告別式の挨拶例。葬儀で役立つケース別のスピーチ文

告別式とは本来、葬儀式の法要の後に会葬者全員でお墓に出向き、故人との最後のお別れをする社会的な儀式でありましたが、現在では故人にお別れの花を納棺した後、出棺を見送るまでの儀式が告別式にあたると言われています。

そして故人と遺族が葬儀場を出発する直前に行われる会葬者全員に向けての喪主の挨拶。最愛の人を亡くし、ただでさえ正常な精神状態を保つのがやっとという中での大役です。

しかも、喪主はお通夜から葬儀、告別式に至るまで僧侶や弔問客の対応に追われ大忙し、何を話せばいいのか考えがまとまらないのが当然でしょう。ですが、告別式の挨拶で話すべき内容は大筋決まっていて、それを順番に組み立てていけばそんなに難しいことではありません。そこで今回は告別式での挨拶文をさまざまなケースに分けてお伝えします。

 

告別式の挨拶例。
葬儀で役立つケース別のスピーチ文

 

告別式の挨拶で話すべき内容と基本的な文例

まずは「本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございました」と参列いただいた方々に対するお礼の挨拶から始め、故人との思い出のエピソードを話します。さらに故人が生前皆様から受けたご恩に感謝し、今後も遺族に対してご支援いただけるようお願いします。そしてあらためて参列していただいた方々にお礼を述べ告別式での喪主の挨拶を締めくくります。

〜基本的な文例〜

「本日はお忙しい中、亡き父の葬儀にお集まりいただきありがとうございました。皆様からの心のこもったお言葉を賜り故人も喜んでいると思います。生前中のご厚誼に深く感謝いたします。父はご存知の通りまじめで融通の利かない人でしたが、周りには人一倍気を使う性格で、病状が悪化してからも同室の患者さんと冗談を言ってはその場を和ませていました。

残された私どもも父の信念に習いどんな苦難にも負けないよう明るく生きていく所存ですので、どうか今後とも父の生前と同様、ご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。本日はご会葬いただきありがとうございました。」

 

喪主が妻の場合の告別式での挨拶文

日本人の平均寿命を男女別で見ると、男性が80歳で世界第8位、女性は87歳で世界でトップなんだそうです。(2014年度版世界保健機構WHO発表)やはり女性のほうがずいぶん長生きなんですね。そう言った意味で喪主が妻だった場合を想定しました。

〜喪主が妻だった場合の文例〜

「本日は亡き夫○○の葬儀にご参列いただきありがとうございました。参列していただいた皆様からたくさんお声をかけていただき、故人も喜んでいると思います。生前は皆様に大変お世話になり親族一同深く感謝いたしております。

夫は30年勤めた会社を退職しましてからも、町内会の役員を務めたり、近所の皆様とゲートボールを楽しんだりと残りの人生を謳歌しておりましたが、急性の心筋梗塞症に倒れ治療の甲斐なく80歳で他界しました。

突然一家の主人を亡くし私を始め親族一同心細い限りですが、今後は家族みんなで手を取り合ってがんばっていく所存ですので、なにとぞ生前の主人同様ご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。本日はご会葬いただきありがとうございました。」

 

喪主に代わり親族代表が挨拶をする場合

喪主が心労で体調を崩し告別式での挨拶ができなくなった場合には喪主に代わって親族の代表が挨拶をすることになりますが、その際の告別式での挨拶の文例をご紹介します。

〜喪主に代わって挨拶する際の文例〜

「私は故人の弟○○でございます。本来であれば喪主の○○よりご挨拶申し上げるべきところではありますが、兄が亡くなりましたショックで体調を崩しておりますので、私が代わりにご挨拶を申し上げます。

ご会葬いただきました皆様におかれましては、お忙しい中にも関わらず、兄○○の葬儀にご参列いただきましてありがとうございました。故人もさぞ喜んでいると思います。故人の生前中はひとかたならぬご厚誼を賜り大変感謝いたしております。

60歳を超えても病気一つしなかった兄が突然癌の告知を受け、必死で病魔と戦ってまいりましたがその努力の甲斐もなく、65歳で他界いたしました。

親族一同残念でなりませんが、今後は心をひとつにしてがんばっていく所存ですので皆様方におかれましては残された遺族に対し、これまで同様ご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。本日はご会葬いただきありがとうございました。」

 

父を亡くした息子が家業を継ぐ場合の挨拶文

一家で会社を営んだり商売をしていて社長であるご主人が亡くなった場合、その多くは配偶者や子供が後を引き継ぐことになります。そして告別式には取引先やお得意様など仕事関係の方々が多く参列されるため、会葬者の皆さんの不安を払拭するためにも、告別式での挨拶の最後に二代目社長の決意表明を織り込む必要があります。

〜息子が家業を継ぐ場合の文例〜

「本日はお忙しい中、亡き父の葬儀にお集まりいただきありがとうございました。皆様からの心のこもったお言葉を賜り故人も喜んでいると思います。また、父の生前中は皆様にひとかたならぬご愛顧を賜り、おかげさまで順調に家業を営んで参りましたが、道半ばで病気に倒れ、亡き父もお世話になった皆様方に何のお返しもできなかったことがさぞ心残りであったろうと思います。

今後は父の意思をしっかり受け継ぎ家族全員で恩返しをさせていただく所存ですので、まだ未熟者ではありますが、今後とも故人同様変わらぬご愛顧を賜りますようよろしくお願い申し上げます。本日はご会葬いただきありがとうございました。」

 

精進落としの会食の席での挨拶

火葬中に精進落としを済ませてしまう場合や火葬場から帰ってからゆっくり精進落としの会食をする場合と告別式によってそのタイミングに違いはありますが、会食の冒頭で喪主から皆様へ挨拶するという大役が残っています。お酒や料理を前にして若干なごんだ雰囲気ですが、ここは無事に葬儀を終えることが出来た感謝の気持ちを伝えなくてはいけません。

〜精進落としでの挨拶の文例〜

「本日はお忙しいところ最後までお見送りいただきまして誠にありがとうございました。遺族を代表いたしまして一言ご挨拶申し上げます。皆様のおかげをもちまして故○○の葬儀、告別式を滞りなく済ませることができました。

あらためてお礼を申し上げます。誠にささやかではございますが心ばかりのお食事をご用意いたしましたので、お時間の許す限りゆっくりとお召し上がりください。本日はありがとうございました。」

 

いかがでしたでしょうか。

いつかはめぐってくるかも知れない告別式での挨拶。葬儀、告別式は社会的な儀式の意味合いが強く、遺族代表の告別式での挨拶は参列いただいた方々に感謝の気持ちを伝えると言う意味でとても大切ですが、これまで文例をご覧いただきましたように挨拶文は、作り方の手順を憶えればそんなに難しい作業ではないことがお解かりいただけたかと思います。

それよりも心配なのは喪主の方の精神状態です。深い悲しみの中で人前に出たくないぐらいふさぎ込んでしまう方もいらっしゃるでしょう。そんな時は遺族全員で助け合って挨拶文を考えてあげてください。喪主の告別式での挨拶はメモを読みながらでも何の問題もありません。いやそれよりも喪主を中心に遺族全員が寄り添って挨拶文を読み上げるというのもいいかも知れませんね。

なぜなら、告別式の挨拶は参列していただいた皆様へ感謝の気持ちを伝えると供に、遺族全員が力を合わせて生きていくという決意表明の場でもあるからです。

 

まとめ

葬儀で役立つ告別式での挨拶文をケース別にご紹介

・告別式の挨拶で話すべき内容と基本的な文例をご紹介します
・告別式で喪主が妻の場合の挨拶の文例
・喪主に代わって親族代表が告別式の挨拶をする場合
・父を亡くした息子が家業を継ぐ場合の告別式での挨拶文
・精進落としの会食の席での挨拶文


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