弔辞を頼まれたら知りたいマナー。奉読7つの手順と作法

弔辞を頼まれたら知りたいマナー。奉読7つの手順と作法

弔辞は故人と特別に親しい関係であるからこそ、選ばれるもの。弔辞を読むとなれば、読むあなたにも多くの想いがあるに違いありません。特に故人と親しかった方、そして深い縁のあった方が選ばれる「弔辞の奉読」は、ご親族から依頼があった場合は、快く引き受けるのが礼儀となっています。

一般的には、口語体の文章で構いませんが、社葬や団体葬など、格式が重んじられる場合には、文語体を用いて悼みを表します。

とは言え、もちろん弔辞を読む機会は人生でもそんなに多くはありませんから、言葉遣いや言葉選びに不安を感じる人々も多いです。そこで今回は、弔辞を依頼された時にも安心できる、基本的な奉読の手順と作法を7つの手順にそって解説します。

もしも、他にも弔辞を捧げる方がいらっしゃる場合には、あらかじめご遺族に、その人と故人の関係を聞いておくと弔辞内容の重複が防げます。普段あまり馴染のないマナーではありますが、故人への最後のお手紙です。

あなたの気持ちを素直に表し、適切なマナーで奉読して下さい。

 

弔辞を頼まれたら知りたいマナー。
奉読7つの手順と作法

 

用紙・封筒、筆記用具に気を付けておこう

まずは、弔辞を記載する用紙、そして封筒、筆記用具を知っておきます。

【 弔辞に使われる用紙や封筒など 】

・ 市販されている奉書紙か巻紙を使用。
・ 薄墨の毛筆縦書きを。

これが正式なマナーです。

社葬や団体葬など、形式が重視される葬儀で挨拶される場合は、この正式なマナーに則って書き上げて下さい。形式が重要視されない場合でしたら、便箋にボールペンパソコンで打ち印刷したもの、でも大丈夫です。その場合は、白い封筒に入れておきます。

■ 弔辞は奉読後、祭壇に供え、最終的にはご遺族の元で保存されます。

そのため、弔辞の用紙は丁寧な文字で書くよう心掛けて下さい。もしも文字に自信がない場合は、代筆でも構いません。

葬儀の形式やご自身の立場、色々な事を踏まえた上で、まずは弔辞を書く用紙と筆記用具を用意してください。

 

弔辞の書き方、包み方を知っておこう

では、弔辞の書き方を説明していきます。

【 基本的な弔辞の書き方 】

■ 冒頭

奉書紙や巻紙の右端から10cm程の余白を明けてから書き始めて下さい。

■ 行間

本文中の1行分ずつスペースを開けて記載していくと綺麗に見え、また読み間違いもしません。

■ 本文を書き終えたら

弔辞の本文を書き終えたら改行し、本文より少し低い位置に年月日を記載します。そして年月日の左横、少し低い位置に署名をして下さい。

署名から8cm程の余白をつけて切り落とし、署名してある方から文頭に向かって折り畳んでいきます。

■ 表包み

同じ奉書紙を使い、記載した弔辞を三つ折りで包める程度の長さに切って下さい。切った奉書紙の中央に弔辞を置き、右→左→上下(裏側に)の順で折ります。そして、表書きを「弔辞」とし終了です。

便箋を使用する場合は、出来る限り白の用紙を使用し、縦書きで記していきます。余白を開ける/開けないはご自身の判断で決めて下さい。文末に年月日と署名封筒に「弔辞」と記載する事を忘れないようにしてください。

 

弔辞作成時の注意点を知っておこう

弔辞を書く上で、注意すべきポイントが4つあります。

【 ① 節度のある表現に 】

・ 弔辞は、故人への哀悼の意を表す、そしてご遺族の悲しみを慰める為のものです、感傷的な文章になり過ぎないように注意します。

【 ② 忌み言葉・重ね言葉に注意 】

・ 「くれぐれも・重ね重ね・幾重にも・再三・追って」など、重なる意味を持つ言葉には気を付け下さい。

また「4・9」の数字は年月日にも使用する言葉ですから、「よ・よん、ここのつ、又は和暦」に言い換えて使用するようにします。

【 ③ 直接的な表現、悪い事を連想させる言葉は避けて 】

・ 死、死亡と言う直接的な言い方は、「逝去・急逝・永眠」などの言葉に言い換えてください。また言葉自体が不吉な事を連想させる「苦しむ・倒れる・浮かばれない」と言う表現も避けます。

【 ④ 宗教による違いを確認 】

・ 神式やキリスト教の葬儀では、「成仏・冥福」と言う仏教用語は使用しません。「冥福を祈る=偲んで念仏する、悼む」などの表現に変える必要があります。

 

挨拶する時間を気にしておこう

葬儀告別式には流れがあります。それぞれの儀式が大体決まった時間で進んでいきます。弔辞の長さに決まりはありませんが、この流れと時間を気にしておくのも重要なマナーです。

【 弔辞の一般的な長さ 】

■ 一人当たり3~5分程度、文字数にして800~1000文字程度と考えておけば安心です。

但し、予行練習は必要です。いつもとは違う場での挨拶となりますから、緊張のあまり早口になってしまう事もあり得ます。その場で読む事を想像しながら、何度か練習を行って下さい。

■ 練習の時に、発音しにくい言葉言い慣れない言葉がないかチェックするのも重要なポイントです。

聞いてくれる方がいる場合は、その方に確認してもらい、相手がいない場合は、ご自身で録音し、弔辞を聞き直してみると、直すべきポイントが見つかりやすいです。

難しい言葉を使う必要はありませんから、ご自身が使い慣れた言葉を使って挨拶して下さい。

 

弔辞の読み方に注意しておこう

では、弔辞の挨拶をする時の注意点です。

【 弔辞を読む時 】

・ 出来る限り落ち着いた声で、低めの声を出すように心がけます。

ゆっくりとした口調で、故人に話しかけるように読み上げて下さい。心を込め、丁寧に一言ずつ伝える気持ちで読んでいきます。

あまり感情的な挨拶は好ましくありません。そして棒読み形式ばった様子もよくありません。故人への想い、故人を慕う気持ちが表れるような、優しい口調で話してください。

また、聞いている方がいると思うと緊張されるかも知れませんが、故人への最後のお手紙です。故人と話しているような気持ちで、落ち着いて言葉を発して下さいね。

【 涙が込み上げてきた時 】

・ 一度大きく深呼吸します。

「すみません」と伝え、挨拶途中で止まっても大丈夫です。あなたの悲しむ気持ちは、ご遺族にも、そして参列者にも理解出来ますから、焦らず気持ちを落ち着けてから話始めて下さい。

 

奉読の作法【前編】をチェックしておこう

弔辞を奉読する際の作法【前編】から解説していきます。

【 奉読の作法 : 前編 】

①司会者に名前を呼ばれたら起立して、祭壇に進みます。

僧侶、ご遺族席へ一礼し、それからご遺影に対し深く一礼して下さい。

弔辞を両手で持ち、右手で開いて弔文を取り出します。取り出した弔文を表包みの下に重ね持ち、開いた包みを右手で畳んで下さい。

④畳んだ表包みを弔辞の下に重ね(側卓があれば、側卓に置く)、左手で弔文を持ちます。

⑤左手で持った弔文に右手を添え、弔文を開いて下さい。両手で捧げ持つようにし、口の高さに差し出し、ゆっくりと読み上げます。

まずは弔辞をする前までの作法です。宗教や宗派によって、多少の違いがありますから、心配な方は、葬儀社の方に確認しておく事をおすすめします。

 

奉読の作法【後編】を確認しよう

では弔辞、奉読の作法【後編】です。

【 奉読の作法 : 後編 】

①読み終えたら、弔文を元通りに折り畳みます。

②左手で持っていた(側卓に置いていた)表包みを持ち、弔文を納め直して下さい。

③表書き「弔辞」の文字が読めるように、祭壇に向けて卓上に捧げます。

ご遺影に一礼した後、僧侶、ご遺族に一礼し、席に戻って終了です。

※弔辞は読み上げるだけで、持ち帰る事もあります。

弔辞を持参する場合は、袱紗に包んで持って行きます。見えない作法ですが、弔辞を汚さない為、折り曲げない為のマナーです。もしも用意出来ない場合は、紫の小風呂敷やハンカチ、又は白い紙に包んで持って行きます。

稀な事ではありますが、弔辞を依頼された場合でも、諸事情により参列出来ない事もあります。その場合は、ご遺族へ一言許可を貰い、弔辞をテープに吹き込んで代理の方に渡して貰います。その弔辞を葬儀会場で流してもらう事も出来ます。

 

いかがでしたでしょうか。弔辞、奉読時の作法の概要がイメージできたのではないでしょうか。宗教や宗派により、多少の違いがありますから、当日必ず、葬儀社の方に作法の確認をして下さい。

故人と親しい間柄のあなたが、自分の気持ちを抑えながら読み上げる事は、とても難しい事でしょう。気持ちの整理がつかないままの弔辞となるでしょうが、あなただからこそ伝えられる気持ちがあるはずです。深い呼吸を意識しながら、落ち着いて話して下さいね。

また、弔辞を読む際は、声のトーン話すスピードに気を付け、「間」を取る事も重要です。矢継ぎ早に読み上げるのではなく、間を大切にしながら挨拶して下さい。

故人を追慕し、弔う心の在り方が伝わるようなスピーチ、そしてご遺族への慰めの気持ちが伝わる挨拶であると良いですね。故人の信仰していた宗教のマナーに沿って、葬儀に相応しい弔意を表して下さい。

 

まとめ

奉読における作法とは。弔辞を頼まれたら押さえるマナー

・弔辞は奉読後に残すもの。巻紙に薄墨で縦書きが基本マナー
・弔辞を書く時は、書き出しや行間、文後まで作法がある
・弔辞作成時には忌み言葉、重ね言葉、宗教の違いを確認
・弔辞は約3分から5分。文字にして800字~1000字を目安に
・弔辞を読む時は、できる限り低い声で、落ち着いて読む
・奉読作法:読み始めは僧侶・遺族に一礼後、ご遺影へ深く一礼


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