今さら聞けない!お彼岸の基礎知識


「お彼岸といえばお線香」…そんなCMのフレーズしか浮かばない…実に情けない…でも今さら人には聞けない!そもそも何を聞いたら良いかわからない…そんな方、身の回りでも少なくないようですね。

ご先祖様たちは、さぞかしシカメッ面で頭を抱えてしまっていることでしょう。でも『お彼岸』を知れば自分の中の何かが変わるかもしれません。『お彼岸』は、お線香とお花を手に先祖代々のお墓に参り、自分のルーツであるご先祖様に手を合わせ、その意味を改めてしっかり考える良い機会になりそうです。

『お彼岸』って何?『お彼岸』っていつ?『お彼岸』には何をするの?そこで今回は、現代人が忘れかけている…そんなお彼岸の基礎中の基礎、知っておくべき知識についてお伝えします。

 

今さら聞けない!
お彼岸の基礎知識

 

お彼岸に仏様の供養をすれば極楽浄土へ行ける

「お彼岸とは?」と問いかけてみると、一般的には春と秋に7日間ずつあり、その真ん中の日、いわゆる『中日』がピークで、その前後には家族でお墓参りに出掛ける人が多い…という位の認識や表現にとどまることが多いですよね。

この時期には寺院でも『彼岸会』の法要を行っているので、お墓参りに訪れた際には、お布施を納めて供養をお願いするのも良いでしょう。お坊さんに聞いてみると、実はお寺さんはお盆と同じくらいお彼岸も忙しいと言う声を耳にします。

彼岸は文字通り「向こう側」を意味する言葉です。梵語「波羅蜜多」が漢訳されたもので、仏の理想の世界、「この世」の向こう岸、つまり『浄土』に渡るためにそれぞれの宗教の教えを守り修行に励む時期、いわば『仏道週間』にあたるのが『お彼岸』なのです。

また、仏教(浄土思想)では、西は「西方浄土」と呼ばれ、仏様がいる極楽浄土の世界と言われています。

春分と秋分は太陽が真東から昇って真西に沈むということから、この『お彼岸』の時期に真西に向かって念仏すれば、ご先祖様達は必ず往生されると信じられているのですね。

この様に仏教では到達する悟りの世界を「彼岸」と言い、この期間に仏様の供養をする事で極楽浄土へ行くことが出来るという考えの元で『お彼岸』=ご供養ということに繋がる訳です。

 

3月の春分の日、9月の秋分の日がお彼岸の中日

3月の春分の日と9月の秋分の日を中心としてその前後3日ずつをあわせた計7日間のことを『お彼岸』といいます。この年2回を『春のお彼岸』『秋のお彼岸』とよび、彼岸の初日を『彼岸の入り』、真ん中を『彼岸の中日』、最後の日を『彼岸の明け』といいます。

1年の寒暖からみても、ちょうど真ん中にあたるこの2つの時期は、春分・秋分共に昼と夜の長さが同じになっています。

それは、仏教の「中道」の象徴、また、それを尊ぶ教えとも重なり、この日にお彼岸の行事として『彼岸会』の法要やお墓参りなど仏事を行うことには意味があります。

また、その時期には各ご家庭で季節にあわせた『おだんご』や『ぼたもち』『おはぎ』などを作って、お仏壇に供え先祖を供養したり、仏様に精進料理を供えて家族も同じものを食べたりすると言います。

因みに春のお彼岸にはその時期に咲く牡丹の花にちなんで『ぼたもち』、秋のお彼岸にはその時期に咲く萩の花にちなんで『おはぎ』と呼びます。つまり、その2つはまったく同じものだということは知らない方もいるようです。

四季がハッキリしている日本では寒暖の変わり目であるこの時期に種まきや収穫など、農耕の安全を祈願する行事が行われていたことと、仏教が結びついた日本独特の行事が『お彼岸』と言えます。

実は同じ仏教を重んじるインドや中国ですが、その様な理由からこの『お彼岸』という考え方や行事はないということも併せて覚えておくと良いでしょう。

『暑さ寒さも彼岸まで…』こんな言葉も耳にしたことはありますよね。『お彼岸』という考え方は農業文化に根ざした太陽信仰でもあるとのことですから、日本の四季を感じながら今ある幸せをご先祖様に感謝してみるのも良いものです。

 

初彼岸には特に丁寧に供養しましょう

大切な方との哀しいお別れのあと、亡くなってから初めての彼岸を『初彼岸』といいます。この初彼岸は、特に丁寧に供養するのがならわしです。しかし、これは『新盆』とは少し意味が違って故人の家族など、ごく親しいものだけで内輪で執り行うものです。

例えば、お彼岸の時期には自宅にあるお仏壇をきれいに掃除し、毎日水と花を取り替えます。お彼岸の中日には、『彼岸だんご』をお供えしてお線香をたきます。

仏前や墓前に僧侶を招き読経してもらうのが理想ですが、僧侶を招かない場合でもお花や供物、故人の好きだったものを持ち、必ずお墓参りをし、お供えをして手厚く供養します。因みに仏前や墓前に僧侶に来て頂いたら「お車代」と「お布施」を包みます。

ご先祖様がいる世界と私達がいる世界の距離が縮まると言われる『お彼岸』に、ご先祖様が眠るお墓にお参りに行き、日頃幸せにいられる感謝の気持ちを伝えるという考え方はとても素敵なことです。

お墓参りとともに、お墓のお掃除とお線香やお花のお供えでご先祖様に喜んでいただけたら嬉しいですよね。お彼岸に家族そろってご先祖様を供養して、『縁』を感じながらゆっくり心を通わせることはとても大切なことです。

 

いかがですか。以上が「今さら人には聞けない」と多くの方がお悩みのお彼岸の基礎知識です。普段、あまり改めて考えたことが無かったと言う方もいらっしゃるとは思いますが、確かに分かっていた様な気になっていたけど、実は何も知らなかったのだな~と改めて思うことばかりですよね。

お彼岸にはお墓参りをする。そんな風にしか考えていませんでした…「こんな罰当たりな子孫でごめんなさい」という感じで恥ずかしくなってしまうほどです。つまり、お彼岸とはご先祖様に感謝しつつ供養する、季節の節目行事の一つと考えると分かり易やすいですね。

これからは、お墓参りも今までとはちょっと違う気分で行くことができるでしょう。ご先祖様の有り難い言葉が聞こえてくるかもしれません。

 

まとめ

お彼岸の基礎知識は

○お彼岸に仏様の供養をすれば極楽浄土へ行けるといいます
○3月の春分の日、9月の秋分の日がお彼岸の中日です
○初彼岸には特に丁寧に供養しましょう


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