平服とは言っても、どんな服までが失礼に当たらないのか…。ある程度理解しているつもりでも、いざとなると「結局どうすれば良いのだろう…。」と、難しく感じる方は多いですよね。
初めて法事の案内で見た時、「平服とは何だろう?」と迷った経験があるのではないでしょうか。平服とは「普段着のような服装だろう。」とイメージできるものの、「こんな服装で参列して、本当にいいのだろうか…。」と不安になった経験のある方も多いはず。
できれば平服とはどのような服装を指すものか、しっかりと理解して、失礼のない準備をしたいですよね。
そこで今回は、法事での服装を例にとり平服とは何か、その概念についてお伝えします。どのような服装が適しているのかも触れていますので、参考にしてください。
これからお伝えする「5つのマナー」を理解すれば、法事に関しては「平服でお越しください」と案内されても、すぐに適切な服装を用意できることができるはず。「平服とは何か」が理解できれば、もう恐れることはありません。
平服とは何?
法事で案内されても安心できる、5つのマナー
平服は「普段着ではないこと」と心得る
平服とは言葉の字面どおり、本来は「普段着・日常着」を指す言葉。
そのため、法事の案内に「平服でお越しください」と記されていたら「特に服装のことを考えなくていいのだな」と思われがちなのですが、うっかり普段着で出向いたら思わぬ恥をかくことになるのです。
【 平服とは☆法事の案内での解釈 】
★ このような場合の平服とは、「場に適した服装」と解釈してください。
・ 具体的には、三回忌の法事までは「略喪服」、それ以降の法事なら「略喪服よりも格を落とした地味な服装」というのが正しい判断。
※ それぞれの服装については、この後の項で詳しく述べます。
ちなみにカジュアルな結婚式の案内にも「平服でお越しください」と記されることがありますが、こちらの場合の「平服とは」の解釈も、普段着ではなく場に適した服装となるので、覚えておくと便利です。
ブラックフォーマルは避けること
前の項で三回忌までと、それ以降の服装について少し触れましたが、遺族は一周忌の法事までは正喪服(最も格の高い喪服)、三回忌以降は準喪服を着るのが一般的。正喪服も準喪服もいわゆる、ブラックフォーマルです。
【 平服とは☆ブラックフォーマルは避ける 】
★ したがって一般の参列者が法事で、ブラックフォーマルを着ると、遺族と同等になってしまう恐れがあります。
・ 遺族は一般参列者を迎えるために格の高い服を着るのですから、それと同等の服ではおかしい、ということになるのです。
ちなみに一周忌の法事の場合、何も案内がなければ一般の参列者は、準喪服を着るのが通常ですが、もし「平服でお越しください」との案内があったらやはりそれに従い、格を落とした、略喪服を着るのが妥当。
ちょっと面倒に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、このような時はあえて地味なフォーマルウエアを意識し、ブラックフォーマルを避けることが、遺族への配慮となるのです。
三回忌までの法事では、略喪服
「略喪服」とは、一般の参列者が急な弔問や通夜に参列する時と、三回忌までの法事の時に着る服装のこと。ブラックフォーマルの正喪服、あるいは準喪服に対して自由度の高い服装ではあるものの、華やかさを避けて一定のルールに則って装うことが必要。
以下に男女別の略喪服の具体的な装いについて説明します。
【 平服とは☆略喪服の装い 】
★ 男性
・ ブラックスーツや紺・グレーなどのダークスーツ(シングルでもダブルでもOK)
・ 白いシャツ
・ 黒無地のネクタイ(タイピンはつけない)
・ 黒無地の靴下
・ 飾りのついていない黒の革靴
★ 女性
・ 黒・紺・茶・グレーなどのシンプルなワンピース・アンサンブル・スーツ(パンツスーツも可)など
・ スーツの場合、インナーは白以外の地味な色味で、透け感のないものとする
・ スカート丈はひざ下~ふくらはぎ丈とし、肌の露出を控えること
・ スカートのスタイルはフレアーやプリーツなど、動きやすいものが望ましい
・ 黒無地または肌色のストッキング
・ 飾りのないシンプルな形の黒のパンプス
ちなみに、女性の場合にはアクセサリーなどにも注意を払わなければなりません。基本的にアクセサリーは、一連のパールやオニキスなどのネックレス。バッグを持っていくなら、シンプルな黒にしてください。
七回忌以降の法事では「地味な服」
三回忌の次の法事は一般的に七回忌となりますが、通常では七回忌以降は法事の規模を縮小し、遺族や近親者のみでの供養となるケースが多いもの。
その時の遺族の服装は「略喪服」が原則。そのため、一般の参列者はそれよりも服装の格を落とし、地味な服装を着るのが正しい作法。こちらはある意味「平服とは」の本来の意味に近いかもしれません。
具体的には、以下のような服装です。
【 平服とは☆七回忌以降の地味な服 】
★ 男性
・ 紺やグレーのスーツに白いシャツを合わせる
・ ネクタイは黒以外にも、地味な色目ならOK
・ 靴下は黒の他グレーなどでもOK
★ 女性
・ 黒・紺・グレーなどのアンサンブル(トップスとボトムの色が違っていてもOK)
・ ブラウスは白でも可
・ 靴やバッグ、アクセサリーは華美なものを避ける
ちょっと抽象的ですが、男性も女性も「地味なお出かけ着」を意識すると場に合ったものになるのではないでしょうか。
「NGになる服装」を押さえる
最後に、どんな法事でもNGとなる服装や小物についてお伝えします。以下に挙げるものは「平服でお越しください」と案内されていても、またどの時期の法事でも控えなければなりません。
【 平服とは☆NGは避ける 】
★ NGな服装
・ 華美な服装・派手な服装
・ 革ジャンパー・革パンツなど「革製」の服装(「殺生」を連想させるため)
・ アニマル柄やファー使いの服装(「殺生」を連想させるため)
・ ノースリーブ・ミニスカートなど露出度の高い服装
・ Tシャツにデニム、ジャージなどのカジュアルすぎる服装
・ サンダル・ミュール・ブーツなどのカジュアルな靴
さらにNGな装いには小物もあります。例えば派手なアクセサリー(特に光り物)や、派手なイメージのバッグ(ロゴが大きく入ったものも含みます)などなど。こちらも「目的」を考えれば、理にかなった装いができるのではないでしょうか。
ちなみにアクセサリーをつけるかどうか迷ったら、いっそつけない選択が安心です。
いかがでしたでしょうか、平服とは普段着ではなく、場に適した服装であるため、迷い勝ちですが、大筋のガイドラインを分かりやすくお伝えしました。
法事は故人を偲ぶと同時に、故人と遺族に対して敬意を示し、ご縁が結ばれていることを感謝する機会。そのような場に適当な服で出向き、どんな風に故人を偲んで過ごせば、その気持ちは伝わるでしょうか…。
服装は「その人を語る」ということを忘れず、誠意持って選べば、大きな失敗にはなりません。
「具体的に『こんな服で来てください。』と記してあればいいのに…。」と思う方も多いのですが、それは日本人独特の奥ゆかしい思いが、反映されているのかもしれません。
平服とはやはり難しい解釈がありますが、自分が参列する「場」を理解して、本記事を参考にしながら、その気持ちで判断してみてください。
まとめ
平服と案内された場合の服装マナー
・平服=普段着ではないことを理解する
・遺族の立場を考え、ブラックフォーマル避ける
・三回忌までの法事では「略喪服」
・七回忌以降の法事では「地味な服」
・NGになる服装を押さえて判断する