突然訪れる大切な人との別れ。悲しくて何も手につかなくなってしまいますよね。しかし、喪主となってしまった場合にはそうもいってられません。葬儀を行う場所を決めたり、故人と親しかった人に連絡をしたりと、急いでやらなければならないことが沢山あります。
葬儀の準備や進行などは葬儀社の人や親族の方にある程度お任せすることが出来ますが、喪主にしか出来ない、喪主だからこそやらなければならないこともあります。それが喪主の挨拶です。
悲しみの中での挨拶は辛く大変でもありますが、故人を偲び、来てくださった方々に感謝の気持を伝えなければなりません。葬儀では、お悔やみや通夜のお開きなど、喪主の挨拶の場は何度か訪れます。場面別に喪主の挨拶の文例をご紹介していきますので、参考にしてみて下さい。
喪主の挨拶でお悔やみや通夜に使える文例一覧
お悔やみに対する一般的な返礼
弔問客に対して感謝の言葉を簡潔に述べます。悲しみのあまり言葉が続かない場合には、「本日はありがとうございます」と述べて深々と一礼するだけでも良いでしょう。
文例
『ご丁寧なお悔やみをいただき、恐れ入ります』
『本日はお忙しいところ、ご丁寧な心遣いを頂きありがとうございます』
『急な知らせにもかかわらず、早速のお悔やみありがとうございます』
仕事関係者に対するお悔やみの返礼
お悔やみの返礼は、故人と弔問客の関係に応じた挨拶が基本です。しかし、限られた時間内に弔問客が次々と訪れますので、生前お世話になったこと、そのお礼を簡潔に述べましょう。
文例
『お忙しい中、お越しいただきましてありがとうございます。◯◯が生前に大変お世話になり、心よりお礼申し上げます』
『本日は誠にありがとうございます。◯◯が生前にいろいろとお世話になったことと存じます。故人になり代わりまして、心よりお礼申し上げます』
通夜ぶるまいの前の挨拶
最近では、通夜の弔問客が増える傾向にあり、通夜終了後、清めと弔問客への感謝、故人の供養などの意味を込めて軽い軽食で弔問客をもてなす席を設けるのが一般的です。通夜ぶるまいの前の挨拶では、生前のお礼の後に通夜ぶるまい席への案内を伝えます。
文例
『本日はご多忙中のところ、(夫・妻・父・母など)・◯◯の通夜にお越しいただきありがとうございます。◯◯が生前に賜りました数々のご厚情につきましては、故人になり代わりまして厚くお礼申し上げます。
~(死亡の報告・故人を偲ぶ言葉)~
心ばかりですが、別室に食事の用意をいたしておりますので、召し上がりながら(夫・妻・父・母など)をしのんでいただければと存じます。
本日は本当にありがとうございました』
通夜ぶるまい終了の挨拶
通夜ぶるまい終了後は、改めて弔問に対する謝辞を述べ、終了の案内、葬儀・告別式の案内の順に言葉を続けます。弔問客の帰り時間が遅くなるので、その気配りの言葉も忘れないように述べましょう。
文例
『本日はご多用中にもかかわらず、ご弔問いただきまして誠にありがとうございました。お陰様で、通夜の儀式を滞りなく済ませることが出来ました。故人もさぞ喜んでいることと思います。
もう少し皆様方のお話をお聞きしていたいところではございますが、時間も遅くなってきており、夜もふけてまいりましたのでこの辺でお開きにさせていただきたいと存じます。
なお、葬儀・告別式は明日◯時より◯◯で執り行いますので、ご都合がよろしければご会葬くださいますよう、お願い申し上げます。
どうぞ、足元にご注意なさってお帰り下さいませ。
本日はありがとうございました』
葬儀・告別式の挨拶
挨拶の内容は、葬儀・告別式参列のお礼、差支えのない範囲で死因や最後の様子などを簡潔に述べます。その後に故人のエピソードなどを盛り込み、最後に改めて会葬者へのお礼、今後の支援のお願いなどを述べて締めくくります。
文例
『本日はご多用にもかかわらず、(夫・妻・父・母など)・○○の葬儀・告別式にご列席いただきまして誠にありがとうございます。(夫・妻・父・母など)も皆様と最後のお別れができ、きっと喜んでいることと思います。
~(死因や最後の様子、故人のエピソードなど)~
故人が生前に賜りましたご厚誼に対しまして、あらためて厚くお礼申し上げます。
併せて、今後も倍旧のご支援・ご指導のほどお願い申し上げます。
本日は最後のお見送りをいただき、誠にありがとうございました』
精進落としの挨拶
精進落としでの挨拶は、通夜から葬儀・告別式と長時間に渡る労をねぎらい、ゆっくりとくつろいでもらえるように簡潔にしましょう。
文例
『本日は長時間に渡り大変お疲れ様でございました。皆様のお陰で、無事に葬儀すべてを終えることが出来ました。心よりお礼申し上げます。
気持ちばかりではございますが、別室に小宴を設けましたので、お時間の許す限り、おくつろぎいただければと存じます。
本日は誠にありがとうございました』
喪主の挨拶の注意点
挨拶において最も気を付けなければならないのは、忌み言葉や重ね言葉です。忌避されている言葉や「重ね重ね」「また」といった言葉は避けた方がよいとされています。
しかし、喪主の挨拶は会葬下さった方々への感謝の気持を心から述べることの方が大切ですので、使ってしまったとして避難されるようなことはありませんので、注意しておくこととして頭に入れておくと良いでしょう。
また、通夜と葬儀・告別式の挨拶の内容は、どうしても似通ったものになりがちです。これは、ある意味では仕方のないことですが、通夜と葬儀・告別式双方に参列する人のことを考えて、言い回しを少し変えたり、故人のエピソードなどを補足するように工夫しましょう。
いかがでしたでしょうか。喪主の挨拶の文例を場面ごとにご紹介しました。喪主の挨拶は故人の代わりでもあります。参列者に対する感謝をしっかりと簡潔に伝えることが大切ですので、上手く挨拶しようとすることよりも、心から感謝の気持ちを述べるようにしましょう。
挨拶は全て覚えて話さなければならないと思っている方も多いかと思いますが、メモを見ながらでも問題ありません。故人に対する想いと感謝を、忙しいなかで時間を割いて訪れてくれた参列者の方々へ伝えられれば、充分なのかもしれません。
参列して下さった方々は、喪主の悲しみや立場を理解してくれています。無理に正しい言葉で話そうとせず、自分のペースで来て下さった方々にお礼の言葉を伝えてくださいね。