葬式の挨拶は誰もがしたくないものですが、親や家族との永遠の別れの中で、その機会が不意に訪れることもあります。特に喪主となった時は、参列者への感謝の気持ちを込めて葬式の挨拶をしなければなりません。
悲しみの中でのことですから、気苦労があるかもしれません。ただ、そのなかでも葬式の挨拶を勤めるのは、故人を弔うことでもあり、参列者への礼儀でもあります。ぜひ、心を落ちつけて葬式の挨拶を乗り切ってください。
実際には、喪主が伝える葬式の挨拶は、ある程度構成が整っています。そのため文例も書籍やネット上で探すことができます。それを踏まえて文章を組み立てていけば、きちんとした挨拶にはなります。ただ、参列者としてはその構成を踏まえてあなたの言葉が聞きたいと想ってもいます。
ここでは葬式の挨拶の基本的な構成と、それに沿った7つの文例をお伝えします。なお「故人は実父で、75歳で亡くなった」設定であることをご了承ください。
葬式の挨拶を組み立てる、
基本的な構成と7つの文例集
出だしの葬式の挨拶の内容
今回は文例を、出だしから順を追ってお伝えします。葬式の挨拶はこの場に集まってくれた「参列者」に対してのお礼から始まります。故人とどのような関係であったかを説明するために、自己紹介も加えます。
○葬式での文例
「皆さま、本日はお忙しい中故人○○のためにご会葬を賜り、誠にありがとうございました。
私は○○の娘、△△でございます。
遺族を代表いたしまして、皆さまにひと言ご挨拶申し上げます」
出だしに続いて伝える構成
続いて香典やお供えを頂いたことに対してのお礼は、葬式の挨拶の中でもこの部分に入れると良いです。また故人に代わってのお礼もこの部分に入ります。
○葬式での文例
「皆さまからはご丁重なご香典、お供物などを頂き、厚く御礼申し上げます。
故人はこれほど多くの皆さまに温かく見守っていただき、さぞ喜んでいることと思います。」
故人について参列者に伝える中盤
故人が亡くなった経緯や享年はこの部分に入ります。もし闘病期間があり、お見舞いを受けていたらそのお礼をここに組み込みます。なお「葬式での文例」は故人が「闘病していた場合」と「急逝した場合」のふたつの例を挙げています。
○葬式での文例
・闘病していた場合
「父はちょうど1年前に病が見つかり、手術を経て全快に向かうべく闘病しておりましたが、□月□日に容態が急変し、翌日の夕方、家族に見守られながら安らかに息をひきとりました。
享年75歳でした。
生前は多くの方にお見舞い頂いたことを心より感謝申し上げます。」
・急逝した場合
「父は□月□日にいつもと変わらず昼食をとってから、少しめまいがするので横になると私たちに告げ、寝室に入りました。
夕方になっても起きてこないので様子を見に行ったところ、すでに呼吸も脈も止まっており、搬送された病院で息を引き取りました。
75歳でございました。」
なお、この中盤部分は心が落ち着いていないと、なかなか話すことができるものではありません。メインはあくまでも「参列者へのお礼」と「故人が生前受けた厚意に対するお礼」になりますので、省略しても全く失礼にはあたりません。
在りし日の故人を偲ぶ
続いて故人がどのような人だったかを、葬式の挨拶のこの部分で、簡単にお伝えします。職業や趣味などについて述べる喪主の方々も多いです。ここでも「葬式での文例」は「闘病していた場合」と「急逝した場合」に分けてお伝えします。
○葬式での文例
・闘病していた場合
「父は常に明るく前向きで、まるで太陽のような人でした。
それは最期まで全く変わることがありませんでした。
病を克服できなかったのは残念なことではありますが、精いっぱい生き抜いたことを今は満足していると思います。」
・急逝した場合
「父は元気が取り柄のような人間だったので、このような形での別れは私たちにとってあまりにも急で、未だに信じられません。
誰よりも父自身がびっくりしていると思います。
しかし苦しまずに旅立てたことは、ある意味父にとって幸せだったのかもしれません」
遺族のこれからについて述べる
葬式の挨拶ではこの中盤を過ぎた部分で、今後どのように遺族が生きていくか、決意を述べます。難しい言葉を使ったり、長々と語ったりする必要はありません。あくまでも簡潔に決意を述べます。
○葬式での文例
「これからは父の意思を引き継いで、家族一同力を合わせて生きていきたいと存じます」
参列者の皆様への言葉を述べる
参列者と遺族の関係は故人が去っても続きます。葬式の挨拶では、今後も温かく見守ってくれるように、支援と指導をお願する文面が入ります。
○葬式での文例
「どうか今後とも、父同様にご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます」
会葬のお礼の挨拶で締めくくる
葬式の挨拶の締めくくりは「会葬のお礼」となります。葬式の挨拶では何度もお礼の言葉を述べていますが、喪主の葬式の挨拶のメインは、喪主としての、また故人の代わりとしての、感謝の気持ちであるお礼を述べることです。
○葬式での文例
「簡単ではございますが、これをもちましてお礼のご挨拶とさせて頂きます。
本日は誠にありがとうございました」
いかがでしたでしょうか。喪主の葬式の挨拶には基本的な流れがあり、一般的に本記事のような構成となっています。各項目の「葬式挨拶での文例」で取り上げた通り、ある程度の形式は定まっていますが、項目3.の部分など「無理をしなくてもよい部分」もあります。
葬式においては挨拶以外にも、たくさんの慣れないことをいっぺんにこなすことになります。何より故人を亡くした悲しみの中では、長い挨拶文を覚えられないのが通常です。参列者も、素晴らしいスピーチを期待している訳ではありません。
「葬式挨拶での文例」を参考にして頂き、短くなったとしても「自分の言葉で」葬式の挨拶をすることが大切です。
挨拶の際は前を向き、落ち着いてゆっくり話すことを心がけてください。不安なら原稿を手に持っても構いませんが、あくまでも前を向くことを忘れず、しっかりと話します。そうすればあなたや遺族の感謝の思いは、きっと参列者の皆さんの心に届くはずです。
まとめ
一般的な葬式の挨拶の基本構成と、それぞれの例文
・出だしでは、参列者に対してのお礼を伝える
・香典やお供え、故人に代わってのお礼を述べる
・故人が亡くなった経緯・享年を述べるが、ムリはしない
・故人の「人となり」について述べる
・故人亡き後の「遺族の決意」を述べる
・遺族への支援・指導をお願いする
・会葬のお礼の挨拶で締めくくる