残暑見舞いは年賀状に比べて、少しマイナーなイメージがありますよね。ビジネス上で出す方はいるかもしれませんが、ほとんどの人にとって「残暑見舞い」という存在は知っていても、必ず毎年出す感覚はありません。
でも、もし自分に残暑見舞いが送られてきたら、とても嬉しいもの!残暑見舞いが意外だからこそ、ふと届くアナログな手紙の存在に、とても親しみを感じるのです。
ただいざ書こうと思うと、残暑見舞いの意味やマナー、実は多くを知らないことに気付きます。でもせっかく書くのなら、相手に喜んでもらえて失礼のない、残暑見舞いを送りたいですよね。
そこで今回は、日本の作法に則って、丁寧な印象を残せる残暑見舞いを送れるよう、残暑見舞いの作法のポイントをお伝えします。
残暑見舞いでご挨拶☆
丁寧な印象を残す7つの心得
残暑見舞いを送る時期
「残暑」といえる時期は、立秋を過ぎてから8月末頃まで。「8月ならまだ暑中見舞いなのでは?」と思えますが、暦の上では秋なのです。秋なのに暑いので送るのが残暑見舞い。
【 残暑見舞い:送る時期 】
★ 立秋とはだいたい8月7日頃ですが、毎年立秋の日は変わりますので、暦を見ながら判断します。この日を境にして、前が「暑中見舞い」後が「残暑見舞い」なのです。
暦を確認すれば良いのですが、最近ではその暦がなかなか確認できないかもしれません。もしも判断が難しく、微妙な時期に送るのなら、送る日を遅らせてしまうのも、アイデアです。
残暑見舞いには、構成の基本がある
通常の手紙には、「拝啓」や「敬具」「かしこ」などの書き出しや締めがありますが、実は残暑見舞いには、このようなかしこまった言葉はいりません。ちなみに、ビジネスの場合もこれらを省略するのが慣例。
【 残暑見舞い:書き出し作法 】
★ 「残暑お見舞い申し上げます」で始めるのが基本の作法。
① それから安否を気遣う言葉
② こちらの近況報告
③ 健康を気遣う言葉
④ 日付と続ける構成があるのです。
宛名をしっかり書く
これは、どんな手紙やはがきでも同じことなので、言うまでもないことかもしれませんが、赤ペンや青ペンなど、色付きの文字で書くのは失礼です。
現代では、手書きでも印刷でもどちらでも良いのですが、丁寧に書きたいのであれば、黒い筆ペンなどで書いても好印象。(弔事に使われる薄墨の筆ペンは、間違えても使用してはいけません!)
【 残暑見舞い:宛名 】
★ 漢字の間違い、住所の間違いがないように注意してください。
・ 特に先方の家族全員の宛名を書こうとすると、記憶があやふやな場合がありますので、十分に注意してください。
お中元を頂いたら、お礼を忘れずに
残暑見舞いを書く時には、礼儀として書く場合もあります。と言うのも、暑中見舞いやお中元をいただいた方に出す場合。
【 残暑見舞い:お礼を伝える 】
★ もしも自分が暑中見舞いやお中元を出していない相手から、お中元・暑中見舞いをいただいたら、残暑見舞いを送ってお礼を伝えるのが礼儀です。
・ さらにお中元の場合には、菓子折りなど贈り物が届いていますので、残暑見舞いをお届けした上で、お礼の品を贈れば、相手にも失礼がありません。
残暑見舞いで書く、日付
手紙で書く時には、最後に書いた日の日付を添えてから署名をしますが、実は残暑見舞いの作法では、詳細な「平成〇〇年〇〇月〇〇日」という日付は用いません。
【 残暑見舞い:日付の書き方 】
★ 「平成〇〇年」の後にその季節の言葉を書きます。例えば、「晩夏」とか「立秋」あるいは「八月」などが適切。
これは同じく暑中見舞いでも通用するご挨拶ハガキの作法ですが、日本人らしい赴きのある作法とも言えます。ハガキの柄や自分の気持ちに見合った、情緒ある季節の言葉を書いてください。
自分の近況を報告する
残暑見舞いのご挨拶は、もともと相手へのお伺いと、自分が元気であることを伝えるためのものでした。そのため、自分の近況報告は省略しないようにします。
【 残暑見舞い:近況報告 】
★ 相手へ「暑い日が続きますが、いかがお過ごしですか?」と、体を気遣う文章を入れた後、簡潔に自分の近況を伝えるのが、基本の構成。
これがないと味気なくなって、気持ちが伝わりにくくなります。短く一文で良いですから、ひと言添えてください。「毎年、同じ文面を書いているなぁ~。」と言う方は、最近楽しんでいる趣味などに触れるのは、いかがでしょうか。
先方への気遣いが伝わるように
何と言ってもこれが一番大事です。そもそも残暑見舞いは、暦の上では秋なのに、まだまだ暑さが厳しいので「体調は大丈夫ですか?」という先方への気遣いを示すことが目的!それを見失わないようにしたいものです。
【 残暑見舞い:相手への気遣い 】
★ 構成のところで出てきましたが、最初の言葉の後、先方の安否を気遣う言葉を入れます。
・ 「お元気でお過ごしでしょうか」、「お変わりありませんか」といった言葉が適切。
そしてさらに、自分の近況を伝えた後に、「ご自愛ください」とか「お身体にお気を付けください」といった言葉を入れるのです。現在と将来の両方を気遣う文章になります。
いかがでしたでしょうか、今回お伝えした基本の残暑見舞いの心得をまず丁寧に書き添えると、気遣いの気持ちも伝わります。
残暑見舞いは、元々は挨拶回りに走っていたものが、郵便制度の発達に伴って挨拶状を贈る習慣が出来上がったことから始まります。そのようなことから、暑中見舞いや残暑見舞いのハガキを送る習慣が広まったのは、大正時代。
現代に住む私達が、この暑中見舞いや残暑見舞いの習慣を取り入れるかどうかはともかく、人を気遣うことはとても大切ですし、嬉しいもの。ですから、残暑見舞いを送ることで、相手への気遣いが伝われば、それは素晴らしいこと!
「決まりだからする。」ではなく、本当に心から出る気遣いを表せれば、良い印象を残せることは間違いありません。是非丁寧な印象を残して、さわやかな人と人とのつながりを持ちましょう!
まとめ
残暑見舞いの基本作法
・立秋の後の挨拶ハガキは、残暑見舞い
・挨拶→相手の健康→自分の近況→健康の気遣い→日付
・宛名は筆ペンなどが好ましく、丁寧に書く
・お中元や暑中見舞いをいただいたら、お礼を伝える
・最後に日付は入れず、時候の言葉「晩夏」などを入れる
・自分の近況は必ず伝えるが、簡潔に済ませる
・相手の健康を気遣う言葉は必ず入れる