物事には常に始まりと終わりがあります。人生もそのうちの一つといえるでしょう。大切な方との別れは突然のことで信じられず、気持ちがついていけないかと存じます。
しかし喪主である場合、大切な方を最後に送り出すための葬儀は執り行なわなければなりません。そしてその際、会葬してくださった方達へのご挨拶も欠かせないものとなります。
本記事では、喪主のお悔やみのお返事や通夜のお開きなどの挨拶文例を場面別にご紹介します。葬儀での挨拶は一度のみではなく、数回行ないます。しかし葬儀の前は何かとするべきことが多く、挨拶を考える余裕もあまりないことでしょう。
その際は、本記事でご紹介する挨拶の文例を活用し、各場面での挨拶に織り交ぜてください。
喪主の挨拶文例。
お悔やみや通夜のお開き…場面別にご紹介
亡くなったことを伝える場合は簡潔に
故人の勤務先や関係者、またご近所にも死去したという旨を伝える必要があります。連絡する方と故人の関係にもよりますが、一般的には次のようにお伝えしましょう。
「いつも○○(故人の名前)がお世話になっております。実は、主人(妻・父・母)が○日に死去いたしました。通夜は○日○時より、葬儀は○日○時より、○○(場所)にて執り行ないます。どうぞ宜しくお願いいたします。」
「お通夜」と「葬儀」の日にちと時間、場所は必ずお伝えしてくださいね。ご近所に連絡をする際は、「しばらくの間、ご迷惑をお掛けする場面があるかとは存じますが、何卒よろしくお願いいたします。」と一言加えましょう。
気遣いを忘れずに。お悔やみのお返事
死去した旨の連絡を入れ周囲の方へお知らせをすると、お悔やみの言葉をいただくかと存じます。その際は、次の挨拶を参考にしてください。
「生前は、○○が大変お世話になりました。」、「お忙しいところ、ありがとうございます」。また葬儀の際、弔問された方に挨拶をいただいた場合は、「お忙しい中、ご会葬いただき、ありがとうございました」と気遣いの一言を伝えましょう。
お悔やみのお返事については、簡単な言葉で問題はありませんよ。一言で良いでしょう。
通夜では感謝の気持ちを。葬儀の予定も忘れずに
地方によっては、葬儀の挨拶のみとなり、通夜は喪主が挨拶をしない場合もあるようです。しかし、通夜にて挨拶を行なう場合は、次の文例をご参考ください。
「本日は、ご多用にもかかわらず、亡き夫(妻・父・母)のため、お通夜にご参列いただきまして誠にありがとうございます。○○もお集まりいただいた皆様に見守られまして、喜んでいることと思います。
ささやかではございますが、別室に粗茶などを用意いたしておりますので、どうぞお召し上がりながら故人をしのぶお話など、お聞かせいただければと存じます。なお、明日の葬儀・告別式は○時~○時となっております。本日は、本当にありがとうございました。」
中盤にて、個人の思い出を織り交ぜても良いでしょう。
通夜振る舞いのお開きは会葬のお礼を伝えましょう
通夜の後の通夜振る舞いでは、会葬していただいた方達へ感謝の気持ちを伝えることが大切です。次のように述べましょう。
「本日は誠にありがとうございました。 おかげさまを持ちまして、滞りなく通夜を執り行なうことができました。心のこもった通夜をしていただき、故人もさぞ喜んでいることと思います。夜も遅くなってまいりました。皆様、どうぞご自由にお引き取りくださいませ。
なお、葬儀・告別式は、明日の○時より執り行ないますので、何卒よろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。」
ここでも、葬儀のご案内をあらためてお伝えしましょう。
今後のお付き合いについて丁寧に述べる出棺の挨拶
出棺の際は、故人が生前中、お付き合いしていただいていた方へ感謝の言葉を伝えてください。「遺族を代表いたしまして皆様にご挨拶申し上げます。本日はご多用中にもかかわりませず、ご会葬、ご焼香を賜り、葬儀告別式も滞ることなく終えることができました。
生前は一方ならぬご厚誼(こうぎ)にあずかり、今ここに最後のお見送りまで頂きまして故人もさぞかし皆様のご厚情をご厚情に感謝しているものと存じます。どうか今後とも故人同様、ご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、ご挨拶に代えさせていただきます。本日はありがとうございました。」
今後も、故人と同様変わらないお付き合いをしていただくことをお願いする文面を入れておきましょうね。
精進落としの始まりの挨拶は労いの気持ちを伝えて
精進落としの際は、献杯(けんぱい)をし会食を始めます。その際は、会葬していただいた方への労いの気持ちを次のように述べましょう。
「一言ご挨拶申し上げます。皆様、本日は誠にありがとうございました。おかげさまで、滞りなく葬儀を済ますことができました。あらためてお礼申し上げます。また、故人もさぞ喜んでいることと思います。
ささやかではございますが、皆様への感謝と慰労を兼ねまして精進落としの膳をご用意いたしました。どうぞ御召し上がりください。本日は誠にありがとうございました。」
簡潔に滞りなく葬儀を終えたことへのお礼を伝えてくださいね。
精進落としのお開きは今後の法要の予定も伝えましょう
精進落としのお開きのご挨拶は、簡潔なもので大丈夫なので、次のように述べてください。
「皆様、本日はお忙しい中ありがとうございました。まだ、ごゆっくりしていただきたいところですが、皆様もお疲れのことと思いますので、この辺でお開きとさせていただきたいと存じます。不行き届きの段はどうぞご容赦くださいませ。」
そして今後の予定もここで伝えます。
「なお、納骨は○日○日を予定いたしております。今後とも何かとお世話になるかと存じますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。本当に長時間に渡り、ありがとうございました。」
会葬していただいた方もお疲れなので、手短に伝えて問題はありませんよ。
以上7つが、喪主のお悔やみのお返事や通夜のお開きなどの挨拶文例です。喪主は大変お辛いかと存じますが、穏やかに故人を見送る気持ちで、落ち着いて文例を考えましょう。
随所に故人との思い出を少し織り交ぜながら、述べるのが良いでしょう。喪主は社会人としてのマナーが問われる場ではありながら、もちろん悲しみのなかにいることは参列者も理解しています。途中で取り乱すことがあっても、丁寧な挨拶さえ心がければ、非礼を問われることはないでしょう。
ご挨拶の文面は、短すぎても長すぎてもいけません。会葬していただいた方への感謝の気持ちと、今後の遺族のとのお付き合いなどしっかりと述べてください。そして穏やな気持ちで故人を見送ってあげてくださいね。
まとめ
喪主の挨拶文例。お悔やみや通夜のお開き…場面別にご紹介
・亡くなったことを伝える場合は簡潔に
・気遣いを忘れずに。お悔やみのお返事
・通夜では感謝の気持ちを。葬儀の予定も忘れずに
・通夜振る舞いのお開きは会葬のお礼を伝えましょう
・今後のお付き合いについて丁寧に述べる出棺の挨拶
・精進落としの始まりの挨拶は労いの気持ちを伝えて
・精進落としのお開きは今後の法要の予定も伝えましょう