大切な方が亡くなった日の、ちょうど1年後の同月同日を一周忌と呼んで、親類縁者を集めた法要を執り行います。一周忌の法要を執り行うときに必要な段取りはたくさんありますが、初めての施主となればどのように準備すればよいかを迷うことも多いですよね。その方が亡くなられて1年目という節目の法要である一周忌は、ご家族が亡くなられた日から、1年間を喪中として過ごしてきたご遺族にとっても、一転喪が明け新たな一歩を踏み出す節目になります。
ですのでその大切な法要を、慌ただしく迎えるのではなく、故人を偲ぶことに重きをおいた穏やかな会にできるよう、施主としてできる限りの準備を整えておけるようにしましょう。
そこで今回は、初めての施主。一周忌で失敗しないための5つのポイントについてお伝えします。
初めての施主。
一周忌で失敗しないための5つのポイント
法要の日時と場所を決めて連絡する
ご家族が亡くなられた日から、1年後の同月同日(祥月命日)に行われる一周忌法要ですが、もし祥月命日にあたる日が平日の場合、日時を前倒しにして休日に執り行うことも良しとされています。これは、なるべく多くの親類縁者に集まっていただくことができるように配慮するためです。
四十九日法要が終わり、忌明けを迎えて一段落と行きたいところですが、一周忌を執り行う斎場や僧侶の手配など、なるべく早めに都合をつけておいたほうが良いこともありますので、お願いする予定の場所、お寺が決まっている場合は早めに予定の確認をしておきましょう。
一周忌の日時と場所が決まったら、なるべく早くに案内状を発送しましょう。最低でも一か月前までに相手方の手元に届くようにしたいですね。予定が決まった時点で電話やメールで連絡を入れ、日程の微調整をした後に案内状を発送すれば間違いが起こらずに良いでしょう。
頂いたお香典お返しとして「引き出物」を準備しておく
一周忌法要の際も、お香典をいただくことになりますので、その返礼品を準備します。返礼品には、一般的に海苔や石鹸、洗剤といった「消えもの」=消費されてなくなるものが選ばれますので、相応しいものを選定し、熨斗紙をつけて準備しておきましょう。返礼品にかける熨斗紙の表書きは、「志」や「粗供養」、「一周忌」とします。
返礼品の予算は3000円から5000円程度のものが選ばれますが、地域性があるので相談できる親族がいる場合は確認してから準備しておくと失礼がありません。
お斎(おとき)の会場と内容の確認
一周忌法要の後に列席者に振る舞う食事であるお斎の会場と、食事の内容を確認しておきます。会場へは、法要後の食事会であることを伝え、相応しい食材を用いたお料理を用意してもらうように手配しておきましょう。
また、アレルギーや持病をお持ちの方や、小さなお子さんが列席者に含まれる場合はそれぞれに対応した食事が提供できるかどうかを確認しておく必要があります。特にお子さんの場合、大人からの取り分けが難しい月齢だと離乳食の持込みがOKかどうかも重要です。ご高齢の方が多い場合は、椅子がよいのか、座敷がよいのか、座敷であれば座椅子が用意できるか等も相談して決めていけると良いでしょう。
お布施の用意を忘れずに
斎場や会食の費用に頭が回りがちですが、一周忌法要では僧侶による読経をしていただく必要があります。そのため、読経料やお車代といったお布施を準備しておく必要がありますね。
おおよその相場として、一周忌の場合読経量で3万円程度、お車代が5千円から1万円になります。地域性もありますので、一概にこの金額とはいえませんので親族や斎場のスタッフに大体の相場を確認しておくと安心できます。
お斎には僧侶にも出席していただくのが習わしですが、最近はご親族のみでということで辞退される方も少なくありません。この場合、上記のお布施の金額に、お膳代としてお食事相当額を追加して含めておくこともありますので、よく確認しておきましょう。
献杯の挨拶を考えておく
一周忌の法要が終わった後、会食であるお斎の場で施主が列席者に向かって謝辞を述べ献杯します。献杯が終わってから食事に手を付けるというマナーがありますので、あまり長くなり過ぎないよう注意しながら、お礼と、故人への思いを話すことができればよいですね。
施主が挨拶せず、親類縁者の中から年長者を選ぶ等して挨拶をお願いする場合もあります。その場で頼まれてすぐに挨拶ができる人もいれば、難しいと感じる方もいらっしゃいますので、もし親類縁者のどなたかに献杯の挨拶をお願いしたいと考えている場合は、事前に打診しておくと親切です。
献杯という唱和にはなじみがないため、つい「乾杯」と言い間違えてしまったり、グラスを乾杯の時のように高く掲げ、グラス同士を合わせてしまうかもしれませんがこれらは全てNG。献杯は静かに唱和し、グラス同士を合わせることはしませんので、注意しておきましょう。
いかがでしたか。一周忌というのは、大切な方が亡くなられて1年という節目の法要です。そして、一周忌が明けると喪が明けます。故人は仏様となり、残された家族が新しい一歩を歩みだすきっかけとして、穏やかな気持ちで当日を迎えたいものです。
施主ともなると、様々な段取りで葬儀から息つく間もない状態だったかもしれませんが、一つ一つのステップを踏んでいくことで、遺族の気持ちにも整理がつき、徐々に日常へと戻っていくことができるのです。きっと大切な方も仏様となって皆さんを守ってくださっています。「私たちは元気でやっていますよ」という姿を見せて安心させてあげられるように、まずは落ち着いて一つ一つ段取りを組んで準備していけるとよいですね。
まとめ
初めての施主が一周忌で失敗しないためには
・法要の日時と場所を決めて早めに連絡する
・香典のお返し=引き出物の準備をしておく
・お斎(おとき)の会場、食事内容の確認をする
・お布施を準備する
・献杯の挨拶は事前に準備しておく