お通夜や葬式に行くとき気を付けたいのは、服装やお香典のマナーですが、数珠もその一つです。日本はお通夜告別式と言えば、数珠を持っていくべきものと思われている人もいるかと思います。では、そもそも数珠とはなんでしょうか?
その意味を知ることで、その扱い方もおのずと理解ができますよ。そこで今日は数珠についての知識と共に、その扱い方についてお伝えします。ではご覧ください。
お通夜、告別式での数珠の意味と
マナーについて抑える7つの事
1.数珠とは
数珠とは、仏、菩薩を礼拝するときに手にかけ、あるいはもみまたは念仏、念誦の回数を数えるのに玉を爪繰る目的で用いる仏具です。元は、インドのバラモン教が、念誦のために用いたものが仏教、イスラム教、キリスト教に取り入れられたといわれています、キリスト教ではロザリオとよばれるものです。
仏教では、人間に百八の煩悩があるといわれており玉一つひとつが百八の煩悩を司る仏様と考え、人間のあらゆる煩悩を、数珠が引き受けてくれるという考えから、数珠は、百八の玉からできています。
2.数珠の種類
仏教にはいろいろな宗派がありそれぞれで、微妙にちがいがあります。使い方もそれぞれで、手に持つ方法も違います。また、男性用と女性用があります。水晶や、サンゴ、木製など素材もさまざまです。
玉の数の違いで、大きく二つに分かれます。
本連数珠・・玉の数が108つのもので、宗派により長いものは持つときに二重にしてもち、浄土宗など二つの輪がつながってようになっているものもあります。
片手数珠・・略式の数珠で、玉の数も様々です。
持ち方も、宗派によって様々なので注意をします。
基本は百八で、その半分の54、三分の一の36、四分の一の27、六分の一の18がありますが、最近では別注で出来上がりのサイズに合わせた数のものもあるようです。
この二つの違いは、気軽に携帯するのは片手のもので、よりフォーマルな印象は本連数珠です。
3.数珠の使い方
基本は、左手に輪を通し、房を下にして持ちます。本連数珠の場合は二重にして持ちます。合掌の時は、両手を合わせて、親指を外した両手に回してかけますが、略式の数珠などの場合は、左手を重ねても良いでしょう。焼香に立つときは、左手にかけ右手で抹香をつまみ、後合掌します。
手にどのようにかけるかも、宗派によって違いがありますので注意しましょう。
4.数珠の扱いでの注意事項
合掌するとき以外は、左手で持ちますが、読経中に暇つぶしのように手でいじったり、ぶらぶらさせたりしないようにします。
もち運びには、数珠専用の袋がありますのでそこに入れて、房などがカバンの中でぐちゃぐちゃにならないようにします。その袋は座具ともよばれ、数珠を置くときなどはその袋を座布団のように考え、その上に置くようにして直接机などには置かないようにします。
数珠が切れるのは、厄が切れると言って縁起の悪いものではありませんので、切れそうでもそのままつかわれている人もいますが、葬式の真っ最中にきれるのも考えものですね。
使われている石などでは、高価なものもありますし、房がぐちゃぐちゃになってしまったものなどの修理も、数珠の専門店でお願いできます。
5.仏式のお葬式、お通夜で数珠を持ってこなかった場合
突然の知らせで、お通夜に駆けつけたりする場合がよくあるとおもいますが、そういったときに数珠を持参していない場合もあるかと思います。数珠がないと、故人に祈りをささげてはいけないというものではありません。よほどの敬虔な信者でなければ、常に数珠を持参しているとは考えられませんので、そうい時は数珠なしでも良いと思います。
良くお葬式などでも、数珠を忘れたというので、知っている人に貸してもらって、かっこうをつけようとするひとがいますが、数珠の事を念珠というように、持ち主の身を守る冥加(みょうが、神仏の助け)があるものという存在ですから、人に借りるようなものではもともとありません。貸してほしいと言われて、ことわりにくいものですから、まずこういうものは、借りないというのがマナーです。
また、自分の宗教が仏教でない場合は、数珠を持っていないのが当然ですし、それをとがめる人はなにもしらないひとですから、決してルール違反ではありません。良く、何も知らない人は、葬式に数珠はつきものと思われている人もいますが、自分の信じる宗教を重んじられても、何も問題はありません。日本は宗教の自由が保障されています。
要は、故人に祈りをささげるには、基本的に道具はいらないということです、心がするものです。かといって、自分の好き勝手にしていいというものではありませんので、社会人としての最低限の尊重の気持ちを持って、お通夜告別式に参列するということです。
6.仏式以外のお通夜、お葬式での数珠の扱い
お葬式が故人の遺志により、無宗教であったりキリスト教である場合が良くあります。
数珠とは、あくまでも仏教の仏具です。無宗教とは知らなくて数珠を持参した場合、祈りをささげる時はいつも数珠を使っているという人ならば使われても、だれもとがめはしませんが、あえて持つことはないと思います。
でも、喪主が、あえて故人の遺志で無宗教にしている場合に数珠をもっているのは、おかしな話だと思います。故人の為のセレモニーであるわけで、それを最も尊重すべきであると、来ていただいた人も思っているとは思いますが、肝心の主催する方が、故人の意思に背くのは友人であれば、なんだか故人がかわいそうに思われるかもしれません。
数珠を持っていこうか迷われて持ってこなかった人が、しまった、持ってくるべきだったと、動揺するようなことを主催者がするようでは、故人のためにわざわざ来てくださった人に対する心遣いがないと思います。
マナーとは他人に対する心遣いであるとおもいますから、ルールがどうかということを知ることは大切ですが、知らなくても気を付けていたら、実はマナー通りであったということが良くあります。
7.ブレスレットタイプのものについて
最近、仏具店や、寺院のお土産などでも、ブレスレットタイプになった数珠がいろいろ売られています。素材や色もさまざまですが、あくまでもこれはご自身のお守りというもので、数珠に匹敵するものではありません。特に最近はファッションとして、いくつもする人もいます。
数珠自体も、念の入ったものですが、何時も持つことが出来ないからというところから、できたもののようですが、普通の数珠とは同じものではありません。仏式のお通夜お葬式に参列されるならば、ちゃんとした数珠を持参しましょう。
仏教徒であれば、数珠は社会人としての一つの道具として、それぞれの宗派にあったものを、個人でもたれたらよいと思います。よくわからないというならば、何時もお参りしているお寺の和尚さんに相談されたらよいと思います。
かつては、嫁入り道具の一つとして、持っていく地方もあるものでした。自分の立場上、安物のコンビニで買ったようなものを持っていると、気が付かれる場合も意外とあります。
見栄を張るようなものではありませんが、ブランド物の高価なバックから出てきた数珠が、安物だったという風では、がっかりされることもあるということです。身分相応なものを、持たれることをお勧めします。
でも、数珠は、あくまでも仏教の仏具であるので、宗教の違う人も必ず持つものではありません。また仏具であるが故に、粗末に扱わないようにしたいものです。
まとめ
お通夜、告別式での数珠の意味とマナーについて
・数珠の種類・・玉の数の違いで、本連数珠と片手数珠があります。
・数珠の使い方・・宗派によって違いがあります
・仏式のお葬式、お通夜で数珠を持ってこなかった場合・・数珠は、人に借りるようなものではありませんので、わすれたら数珠なしで。
・仏式以外のお通夜、お葬式での数珠の扱い・・あえて持っていかなくても良いものです、数珠は、仏教の仏具です。
・ブレスレットタイプのものについては、装飾品で、本来の数珠とは同じものではありません。