様々な場面で活躍するご祝儀袋ですが、その書き方に戸惑った経験は誰でもあるものですよね。友人知人が結婚した時、子どもが生まれた時、入園入学の節目や記念日、そして快気祝いや退院祝いとご祝儀袋を用意する場面は意外と多いですが、用途に応じたご祝儀袋と書き方がありますから、知らずに無作法なことをしてしまっては、折角のお祝いに水を差してしまうことにもなりかねません。
そこで、今回はご祝儀袋のマナー☆用途別の選び方と書き方の知識と題して、用途に応じたご祝儀袋の選び方と、その書き方についてお伝えします。知らぬは一生の恥と言います。ここできちんとした知識を身につけて、どんな場面でも慌てず適切なご祝儀を贈れる、スマートな大人を目指しましょう。
ご祝儀袋のマナー☆
用途別の選び方と書き方の知識
結婚祝いには華やかなデザインを選ぶ
結婚祝いに用いられるご祝儀袋は、「二度とない」という願いを込めて「結び切り」と呼ばれるデザインの水引があしらわれたものを選びます。ご祝儀袋というと、つい書き方や全体のデザインに注意が向きがちですが、水引のデザインも場面に応じて使い分ける必要がある重要なポイントになりますから、覚えておきましょう。
結婚祝いでは特に、結び切りをアレンジした「鮑(あわじ)結び」というデザインが好まれます。結び切った両端を引くと結び目が強く固く締まっていくことから、二人の強い絆や結びつきを表すという意味で結婚式に適したデザインという訳です。
表書きには、水引の上段に「御結婚御祝」もしくは「寿」と書き、下段に自分の名前を書きます。ご祝儀袋の書き方で悩む方の中には、この名前の部分に自分の名前と相手の名前どちらを書けばよいのかと頭を抱えている人も多いのではないでしょうか。ここには「自身の名前」を書くことが正解です。苗字だけではなく、フルネームで記すのがマナーです。
ご夫婦で連盟にされる場合は、ご主人のフルネームを中央に書き、その左側に奥様の名前のみを書きます。3名以下の連名であれば全員の氏名を表書きに書いても良いですが、この時は、左端に最も立場が上の人の氏名を置きましょう。立場に上下が無い場合は、五十音順でかまいません。人数が多い場合は代表者氏名のみを中央に記し、左側に「外一同」とだけ書きます。そして、中袋に改めて、メンバー全員の氏名を書きましょう。
出産祝いには何度あっても喜ばしい蝶結びの水引で
出産は、結婚と違い何度あっても喜ばしいお祝いなので蝶結びのデザインを選びます。とはいえ、最近は赤ちゃんをイメージさせるポップなかわいらしいデザインのご祝儀袋も多く、包む金額によっては水引の無いデザイン重視のご祝儀袋でも喜んで頂けるでしょう。
ご祝儀袋の表書きの書き方ですが、シンプルに「御祝い」もしくは「ご出産御祝い」と記すようにします。「寿」も、お祝いなので良さそうに感じますが、これは結婚式でのみ使用される表書きなので、出産祝いのご祝儀袋の表書きの書き方としてはNGです。氏名の書き方は、結婚式と同様ですが、連名になることも多いお祝いですので、あまりに多く中袋に書ききれないとか、書くと不恰好になる場合は、メンバー全員を記した別紙を中袋に挟んでおくと良いですね。
入学祝いは紅白の蝶結びで
入学祝いのご祝儀の書き方は、「ご入学御祝い」や「祝ご入学」としますが、最近は直接お子さんに渡す機会も増えてきたので「入学おめでとう」と親しみを込めた書き方も許容されるようになっています。ご祝儀袋への氏名の書き方は結婚式と同様です。また、出産祝い同様何度あっても縁起が良いので蝶結びの紅白デザインを選んでください。
快気祝いや退院祝いは「二度と病気にならないように」と結び切りを選ぶ
快気祝いと退院祝いの違いについて、混同している人も多いのではないでしょうか。快気祝いとは、入院中・療養中にお世話になった方々へ、病気が治ったご本人が贈る「ご心配おかけしました」という気持ちです。そのため、ご祝儀袋の表書きの書き方は、上段に「快気祝」「本復(ほんぷく)祝」とし、下段には病気が治ったご本人の氏名を記します。
上段を「快気内祝い」と記した場合、本意は「快気祝い」と同じですが、どちらかと言えばまだ自宅療養が必要であったり、完治していないけれども、という状態を表します。出産祝いですと、「内祝い」はお祝い返しという意味合いを持ちますが、快気祝いという場面では違う意味を持つことを知っておきましょう。
退院祝いの場合は、病気療養からめでたく退院された方へのお祝いになるので、ご祝儀袋の書き方は「退院御祝い」や「祝ご退院」として、贈る側の氏名を記します。ご祝儀袋のデザインは、シンプルな結び切りの水引があしらわれたもので良いのですが、水引の色は必ず紅白にしましょう。
中袋には旧字体で金額を。住所も忘れずに
中袋が付いているタイプのご祝儀袋の場合、表書きの他に中袋にも書き方のマナーが存在します。まず、中袋の表には、包んだ金額を旧式の漢字を使って記載します。旧字体では、漢数字の一を「壱」、二を「弐」、三を「参」、十を「拾」、万を「萬」と表記します。単位である円は「圓」と書きます。例えば三万円を包んだ場合、中袋の表面に大きく「金 三萬圓 也(なり)」と書けばよいのです。最後の也は、書いても書かなくても失礼には当たりません。
また、中袋の裏側には、贈った側の住所と氏名を記載します。これは、贈られた側が中を確認し、その後のお礼の手紙や内祝いをお返しするときに誰からいくらいただき、どこにお礼をすればよいかが分かるようにするためですから、必ず書くようにしましょう。連名で贈った場合は、この部分に全員分の住所と氏名を入れます。
大人数の場合は、中袋に明細としてお祝いを出した全員の氏名と住所を記したものを同封します。この時、差支えなければ誰がいくら贈ったのかも記しておきましょう。会社の部署一同のように全員が一つのところに集まっている場合は一か所へのお礼という形で返せますが、遠方に住む友人同士が連名でという場合、お返しは個別に渡すことになります。この時、それぞれが贈った金額にバラつきがあるにもかかわらず、その詳細が無ければ、お返しする側も困ってしまいますよね。
いかがでしたか。ご祝儀袋といっても、用途によって使い分ける必要があることが分かりました。表書きや中袋は、毛筆で記すのがマナーです。普段毛筆を使い慣れていない場合、どうしてもサインペンやボールペンで書いてしまいたくなりますよね。特に中袋は外から見えませんし、細かい字を書く必要があるので普段から毛筆に慣れていない人にとってはとても大変なものになります。
しかし、ご祝儀はお祝いとして準備するものです。多少不恰好でも、一生懸命準備してくれたのだという気持ちが相手にとっては包まれた金額よりもいっそううれしく感じるものではないでしょうか。皆さんも、用途に合わせた素敵なご祝儀袋で、お祝いの気持ちを相手に伝えましょう。
まとめ
ご祝儀袋の用途別の選び方と書き方とは
・結婚祝いなら水引は鮑結びで華やかなデザインを選ぶ
・出産祝いはかわいらしいデザインOK。水引は何度あっても喜ばしい蝶結び
・入学祝いはお子さんに直接渡すかどうかでデザインを選ぶ
・快気祝いや退院祝いはシンプルな紅白の結び切りで「二度とないように」と願う
・中袋の表には旧字体で金額を書き、裏面には住所と氏名を忘れずに