法事の挨拶は、たくさんの挨拶の中でも大変気を遣う場面です。日本では、親族が亡くなった場合、冥福を祈り供養をする「法事」という仏教行事があります。この法事で喪主になると必ず行うのが、法事の挨拶です。
お通夜や葬儀の他に、「ニ七日忌」や「三七日忌」などがあり、基本的なマナーも、仏教の宗派によって異なります。そのような法事ですが、法事をする主人役の「施主」と呼ばれる方は、法事の開始や中締めで、法事の挨拶を行うことが通例です。
この法事の挨拶は、遺族を代表して行なうものなので、とても大切です。また、法事の挨拶には参列者へ述べるべき内容やマナーが存在します。そこで本記事では、法事の挨拶を行う前に抑えておきたい、基本的なマナーと知識と例文をお伝えします。
法事で参列者へ述べるべき法事の挨拶の基礎知識を、例文と共にお伝えしていますので、当日慌てないためにも、ぜひ本記事を参考に準備をしてください。
法事の挨拶の基礎知識。
抑えておきたいマナー集
まず、参列者の皆さまへ述べる事項とは
【法事の挨拶のはじまり】
■ 法事の挨拶の基本 ■
・まず参列してくださった方への感謝の気持ちを述べることから始まります。
(例文)
「本日はご多用中のところ、お集まりくださいまして誠にありがとうございます。」
と、まずは一言述べましょう。法事開始の挨拶の前にこの一言を添えるのがマナーです。
■ 法事の挨拶、はじまり ■
(法事の挨拶、例文)
「これより法要を執り行ないたいと存じます。それではご院家様、宜しくお願いします。」
と述べ、法事が開始されます。
ご院家様は、「ごいんげさま」といいお坊さんのことを指します。法事の挨拶のはじまりは、この2項から進めるとスムーズですので、初めて施主を務める場合には、この流れを把握してしまうと、当日も物怖じせずに法事の挨拶をすすめることができて安心です。
より丁寧に法事の挨拶をするために
葬儀、またその後の感謝の気持ちは、開始時の法事の挨拶で述べても良いですし、中締めの法事の挨拶で述べてもどちらでも大丈夫です。
【より丁寧な法事の挨拶をするために】
・『どなたの法要か』
・『何回忌であるか』このふたつの項目をを織り込むと、より丁寧です。
(法事の挨拶、例文)
「葬儀の際には、皆様にはひとかたならぬお世話を賜り、◯◯(故人の名前もしくは続柄)の◯回忌の法要も無事終えることができました。
改めて御礼申し上げます。」
などと述べると良いでしょう。
法事の挨拶は、故人を懐かしむ場
法事は、故人の供養の場でもありますが、故人を懐かしみ思い出す場でもあります。また、家族や親族などで執り行なわれることがほとんどです。そのため法事の挨拶では、故人の生前の思い出を盛り込む事例が多いです。
(法事の挨拶、例文)
・ 「◯◯がこの世を去り◯日ほど過ぎましたが、今更ながら、その存在の大きさを実感しているところです。」
・「今でも、目を閉じると◯◯の元気な姿が思い起こされます。」
などの文例から始めて、その後生前の思い出を語ると、流れがスムーズです。
現在の前向きな心情も、法事の挨拶に織り交ぜて
遺族の現在の心情や気持ちなども、少し法事の挨拶に盛り込む事例も多いです。こちらも始まりの最初の法事挨拶で述べても、中締めの法事挨拶で述べてもOKです。
(法事の挨拶、例文)
【四十九日が明けた法事の挨拶】
「◯◯を失ったことは誠に無念な気持ちでいっぱいですが、残された者が、力を合わせて仲良く生きていく事が、何よりの供養と信じております。」
など。
このように、前向きに進んでいるという気持ちを述べることをおすすめします。
参列者の皆様との今後のご縁への法事の挨拶
故人とご縁のある方は、日が経過すると何かと疎遠になりがちです。しかし、せっかく法事に参列してくださった方々。今後もご縁を絶やさないよう、お願いする文面を、法事の挨拶に盛り込む事例は多いです。この心も、法事の挨拶のマナーです。
(法事の挨拶、文例)
・ 「どうか引き続きご指導を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。」
・ 「どうか今後とも、変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。」
このように、簡単な一言で構いませんので、今後の支援をお願いする言葉を添えてください。
会食前の法事の挨拶でも、故人を偲ぶ
法事の後は、会食を行なうケースがあります。その際、ただ食事をするだけではありませんので、その旨を、法事の挨拶の文面にも織り込みます。
「故人を偲びながら」ということを一言添える法事の挨拶が一般的です。会食の内容が故人が好んでいたものである場合は、そのことを伝えても◎です。
(法事の挨拶、文例)
「この後、ささやかではございますが、別室にて○○を偲ぶ席をご用意しております。
思い出話でもしながら、お時間の許す限り、どうぞご歓談ください。」
などと伝えます。
法事後の歓談は暗くならず、和やかな雰囲気で開始できるようなご挨拶を心がけます。特に四十九日以降の席での法事の挨拶では、故人を懐かしく偲びながら食べられるような、前向きな文章が好まれます。
最後に改めてお礼の気持ちを述べる
そろそろお開きという時間に差し掛かったら最後の法事の挨拶をします。その際は終了する旨、そして改めて参列者に感謝の意を伝えるのが、最後の法事の挨拶のマナー。そしてこの最後の法事の挨拶は、あまり長くなりすぎないよう、簡潔に述べることが大切です。
(最後の法事の挨拶、文例)
「まだまだ皆様のお話をお聞きしたいのですが、お時間も大分過ぎてまいりました。
このあたりでお開きとさせていただきたいと存じます。
本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。」
など。
会を締める最後の法事の挨拶では、心を込めたお礼の気持ちを述べ、且つ簡潔に締める文章が基本です。
いかがでしたでしょうか。今回は法事の挨拶で伝えるべき、伝えておくと良い基本的な事項と、おさえておきたいマナーをお伝えしました。法事は、普段頻繁に行なうことではありません。そのためスムーズに伝えにくい、法事の挨拶の内容は、事前に準備しておくことが大切です。
故人を偲ぶ大切な行事である法事、参列してくださった方々と共に、心穏やかな気持ちになれるような、素敵な文面が好ましいです。法事の挨拶は慣れないため、緊張する人々も多いのですが、ゆっくりでも良いので気持ちを整えてから述べてください。
そして、できるだけ簡潔な文章で法事の挨拶ができれば、ひと安心。ぜひ本記事の文例を、法事の挨拶の一部に盛り込み、心温まる挨拶文を作成してください。参列者への感謝の気持ち、そして故人を偲ぶ気持ちや思い出を織り込んで、温かな個人を偲ぶ法事を進めてください。
まとめ
施主が法事の挨拶を行う時の、織り込む文面の事例集
・法要に参列してくださったことへの感謝の気持ちを述べる
・葬儀及びその後の厚誼への感謝を織り込む
・堅くなりすぎないよう故人の思い出を語る
・前向きな遺族の現在の気持ちを述べる
・ご縁を絶やさないよう今後の支援をお願いする
・食事会などのすすめる際も故人を偲ぶことを忘れずに
・会食の終了時は再度お礼を述べる