これから社会人として一歩を踏み出す人は、仕事に対して期待を抱きつつも、ビジネス敬語がきちんと使えるかに不安を感じますよね。ですが、いきなりビジネス敬語を上手く使える人はいませんので、始めのうちは多少の間違いがあっても上司や先輩が優しくフォローしてくれます。
しかし、いくら新入社員だからといってもあまりに使い方を間違えたり、非常識な言葉使いをしていては、さすがに呆れられます。下手をすれば早々と「こいつは使えない」と見切りを付けられ、自分の将来に関わってくるかもしれないのです。
上司や先輩に対して失礼な言葉を使ってしまうと、悪印象を与えてしまいます。そうならないためにも、ビジネス敬語をしっかりと押さえておきましょう。
そこで今回は、新入社員がマスターしたいビジネス敬語をお伝えします。
基本は普通の敬語と同じ
ビジネス敬語と言われると、ビジネス特有の敬語のように感じるかもしれませんが、そんなことはありません。基本は、学校の授業で習う敬語と同じで「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の三種類です。
・尊敬語:お客様や上司などの立場が上の人に対して使います。
例
「言う」→「おっしゃる」
「行く」→「いらっしゃる」
「食べる」→「召し上がる」
・謙譲語:自分の立場を低め、行為の向かう先を立てます。
例
「言う」→「申し上げる」
「行く」→「うかがう」
「食べる」→「いただく」
・丁寧語:丁寧な言葉使いのこてで、いわゆる「です」「ます」調です。
それぞれの違いは上記のようになりますが、尊敬語と謙譲語は主語が相手(目上の人)か自分なのかで使い分けるのがポイントです。会社がフランクな雰囲気であれば、社内は丁寧語のみでも問題はありません。
しかし、社外の人に対しては尊敬語や謙譲語を使うようにしましょう。
「お疲れ様です」は立派なビジネス敬語
上司や先輩が外出先から会社に戻ってきた時や先に帰宅される時には、ねぎらいの言葉をかけますが、この際に「ご苦労様です」と口にしては絶対いけません。文字だけ見るといかにもビジネス敬語のように感じますが、この言葉は目下の人に対して使うものなのです。
なので、目下の人がいない新入社員は、誰に対しても使うことができないのです。しかし、ねぎらいの言葉をかけずにいれば、それはそれで印象が悪くなりますので、一言声はかける必要はあります。そんな時、目上の人に対しては「お疲れ様です」と声をかけるようにしましょう。
「お疲れ様です」は、よく耳にするのでフランクな言葉に感じますが、立派なビジネス敬語です。なので、ためらわずにどんどん使用したいところです。
「了○」は危険な言葉
「分かりました」という意味で「了解しました」という言葉を使う人は多いですが、この言葉はビジネス敬語としては危険なものになります。そもそも「了解しました」は、了解という言葉を丁寧語にしているだけですので、社外では使えません。
そもそも「了解」や「了承」のように「了」が付く言葉は、新入社員にはふさわしくない言葉です。了解や了承は「理解した(承った)のでこの話は終わり」ということを意味しています。当然ですが、新入社員には話を終わらせる権限はありませんので、社内でも「了解」や「了承」は使えないのです。
そこで使用する敬語が「承知しました」「かしこまりました」と言った言葉。普段はあまり使わないので、とっさには出てこないかもしれませんが、常に意識を持っていれば、やがて自然に使えるようになります。
仕事を教えてもらったお礼に注意
仕事の右も左も分からない新入社員には、上司や先輩が手取り足取り教えてくれますので、そのことに対してお礼を言わなければなりません。この時「参考になります」のような言葉は、ビジネス敬語としては間違っています。
「参考になる」という言葉は、その考えを取り入れるかどうかを自分で判断するという意味になり、上から目線で答えていることになってしまうのです。たとえ、上から目線で答えているつもりはなくても、相手に不快な思いをさせてしまっては、元も子もありません。
こういう時は、「勉強になります」と言えば周りの印象も良くなりますが、「勉強させて頂きました」と自分をへりくだった言い方をすれば、よりふさわしいビジネス敬語になります。
言葉の意味を理解して使おう
新入社員と言えど時間が経てば、仕事を与えられるようになりますが、まだ力量が足りない中でのことなので、完遂できないこともあります。その際は、上司や先輩にできなかったことをお詫びしますが、決して「役不足で申し訳ありません」と言ってはなりません。
役不足の本来の意味は「自分の実力に対し与えられた仕事がとても軽くて、仕事に満足できない」ということですので、ビジネス敬語で使うのはNGなのです。まして、新入社員であれば軽い仕事など一つもありませんので、とても使える言葉ではありません。
なので「役不足」を「力不足」に置き換えて「力不足で申し訳ありません」と言えば、正しい言葉使いになります。
このようにビジネス敬語と言っても特別なものではなく、基本は日常に溢れている敬語と同じですので、特別な言葉ではありません。新入社員がビジネス敬語を使う上で注意することは、上から目線の言葉を使わないようにすることです。
自分の中では正しいと思っている言葉も、実はふさわしくないものであったり、間違って使いやすい言葉もあります。ですが、新入社員のうちは、ビジネス敬語の使い方が間違っていても上司や先輩が優しく指摘してくれます。
その指摘をしっかりと受け止め、次に生かしていくことが大切です。最初は言葉に違和感を覚えたり間違いもありますが、ビジネス敬語を意識しながら何回も話しているうちに、必ず正しい敬語が身に付いていくことでしょう。
まとめ
新入社員がマスターしたいビジネス敬語は
・基本は「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の三種類
・目上の人には「ご苦労様です」ではなく「お疲れ様です」を使う
・話しを終わらせる権限はないので「了承」ではなく「承知」にする
・仕事を教えてもらったら「勉強になります」とお礼を言う
・「役不足」は絶対に使わず「力不足」にする