家族が亡くなった場合、日本では9割の方が仏式の葬儀を行います。仏教では、亡くなってから四十九日までの間は七日ごとに追善供養があり、四十九日目に忌明けとして、親族や友人知人も参列して法要を行います。
その後、節目となる年の命日と同じ日に、一周忌、三回忌、七回忌などの年忌法要を行って、故人の霊を弔います。昔は隣近所でもひんぱんに行われていて、見たり聞いたりしているうちに自然と法事回忌の知識が身についたものですが、最近ではそんな機会も減っています。
ですから、いざ自分が施主になった時に、または招待された時に、どのように対応すればよいのか、わからなくなってしまいがちです。ここでは意外と知らない法事回忌の知識を7つご紹介します。
法事回忌をわかりやすく解説します!
年忌法要の7つの知識
法事回忌の数え方
故人の亡くなった同じ月の同じ日を祥月命日と言います。定められた年の祥月命日に営まれる法要が年忌法要、または回忌法要と呼ばれるものです。一周忌は、亡くなった日から満一年目に当たりますが、三回忌以降は数え年で数えます。
・死後満一年目の同月同日のことを一周忌
・翌年の二年目を三回忌
・その後死亡年を含めて数え七年目に七回忌、同様に十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌と続き、三十三回忌もしくは、五十回忌まで営むのが一般的です。
ただし、宗派や地方によって多少違いがあります。普通、法事回忌の日程については寺側で日程を作って連絡してくれるので、その寺の流儀に合わせて行うと良いでしょう。霊園などで永代供養墓に収めた場合は、年忌ごとに連絡はくれませんから、こちらから問い合わせする必要があります。
日程の決め方
法事回忌は祥月命日に行うのが望ましいのですが、実際は親戚や知人が集まりやすいよう、命日に近い、なるべく一ヶ月以内の土曜、日曜に行うことが多いです。ただし、命日を過ぎないようにしましょう。供養ごとは、先送りにせず前倒しにするというしきたりがあるからです。しかし、土曜、日曜はお寺や会館などが混み合うことも予想されます。予定は早めにたてるよう、気をつけましょう。
また、大安や仏滅、友引などの「六曜」を気にする方もいらっしゃいますが、これは古代中国で行われていた吉凶占いの一種で、仏教や仏事とは関係ありませんから、日程を決める際には気にしなくても大丈夫です。ただ、もし親戚などで気にされる方が多いようでしたら、避けることも考えましょう。
会場選びと移動手段
法事回忌を行う場所は、本来は自宅ですが、最近の住宅事情では難しいことが多いです。檀家であればお寺でもできますし、最近では法事用の会場を貸してくれる会館、霊園の法事施設、ホテル、集会所など、いろいろありますので、都合に合わせて選びましょう。どこで行っても、その内容に変わりはありません。
また、法要の後にお墓参り〜会食と続きますから、移動手段の確保も忘れないようにしましょう。法要から会食まで、お寺や霊園で全て済む場合もあれば、法要会場〜墓地〜会食と、いちいち移動しなければならない場合もあります。
参列者に高齢者が多かったり、身体の不自由な方がいる時は、なるべく楽に移動できるよう、配慮しましょう。法事回忌用のプランがあるホテルや料亭では、送迎バスを出してくれたり、祭壇を用意し、僧侶を手配してくれるサービスもあります。
法事回忌前の準備について
法事は、故人の霊に久しぶりに向き合う日でもあります。自宅で行う場合は、お仏壇の掃除・準備やお供え物の手配、僧侶の座る場所を準備します。お寺など外の会場で行う時も、自宅の仏壇は綺麗にしておきましょう。墓地の掃除と、お花や線香の用意も済ませておきます。食事のあと、参列者に渡す引き出物や、僧侶に渡すお布施なども必要です。
法事回忌に招かれた側は、御仏前と書かれた袋にお金を入れて遺族に渡すのがマナーです。故人との関係や、会食の有無によって変わりますが、一般的には一万円〜三万円が相場です。
案内状と出欠
施主は日程と場所を決めたら、早めに案内状を送ります。もし日程や場所について、親戚の方と事前に電話などで相談していても、きちんとした案内状を改めて送ります。往復ハガキで送り、返信ハガキをまとめておけば、人数等すぐに確認できるので便利です。
準備のところでも触れたように、施主は引き出物や会食の予約をしています。参列者は、案内状が届いたら、速やかに返事を出し、出席することが望ましいです。やむを得ず欠席する場合には電話か手紙で早めに伝え、その分の御仏前か、お供え物を同封するなり別途送るなりします。欠席の理由は、具体的にしなくても良いです。「どうしても都合が合わず」などと書きましょう。
法事回忌の規模や服装
宗派や地方によって、風習は様々ですが、七回忌くらいから法事の規模は小さくなり、遺族や親族など、故人に近しい人だけでの内輪の法要とするところが多いです。服装についても、一周忌までは正式な喪服を着ますが、その後はだんだん略式になっても構いません。
地味な平服ということで、黒や紺、グレーなどの服を着用し、装飾品や化粧はあくまでも地味にします。ただし施主は、参列者よりも軽い服装にならないように気を付けましょう。三回忌までは喪服を着用しておくと安心です。
費用については、僧侶へのお布施などはきちんと相場を守るべきものですが、会場や会食の値段については、特に相場はありません。ご遺族の事情に合わせて無理のないようにしましょう。
弔い上げについて
故人の霊を弔うための年忌法要ですが、三十三回忌または五十回忌を最後として、これ以上年忌を行わないことを弔い上げといいます。例えば両親などが亡くなり、33年も経てば、その子供も高齢となり年忌を続けることが難しくなるためで、これを区切りとして年忌を打ち切るのです。
これ以上やってはいけないというのではありませんが、実際にはそこまで続けるのは大変なことです。遺族の年齢によって、お寺や親戚の方などと相談して決めます。
地域によっては、五十回忌の場合は、法事というよりもむしろ慶事と位置づけるところもあり、お祝いとして賑やかにするところもあるくらいです。
いかがでしたでしょうか。
なんとなくお葬式と法事とを一緒に考えてしまい、同じようにしていればいいと思いがちですが、急な葬儀と違って法事回忌は施主が事前から準備し、招待されて参加するものです。そう考えると、結婚披露宴に似ていますね。
施主にとっても参列者にとっても、故人のことを思い出す貴重な機会ですから、心を込めて準備したいものです。もし一周忌から弔いあげまで、すべてを滞りなく行うことができれば、最高の供養になります。ただ、ご遺族の方にもいろいろ事情がありますから、現状ではそこまでできないことも。
法事回忌は、ご自分のできる範囲で行い、きちんとした法要ができない時でも、命日やお盆、お彼岸には御墓参りをし、お線香をあげるなどして日常的に故人の冥福を祈ることが、何よりの供養になります。
まとめ
法事回忌をわかりやすく解説します!年忌法要の7つの知識
・一周忌とその後の回忌は数え方が違う 混同しないように注意
・日程は命日か、その前一ヶ月以内にする
・遺族や参列者の都合に合わせた会場を選ぼう
・法要の前に仏壇やお墓を綺麗にしておこう
・案内状の発送、返信は速やかに 欠席の時は別途お供えを送ること
・三回忌以降は規模も縮小する傾向に 地味な平服でも可
・三十三回忌か五十回忌は弔いあげとし、 法事に区切りをつけるのが一般的