初七日法要とは、故人が「亡くなられた日を1日目として、その日から7日目に行う法要」のことです(亡くなられた前日を1日目とする地方もあります)。
仏教では亡くなられてから7日ごとに7回、故人の生前の行いに対する裁きが行われるとされています。初七日はまさに「最初の審判」の日ですので、無事に三途の川を渡って冥土に行くことができるようにお経をあげて貰い、皆で故人を偲ぶのです。
しかし最近では、葬儀を終えた後、また改めて初七日に集まることは遺族や参列者の負担を大きくするということで、葬儀当日に初七日法要も一緒に行うのが主流となっています。少しややこしいですよね。
そこで今回は、初七日法要に向けて、喪主が進めておきたい準備についてお伝えします。
「葬儀当日に行う初七日法要の方法」とともに、本来通りの「『七日目』に行う初七日法要の方法」についてもお話を進めますので、参考にしてください。
初七日法要の行い方。
当日までに喪主が進める準備と方法
葬儀当日に行う「初七日法要」
実は、葬儀当日に行う「初七日法要」にも以下の2種類の方法があります。
【 初七日法要の種類 】
・繰り込み法要→出棺前に行う初七日法要。
・繰り上げ法要→火葬後に葬儀場に移動して行う初七日法要。
それぞれの流れをざっとまとめますと、
≪ 繰り込み法要の流れ ≫
葬儀・告別式→初七日法要→出棺→火葬(その最中に精進落とし)→お骨上げ→還骨法要→解散
≪ 繰り上げ法要の流れ ≫
葬儀・告別式→出棺→火葬→お骨上げ→還骨法要→初七日法要→精進落とし
となります。
文中の「還骨法要」とは、お骨上げ後に葬儀場・寺院・または自宅に戻り「後飾り祭壇」に遺骨と位牌、遺影を安置して、僧侶に読経と供養を行ってもらうことです。
また「精進落とし」とは僧侶や関係者に対して、喪主と遺族が会食を振る舞って労をねぎらうことなのです。
繰り込み法要が多い理由
冒頭で「葬儀当日に初七日法要も一緒に行うのが主流になっている」と述べましたが、さらにこの2種類のうち、どちらが多いかと言えば圧倒的に前者の「繰り込み法要」の方が多くなっています。
【 繰り込み法要が多い理由 】
■ 「繰り上げ法要」にしてしまうと「葬儀場→火葬場→再び葬儀場」と、遺族や参列者の移動が増える上に、初七日法要が終わるまで長い時間を要するからです。
・ 「繰り込み法要」は、告別式に続いて、僧侶に初七日法要の読経をして貰う形となります。
本来、この読経は遺骨に対して行われるものですが、この場合はまたご遺体がお骨になっていないので、位牌や遺影に向けての読経となります。また、火葬の最中に精進落としを行えるため、多くの時間を割くこともありません。
このようなことから「繰り込み法要」は初七日法要の本来の意味を成さないのでは、という意見もあります。
【 初七日法要で大切なことは何か 】
■ けれども、形式よりもむしろ、「故人を悼み供養する思いの方が、大切なのではないか」と捉えられているのも、繰り込み法要が容認されているひとつの理由でもあるようです。
本来の「初七日法要」の方法
本来の形、つまり葬儀とは別の日の初七日法要は、自宅に僧侶を招くか、寺院に遺骨と位牌を持参する形です。
なお別の日の場合は、身内のみが列席する場合が多いため、精進落としが省略されることもありますが、実際に省略するかしないかは、遺族で相談し決めることになります。
この場合の初七日法要は、以下のような流れとなります。
【 本来の初七日法要の流れ 】
①僧侶の入場(自宅に僧侶を呼んで行う場合は「後飾り祭壇」の前に僧侶の席をしつらえておきます)
②喪主の挨拶(法要開始の挨拶)
③読経~焼香~僧侶の法話
④僧侶の退場
⑤喪主の挨拶(法要終了の挨拶)
⑥精進落とし(ここでも喪主の挨拶があります)
なお「繰り込み法要」や「繰り上げ法要」では、葬儀当日に行う初七日法要は葬儀社が様々な手配をしてくれますが、別の日に行う場合は喪主が中心となって、初七日法要の準備を進める必要があります。
本来の初七日法要の準備
喪主が中心となって進めなければならない準備は、以下のようなものが基本です。
【 別の日に行う、初七日法要の準備 】
① 初七日法要を行う場所を決めて、お布施を用意する(お布施については後述します)。
② 精進落としの準備
・ 当日お集まりいただく人数が決まったら、会食を行う場所を決めて「会席膳」の予約を入れておきます。
会席膳の相場は一人当たり3,000~4,000円程度で、仕出し店や日本料理店などに依頼するのが一般的です。なお、精進落としに僧侶が出席されない場合は、お布施とともに「御膳料」をお渡しするのがマナーです。
初七日法要での服装マナー
なお、別の日に行われる初七日法要の際の服装は、以下のようなものであれば安心です。
【 初七日法要時の服装 】
■ 男性→
略式喪服のブラックスーツ(上下黒・白ワイシャツ・ネクタイと靴下・靴は黒とする)
■ 女性→
スーツ・ワンピース・アンサンブルなど、黒で膝が隠れる長さのものを。夏ならば半袖も可。
また、妊娠中の場合は地味な色やデザインの服なら上記以外の服でも失礼には当たりません。
初七日法要のお布施
「繰り込み法要」や「繰り上げ法要」など、葬儀当日の初七日法要のお布施は、通夜や告別式などの一連のお布施と一緒にお渡ししても構いません。しかし葬儀とは別の日の初七日法要の場合は、別途お布施を用意し、初七日法要の日にお渡しします。
【 初七日でのお布施の準備 】
■ この場合のお布施は、白無地の封筒に黒墨で「お布施」または「御布施」と書きます。
・ その下に喪主の氏名(「○○家」でも可)を記入し、その中にお金を入れます。既に「お布施」と印刷されている袋を使うこともできます。
金額は30,000円ほどが相場と言われていますが、心配ならば寺院に確認をとっておきます。自宅や斎場に来ていただく場合は「御車代」もお渡しします。また、精進落としを行う場合、僧侶が接待を辞退されたら「御膳料」もお渡ししなければなりません。
【 御車代と御膳料 】
■ どちらもそれぞれ、お布施の包みよりも小さな白封筒を用意し「御車代」「御膳料」の表書きを記します。
・ ひとつの袋にはまとめずに、必ずそれぞれの袋を用意してお金を入れます。
相場は御車代が5,000~10,000円程度、御膳料は会食の会場によっても異なりますが、御車代同様5,000~10,000円程度が相場。いずれにせよ「キリの良い金額」とします。
お布施のお渡しは、僧侶が精進落としに出席される場合には精進落としの際に、精進落としへの出席を辞退された場合は退場の際に行います。
手渡しではなく、切手盆や袱紗(ふくさ)の上にお布施をのせてお渡しするのがマナーです。なお、御車代や御膳料も一緒にお渡しする場合は、それらの包みの上にお布施の包みをのせ、お渡しします。
初七日法要の際の「喪主の挨拶」
以下に「喪主の挨拶」の例文をお伝えします。
○ 別の日に初七日法要を行う場合の法要開始・終了の挨拶
・ 開始の際
「本日はお忙しい中、ご参列頂き誠にありがとうございます。
これより○○(戒名)、俗名△△(生前の名前)の初七日法要を始めさせていただきます。
それでは宜しくお願い申し上げます(僧侶に向かって)。」
・ 終了の際
「本日はお忙しい中をご参列頂きありがとうございました。
おかげさまで、△△の初七日法要を無事に終えることができました。
△△もきっと安心していることでしょう。
(精進落としを行う場合→)なお、ささやかですがお膳をご用意いたしました。
お時間の許す限りどうぞゆっくりお過ごしくださいませ。
本日は、誠にありがとうございました。」
○ 精進落としでの喪主の挨拶
・ 開始の際
「ひとことご挨拶を申し上げます。
皆さま、本日はお忙しい中をご参列頂き誠にありがとうございました。
長時間にわたるご参列で、皆さまお疲れのことと存じます。
ささやかではございますが皆さまへの感謝を込めて、このような席をご用意いたしました。
故人の思い出などお聞かせいただきながら、ごゆっくりお過ごしいただければと思います。
本日はありがとうございました。」
・ 終了の際
「皆さま、本日はお忙しい中を誠にありがとうございました。
皆さまおひとりおひとりにお見送り頂き、△△も喜んでいることと思います。
まだまだ様々なお話をお聞かせいただきたいところですが、皆さまお疲れのことと存じますので、本日はこの辺りで終了とさせて頂きたく存じます。
十分におもてなしできず大変申し訳ございませんでした。
本日は誠にありがとうございました。」
いかがでしたでしょうか。喪主ともなると、故人を失った悲しみに浸る余裕もなく、様々な準備をしなければなりません。
とは言え、このような立場に慣れているという方はほとんどいないはずです。相談できる身内や寺院・葬儀社などの力を借りながら、少しでも心配なことがないように準備を進めていくことをおすすします。
なお「初七日法要をいつ行うか」という考え方は地方により異なります。
遠方から参列する親戚などのことを考えると、確かに葬儀の当日に初七日法要を行った方が何かと合理的ではあるのですが、その辺りは地方のしきたりに従った方が得策かもしれません。
どのような形で初七日法要を行うにせよ、大切なのは「故人を供養する思い」です。そのことを忘れずに臨めば、きっと故人も安心してくれます。
まとめ
初七日法要の流れと準備
・葬儀当日に行われる初七日法要がある
・当日の初七日は「繰り込み法要」と「繰り上げ法要」の2種類
・本来の初七日法要は、喪主や遺族で準備を進める
・初七日ではお布施と、場合によっては御車代、御膳料が必要
・法要の際と精進落としの際には喪主の挨拶が入る