供の頃から、「お彼岸とは?」と敢えて考えなくても、当たり前のように家族と一緒に、先祖が祭られているお墓や寺院に、1年のうちに何回か出向いて日頃の感謝の気持ちを伝えてきたのではないでしょうか。
そもそもお彼岸とは仏教の教え。悩みや煩悩に溢れている私達が住む世界「此岸(しがん)」から、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の修行をすることで、「彼岸(ひがん)」まで行くことが出来る、という考え方なのです。
けれども、お彼岸にお墓参りをするのは、日本独特の習慣だということなど、「知らなかった!」と驚くことも多いですよね。
そこで今回は、毎年当たり前のように行っているお彼岸の儀式。子供に伝え繋げたい、その由来と豆知識をお伝えします。まずは大人が知っておきたい「お彼岸とは?」の答え。本記事で見つけてください。
お彼岸とは何?
子どもに言い伝えたい、由来と豆知識
お彼岸の時期とは
仏教国であるインドにはなく、日本だけに根付いているお彼岸とは正式名称を「彼岸会(ひがんえ)」としています。とは言え、そもそもお彼岸とはいつのことを指すのでしょうか。
【 お彼岸とは:その時期 】
★ みなさんは、1年を通して2回お彼岸があることをご存知ですよね。
・ 春のお彼岸…
春分の日を中日(ちゅうにち)として考え、その前の3日間とその後の3日間を合わせた合計7日間です。
・ 秋のお彼岸…
秋分の日を中日として、その前後3日間を合わせた合計7日間。
お彼岸の存在だけでなく、日本人としてお彼岸の期間もきちんと理解して、行事を進めていくと、深い行事だと分かります。
お彼岸のさまざまな呼び方
「お彼岸とは、どのような儀式なのか。」を理解していく上で、さまざまな呼び方があることを知っておく必要があります。先ほどお彼岸の期間は、春分の日と秋分の日を中心に前後3日間とされているお話をしました。
【 お彼岸とは:呼び方 】
・ 基準となる春分・秋分の日を「お彼岸の中日(ちゅうにち)」と呼んでいます。
・ 春と秋ともにお彼岸の初日を「彼岸の入り」
・ 最終日を「彼岸明け」
…と、呼ぶのが一般的。
ほとんどの人が春の先祖供養を「お彼岸」と呼んで、秋の先祖供養は「秋彼岸」と呼んでいます。
お彼岸とは、どのようなことをするの?
お彼岸とは、仏教では極楽浄土を意味しますが、日本ではお彼岸にどのようなことをするのでしょうか。
【 お彼岸とは:行うこと 】
① まずは彼岸の入りを迎える前に、自宅の仏壇をキレイにしておきます。
・ 仏壇はご先祖様の居場所ですから、日頃の感謝の気持ちを込めて、丁寧にお掃除するようにして下さい。
② そして、ぼた餅や果物などを供えて、ご先祖様に捧げてください。
③ 春・秋ともにお彼岸の期間は、朝と晩の2回仏壇にろうそくを灯して、お線香を供えておくのです。
お寺では彼岸会(ひがんえ)やお彼岸法要が行われています。そちらに参加して、先祖供養をおこなうのもひとつの方法です。
お彼岸法要に参加する時の持ちもの
お彼岸の期間中にお墓参りをして、お寺で執り行われている「彼岸会(ひがんえ)・お彼岸法要」に参加する方もいますよね。参加する場合には、きちんとお布施を包んでいく必要があります。
【 お彼岸とは:彼岸会(ひがんえ)のお布施 】
★ ちなみにお布施の相場は5,000~10,000円ほどとなっていますが、基本的に最終的な決定は、個人の見解で決めるもの。
もしも、自宅の仏壇前にてお彼岸法要を行う場合は、費用は30,000~50,000円ほどかかります。また場合によっては、僧侶のお車代をお渡しすることもあります。
「ぼた餅」と「おはぎ」の違い
「お彼岸とは…。」を語る上で、お供え物である「ぼた餅」と「おはぎ」についての豆知識をお伝えします。
基本的に「ぼた餅」と「おはぎ」は、全く同じ食べ物です。材料・作り方、味も同じ食べ物なのに、どうして名前が違うのでしょうか?それは、四季の国「日本」ならではの考え方があるのです。
【 お彼岸とは:ぼた餅とおはぎ 】
★ まず春彼岸の時には、春に花を咲かせる牡丹をなぞらえて「牡丹餅」と呼び、秋には中秋の名月にお供えする萩になぞらえて「お萩」と呼んでいます。
小豆独特の色には、厄除けの効果があると言い伝えられていたことから、おはぎを食べる習慣が根付きました。
お供え物をする時の注意点
先祖供養のためにお墓参りをする時は、お菓子やお花、果物などをお供え。ご先祖様に失礼のないように、お供え物に関してのルールを理解しておくことが大切です。
【 お彼岸とは:お供え物の注意点 】
・ お供え物であるお菓子や果物を、お墓の上に直接置いてはいけません。汚れないように、必ず2つ折りにした半紙の上に置くようにして下さい。
・ お花をお供えする時にはお花1本1本の長さを揃えて、花立てに飾るのが作法。
ご先祖様への感謝の気持ちを、しっかりとお供え物に込めていくことが大切です。
「黒紋付き」を準備するご家庭も
お彼岸の期間中、ご先祖様を供養するために「黒紋付き」を準備する家庭もあります。
【 お彼岸とは:黒紋付きを準備する理由 】
■ 黒紋付きは喪に服す時に着用するものですから、家族に高齢者や病気と闘っている人がいる場合はなかなか準備することは出来かねます。
・ そこで、ご先祖様を供養するという名目で、黒紋付きを準備するのです。
必ず作らばければいけないというものではなく、喪のものを作る際に彼岸の期間を選ぶご家庭もあるというお話です。
いかがでしたでしょうか、今回は「お彼岸とは?」というテーマで、大人が子供に伝えたいお彼岸の豆知識をお伝えしました。春と秋の2回、ご先祖様を供養するためにお墓参りをすることは、日本独特の習わしだということ、驚かれた方々も多いのではないでしょうか。
日頃みなさんが豊かな暮らしを送っていくことができるのも、空の上から見守ってくれているご先祖様のおかげだと考えて、お彼岸に向けてしっかりと準備をしておくことが大切です。
ぼた餅・お花・お菓子などのお供え物や仏壇の掃除など、お彼岸に備えてしっかりと取り組んでいきたいですよね。お子さまと一緒にご先祖様をお迎えする準備をして、お彼岸の意味を理解する上でも、有意義な時間をすごしてください。
まとめ
お彼岸の由来と豆知識
・お彼岸は春分の日と秋分の日と、前後3日
・お彼岸では春分・秋分の日を「中日」と言う
・お彼岸では仏壇やお墓をきれいにして餅を供える
・お寺でお彼岸の会に参加する時は、お布施を準備する
・春はこし餡のぼた餅、秋はつぶ餡のおはぎ
・お供え物は半紙を半分に折った上に供える
・ご先祖様への供養の名目で、黒紋付きを準備する家もある