残暑見舞いや暑中見舞い、最近ではあまり出す人は少ないですが、どちらも本格的な夏が到来し、暑くなってきた頃の季節のお便りであることは、知られていますよね。
しかしこのふたつの違いは、案外知っている方々は少ないのではないでしょうか。実際に送った経験があったり、送ろうと具体的に考えると、ちょっとした疑問が出てくるのも、暑中見舞いと残暑見舞いなのです。
例えば暑中見舞いと残暑見舞いが切り替わるのはいつなのか、そもそも暑さもたけなわなのになぜ「残暑」という言葉を使うのか…など。いまひとつ腑に落ちないことだらけですよね。
そこで今回は、暑中見舞いと残暑見舞いの違いと、覚えておくと便利な豆知識をお伝えします。実際に暑中見舞いや残暑見舞いを送りたい時、またお便りのお返しをしたい時など、役に立つはずです!
残暑見舞いと暑中見舞いの違い?
お返しする時の豆知識
暑中見舞いと残暑見舞いの切り替わり
暑中見舞いと残暑見舞いの切り替わりの目安は、ズバリ「立秋」です。
【 残暑見舞いになるタイミング「立秋」 】
★ 立秋の頃には暑さの中にも、秋の気配が感じられる頃とされており、立秋より前が暑中見舞いを送る時期、立秋より後が残暑見舞いを送る時期。
・ つまり残暑見舞いはまさに、「暦の上では秋」になったら送る、季節のお便りなのです。
立秋の頃はもちろん気温はまだまだ高いものの、日の長さや雲の様子などには確かに少し秋らしさが漂っています。このような季節のわずかな変化に気を留めるのも、とても素敵なことではないでしょうか。
切り替わる目安、「立秋」
とは言えこの「立秋」、最近では知らない方々も増えてきました。皆さんは、猛暑続きの中でもニュースなどで、「暦の上ではもう秋」という表現を見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
これは、「立秋(りっしゅう)」を過ぎたという意味なのです。
【 暑中見舞いと残暑見舞いが切り替わる「立秋」 】
★ 立秋は毎年変わるものの、だいたい8月7日頃が目安となります。
・ ただ、どうしてこの時期が秋という表現になるのか、不思議ではありますが、その昔中国からやってきた二十四節気を日本の気候に合わせたものが、この暦。
農業での行事などに多く用いられ、冬至(12月22日頃)なども有名。およそ半月毎に季節が変化していくことを表しているのです。
暑中見舞いを送り始める時期
暑中見舞いと残暑見舞いの切り替わりが立秋であるのは、前の項でお話したとおりです。それでは、実際に暑中見舞いはいつから送っていいのか、始まる時期も知っておくと安心して送れます。
「暑中」とはそもそも、二十四節気の「小暑(7月7日頃)」~「大暑(7月23日頃)」~立秋前日の一ヶ月間を指します。
【 暑中見舞いを送る時期 】
★ この一ヶ月に送るので「暑中見舞い」と呼ぶのですが、7月7日頃は日本の多くの地域では、まだ梅雨の最中ということが多いもの。
・ そのため、通常は本格的な夏が到来したとみなされる、梅雨明け~立秋前までに暑中見舞いを送るのが一般的、となっています。
ここで注意したいことは、日本は細長い形をしているので、各地方の梅雨明けには差があるということです。つまり自分の住んでいる地域が梅雨明けをしていても、相手方はまだ梅雨明けをしていない、ということが!
暑中見舞いを送る時には、相手方の地域の梅雨の状況をチェックしてから送るのも、マナーなのです。
いつまでに残暑見舞いを送るのか
【 残暑見舞いを送る時期 】
★ 残暑見舞いに関しては、一般的に立秋~8月いっぱいまでに届くように送ります。
・ これは、「9月に入ればもう秋…。」というイメージがいよいよ強くなるからです。
なお異常気象などで、地方によっては梅雨明け宣言が出せないという年もあります。これは、立秋までに梅雨明けしたとみなされない場合に限り、梅雨明け宣言が出せない、ということ。
そうなると、暑中見舞いを送りたくても相手方の地域が、一向に梅雨明けしないことに!そんな年は、立秋を待って残暑見舞いとして送る方法もあります。
暑中見舞いが立秋に届いた時
時に暑中見舞いは、送っていない方から届くことも。もしも暑中見舞いが立秋ギリギリ、あるいは立秋当日に届いた場合、お返しの文言に迷いことがあります。
【 暑中見舞のお返し 】
★ これは暑中見舞いではなく、残暑見舞いとしてお返しします。
・ 何故ならこれらのお便りは、あくまでその時の季節のお便りだから!
もしも気になるようでしたら、「ご丁寧に暑中見舞いを頂戴しまして~」などの一文を記して、残暑見舞いを送るようにすれば、印象がとても良くなります。
目上の方にお便りを送る時
従来ですと「暑中(残暑)お見舞い申し上げます」が、基本の暑中見舞いや残暑見舞いのご挨拶の文言。ハガキでも良く見かけますが、やはり会社の上司や、目上の方であれば、丁寧な言い回しでご挨拶したいもの。
【 目上の方には、少し言い回しを変える 】
★ 「暑中(残暑)御伺い申し上げます」にします。
・ これでより丁寧な印象になりますし、公私を分けた暑中見舞い、残暑見舞いを送ることができるのでおすすめです。
気をつけたい、言葉の使い方
通常のお便りでのマナーは、拝啓ではじまり、敬具で終わる…、そして手紙の最後には書いた日付を入れて、署名をするのが基本です。けれども、暑中見舞いや残暑見舞いには、独特のマナーがあり、定例があるのです。
【 暑中見舞い・残暑見舞いのご挨拶作法 】
★ 文末は暑中見舞いの場合「〇〇年 盛夏」、残暑見舞いの場合「〇〇年 晩夏(あるいは立秋、葉月)」とします。
・ 通常のお便りで用いる「拝啓」などの頭語、「敬具」などの結語は用いません。
いかがでしたでしょうか、何気ない季節のお便りにも、このような背景があることにびっくりされたかもしれません。今ではメールやLineでも気軽に交流ができピンと来ませんが、昔は相手の様子が伺えるものだったのです。
暑中見舞いや残暑見舞いは、もともと暑さの厳しい折に友人・知人や、お世話になっている方を気遣い送るものですが、結婚・出産の報告や転居のお知らせなどを送るのにも、ちょうどいい機会でもあり、よく用いられます。
郵便でのやりとりは、ここのところの年賀状の配達数の減少などからも、どんどん少なくなっているのが伝わってきますが、実際にハガキが手元に届けば、ちょっとした挨拶が記されているだけでも、とても嬉しいもの!
ぜひ気負うことなく敢えてハガキで、暑中見舞いや残暑見舞いを、大切な方に送ってみてください!
まとめ
暑中見舞いと残暑見舞いの違いとは
・切り替わりは「立秋」
・立秋は8月7日前後で、毎年変わる
・暑中見舞いの送り始めは、相手地域の梅雨明けから
・残暑見舞いの送り終わりは、8月末日まで
・暑中見舞いのお礼でも、送った時期の挨拶をする
・目上の方には「○○お見舞い、申し上げます」
・暑中見舞いなどの作法と、お便りの作法は違う