「謙譲語を正しく使おう」と言われても、シンプルな敬語や丁寧語と違い、謙譲語の使い方は難しく、「よく良く分からなくて不安…。」などの感想が多いですよね。
謙譲語は自分をへりくだって言う表現で、複雑な印象を受けますが、謙譲語も敬語の一種であることに変わりはありません。謙譲語、尊敬語、丁寧語を総称して「敬語」なのです。
確かに敬語の中でも、謙譲語と尊敬語の使い方が混同する人は多いです。特にビジネスでは、謙譲語、尊敬語などの敬語が常に飛び交う場。
緊張のあまり正しい使い方ができなかったり、使い方を間違えているがゆえに、言いたいことが相手にうまく伝わらなかったりすることも少なくありません。「謙譲語が苦手!」という新人の方々は多いですよね。
そこで今回は、堂々と謙譲語を扱えるよう、謙譲語の中でも特に勘違いしやすい、7つの言葉についてお伝えします。
謙譲語の正しい使い方☆
勘違いしやすい7つの言葉
謙譲語を考える
冒頭でも触れたように、謙譲語は自分をへりくだって言う表現です。尊敬語は相手を高め敬った言い方。簡単に言えば、謙譲語の対象は自分、尊敬語の対象は相手ということです。
【 謙譲語の間違えの原因 】
★ しかし実際には、謙譲語と尊敬語を混同して使ってしまう人が多い!
・ 正しく使っている人からしてみると、とてもおかしな表現に…。
謙譲語は「自分をへりくだる」表現を使うため、間違ってしまうと相手に対して失礼な言葉をかけてしまっていることになることも!お互いの信頼関係にも影響します。
コミュニケーションで大切な言葉遣いのなかでも、謙譲語を正しく使うことができれば、聞き手にとっても気持ちのよい表現になります!是非この機会に謙譲語の使い方をマスターしてください。
「行く」の謙譲語
ビジネスでの会話や目上の人と会話をするとき、単語を頭の中で瞬時に謙譲語や尊敬語などに変換しなければなりません。頭の中にある変換機能が正しく働けばいいのですが、経験が浅かったり使い慣れなれない言葉を口にしたりするときには、どうしても正しく変換できないことも出てきます。
では、実際にどのような言葉が間違えやすいのでしょうか。正しい使い方と併せてお伝えします。
【 「行く」 謙譲語 】
< 参る、伺う >
★ 間違った使い方
…では、○時にお越しします
☆ 正しい使い方
…○時に参ります。
…○時に伺います。
尊敬語の場合は、「○○さんが参られました。」は間違え。正しくは「○○さんがお見えになりました。」ですし、「○時に会議室に伺ってください。」は間違えとなり、「○時に会議室にお越しください。」が正しい表現、となります。
「聞く」の謙譲語
【 「聞く」の謙譲語 】
< 伺う、拝聴する、お聞きする >
★ 間違った使い方
…こちらの件について○○さんからお聞きされた。
☆ 正しい使い方
…こちらの件について伺ってもよろしいですか?
…先日の演説を拝聴しました。
尊敬語の場合、「こちらの件は受付で伺ってください。」は間違え。「こちらの件は受付でお尋ねください。」が正しくなります。「○○さんはもう拝聴されましたか?」も間違えです。正しくは「○○さんはもうお聞きになりましたか?」となるのです。
「言う」の謙譲語
【 「言う」 謙譲語 】
< 申す、申し上げる >
★ 間違った使い方
…私からおっしゃってもよろしいでしょうか。
…弊社の○○がおっしゃっていました。
☆正しい使い方
…私から申し上げてもよろしいでしょうか。
…弊社の○○が申しておりました。
尊敬語の場合「ご意見があれば申してください。」は間違え。「ご意見があればおっしゃってください。」が正しい表現です。また、「○○さんが申し上げています。」が間違えで、「○○さんがおっしゃっています。」が正しい言葉遣いです。
「見る」の謙譲語
【 「見る」 謙譲語 】
< 拝見する、見せていただく >
★ 間違った使い方
…資料をご覧したところ
☆正しい使い方
…資料を拝見したところ
尊敬語の場合、「資料を拝見してください。」が間違えた表現であり、正しくは、「資料をご覧ください。」です。
「する」の謙譲語
【 「する」 謙譲語 】
< させていただく、致す >
★ 間違った使い方
…こちらから発注の手配がされますので
☆正しい使い方
…こちらから発注の手配をさせていただきますので
尊敬語の場合には、間違えは「部長は出席致しますか?」。正しい表現では「部長は出席されますか?」となります。
「知る」と「わかりました」の謙譲語
【 「知る」の謙譲語 】
< 存じ上げる >
★ 間違った使い方
…私は○○さんのことをご存知です。
☆ 正しい使い方
…私は○○さんのことを存じ上げています。
尊敬語の場合には、「○○さんのことを存じ上げていますか?」が間違え。正しくは、「○○さんのことをご存知ですか?」となります。
その他に勘違いしやすい言葉と言えば、「わかりました」があります。この言葉で多い間違えは、「了解しました」や「了承しました」なのですが、同僚など立場が対等な場合にはOKです。
ただし、目上の方々への言葉としては「承知しました。」や「かしこまりました。」が正しいものとなるのです。
いかがでしたでしょうか、特に勘違いしやすい7つの言葉について、謙譲語の使い方やその間違えが理解できたのではないでしょうか。急な場面でも対応できるように、日ごろからよく使う言葉の謙譲語は押さえておきたいものです。
謙譲語と尊敬語の対象が理解できた上で見てみると、間違った使い方の例はどれもおかしな表現になっていると感じるようになります。
また、最後にお伝えした「わかりました」という言葉は、ビジネスにおいてとてもよく使う言葉。取引先や目上の人との会話やメールなど、「承知しました」や「かしこまりました」と使うのが正しい使い方ですので、間違っても「了解しました」、「了解です」などと使わないように注意が必要です。
謙譲語の正しい使い方をマスターし、スマートな対応で相手との信頼関係を築いてください!
まとめ
7つの謙譲語 正しい使い方とは
・謙譲語と尊敬語を混同させない
・謙譲語の対象は自分、尊敬語の対象は相手と覚えておくとよい
・「行く」の謙譲語は「参ります」や「伺います」
・「聞く」の謙譲語は「伺う」や「拝聴する」
・「言う」の謙譲語は「申し上げる」
・「見る」の謙譲語は「拝見する」
・「承知しました」、「かしこまりました」を使う