お焼香の仕方、基礎知識。堂々と行う、手順とマナー


お焼香の仕方は、簡単ながら一定の手順やマナーがあります。けれども、そもそも葬儀に参列する機会も少ない昨今、「何となく」会場の周囲の様子を見て、お焼香を済ませて人々が増えているのです。

けれども、お焼香の仕方に限らず、マナーを改めて確認して当日に備えることは、もちろん自分自身も堂々と会場へ向かうことができますし、故人やご遺族、周囲のひとびとにも、安心して落ち着いた印象で、信頼を与えることができます。

もちろん参列者であれば、一番に行うことはないはず。けれども焼香台では一人だけに、お焼香の仕方が心もとないまま、一人で焼香台に進むのは、やはり避けたいですよね。

そこで今回は、突然の葬儀でも堂々とお焼香ができるよう、基本の流れや手順と、お焼香マナーをお伝えします。

 

お焼香の仕方、基礎知識。
堂々と行う、手順とマナー

 

お焼香の仕方、三つの種類

お焼香の仕方の基本はほとんど同じなので、どちらにしてもその手順を押えられれば、どの種類でもお焼香の仕方でさほどとまどうことはありませんが、会場や状況で、三種類のお焼香のスタイルがあります。

【 お焼香の仕方、三つの種類 】

・ 立礼焼香
・ 座礼焼香
・ 回し焼香

この三つの種類を理解して、基本のお焼香の仕方を押えつつ、それぞれに柔軟に対応できれば、どんな葬儀も安心です。

 

線香と抹香

葬儀でのお焼香の仕方を覚えるとなると、抹香が最も多いのですが、中には線香でのお焼香もあります。この場合にも焼香台の前に立って、ご遺族や僧侶にお辞儀をするなど、一連の手順は同じです。

【 線香の場合のタブー 】

■ ひとつだけ、火を付けたお線香は、手などで火を消します。絶対に、口で「フーッ!」と息を吹きかけることは避けてください。

基本中の基本、ではありますが、日常お仏壇でお線香を立てる時、日々のことだけにままありますので、その癖が出ないよう、しっかり自覚して参列すると安心です。

 

抹香をおしいただく

葬儀で最も多いのが抹香です。抹香は右手の三本の指の先(親指、人差し指、中指)でつまみます。

【 抹香をおしいただく 】

■ 右手三本の指でつまんだ抹香は、そのまま軽くおがむように、丁度眉の間あたりの高さまで上げます。これを「おしいただく」と言います。

おしいただいた抹香は、静かに指同士をすり合わせるようにして、香炉の方へ移動する(落とす)のが正解です。

 

立礼焼香の手順

葬儀会場で最も多いのが、立礼焼香。これは、参列者が椅子に座る会場での焼香の仕方です。この焼香の仕方が基本となるので、簡単な手順を説明します。

【 立礼焼香の手順 】

① 焼香台よりも少し前まで来たら、一度立ち止まってから、それぞれに体を向け、丁寧にご遺族と僧侶にお辞儀をします。

② 焼香台の前に立ち、遺影に向かって合掌をした後、一礼

③ 前項を参考にして、抹香をおしいただきます。

④ 遺影をまた見つめ、合掌をします。

⑤ 再び、ご遺族に一礼をします。

これが立礼焼香での一連のお焼香の仕方です。ご遺族に一礼した後は、席にもどって大丈夫です。

 

座礼焼香と立礼焼香の違い

では、座礼焼香でのお焼香の仕方は、立礼焼香と何か変わるのでしょうか?実は基本的には何も変わることはありません。座礼焼香は、立礼焼香の会場が畳部屋のような、正座で葬儀を行うスタイルでの、お焼香の仕方なのです。

【 座礼焼香と立礼焼香の違い 】

■ 正座をしていた者が、順番がくると焼香台へ進むことになります。その時、シッカリと立ち上がらずに、腰を低くして進むことだけ、意識すれば大丈夫です。

上手にグーの手を作った手を使い、移動するとスマートです。

 

回し焼香と立礼焼香との違い

最後の種類が「回し焼香」なのですが、この回し焼香は、畳間でも椅子がある洋間でも見受けられるお焼香の仕方です。会場が狭いなど、何らかの理由で移動が困難な場合に用いられるスタイルです。

【 回し焼香と立礼焼香の違い 】

■ 回し焼香は、自分から焼香台へ向かうのではなく、焼香台が回ってくる焼香の仕方なんです。前述した焼香の仕方は変わりません。

畳間であれば自分の前に、椅子であれば自分の膝の上に焼香台を置いて、お焼香を済ませてから、隣の人へ焼香台を回します

 

おしいただく回数の違い

この抹香をおしいただく焼香の仕方ですが、「何回繰り返せば良いのだろう?」と疑問に思ったこと、ありますよね。実はこのおしいただく回数は、宗教や宗派によって違うため、葬儀によってまちまちなのです。

【 おしいただく回数の違い 】

■ 真言宗では三回、日蓮宗では一回など、多くは一回か三回行われます。

・ 相手方の宗教に沿う回数でできれば最善ですが、自分の宗教・宗派の回数でも問題ありません。

基本を形を覚え、相手の宗教や宗派が分かる場合、分からない場合など、臨機応変に対応できれば大丈夫です。

 

いかがでしたでしょうか。お焼香の仕方は覚えなくても、何となく覚えている人々も多いため、さほど目立つことはないかもしれません。けれども故人を敬う気持ちや、ご遺族の心情を察すると、でき得る限りの丁寧な礼儀で、弔いをしたいですよね。

お焼香の仕方は、まずは自分の(家族の)宗教や宗派の方法に沿ってマスターすることをおすすめします。基本はほとんど同じで、後は回数だけですので、それはその都度、対応しやすいからです。

もちろん、お焼香の仕方を覚えて突然の葬儀に備えるとともに、お焼香のための数珠も日頃から揃えたいところ。数珠もまた、ご自身の宗教や宗派のもので問題ありません。

また、宗教や宗派に関係なく、大勢の参列者がいるなど時間的な都合から、一律で一回のみおしいただくことを求められることもあります。もちろんその場合には、臨機応変に一回のみにするのがマナーです。

 

まとめ

葬儀でのお焼香の仕方の基本

・お焼香には立礼・座礼・回し焼香の三種類がある
・抹香でのおしょうこうが多いものの、線香の事例もある
・抹香をつまみ、額まで持ち上げるのが「おしいただく」
・焼香の前と後に、立ち止まってご遺族と僧侶に一礼する
・畳間で行う座礼焼香では、立ち上がらず腰を低く移動する
・回し焼香は、席まで焼香台が回ってくるお焼香の仕方
・宗教や宗派によっておしいただく回数が違う


連記事