喪服で着物を着るときに知らないとマズイ7つの一般常識


思いがけないときにやってくる悲しみの儀式。急に必要になるものですから、いざというときに慌てないようにしたいものですよね。

喪服の装いは、「喪主、家族、友人などの立場」や「通夜、告別式、法事などの場面」によっても装い(格)が異なるので注意が必要です。

大半の人が喪服というと洋装を思い描いてブラックフォーマルを着用すると思います。喪服で和装を着ようと考えてみても決まり事が多くて大変そう、どんな服装が正しいのか分からないと思い、なかなか着用しようと勇気が出ないものです。

でも、着物の着用時に必要な物が分かれば、第一歩を踏み出せるのではないでしょうか。そして、たとえ着用しないにせよ一般常識として知っておく事が大人のマナーです。

そこで今回は、喪服で着物を着るときに知らないとマズイ7つの一般常識について解説します。

 

喪服で着物を着るときに
知らないとマズイ7つの一般常識

 

喪服の歴史を知ろう

喪服は、元々は亡くなった方の遺族だけが喪中に着用する服でした。弔問客は、喪服ではなく普段着で参列していました。

この理由は“近親者には死の穢れが潜んでいる”という言い伝えにより、親族は「喪に服する」意味を込めて、喪服を着ることが義務付けられていたからです。

その後、弔問客でも明治時代から男性は紋付やフロックコート、ダークスーツを着用し、女性は黒紋付を着用するようになりました。

そして、遺族と弔問客の服装の区別がなくなり、「葬式に参加するための服」=「喪服」という観念が定着しました。

 

喪服の種類は3つ

喪服の種類は、正喪服・準喪服・略喪服という3種類の格式に分かれています。

正喪服:男性の場合は喪主をはじめ、遺族や親族だけが着用する第一礼服です。女性の場合は主に喪主が通夜の席から着用します。

準喪服:準喪服は喪主以外の遺族や親族、ごく親しい間柄の人が着用します。通夜から葬儀・告別式、四十九日、一周忌など、どのような場面でも着用できる万能の礼服です。女性の場合は喪主以外の遺族や親族が着用します。

略喪服:急な弔事でのとりあえずの弔問や、一般的な会葬に出席するときです。女性の場合は一般会葬者や地域の葬儀に参列する際に用います。

仏式、神式、キリスト教式、無宗教式とも共通しています。出席する立場や、場面に応じて適した服装を選びましょう。

 

正喪服を着用できる人の制限

三親等までは正式喪服を着用します。喪主はもちろん、遺族、親族、そして世話役代表(葬儀委員長)は、喪家側として喪に服する立場なので、通夜、葬儀、告別式を通じて、男女とも正式の喪服を着ます。

ときには、親友、親しい知人も正式の喪服を着ることもあります。喪服を着る親族は、一般に三親等までといわれます。

つまり、故人及び故人の配偶者の父母、祖父母、子、孫、曾孫とその配偶者、兄弟姉妹、甥姪、故人の兄弟姉妹の配偶者、故人のおじ、おばとその配偶者までが三親等の親族です。四親等でもいとこ同士なら喪に服することもあります。

 

各喪服の着用場面

通夜から一周忌までの場面ではどの喪服を着用するのか一覧にしてみましょう。

       喪主(親族)一般

通夜     準喪服・略喪服

葬儀・告別式 正喪服・準喪服

初七日    正喪服・準喪服

四十九日   正喪服・準喪服

一周忌    正喪服・準喪服

法事     準喪服・略喪服

忌明け法要などには、喪服に近いものを着ますが、一周忌、三回忌と回を重ねるにしたがって、喪の表現は少なくしていくのが一般のしきたりです。

おおよそ三回忌までは略式喪服を着るようにするのが無難でしょう。

 

男性の各喪服の違い

正喪服:黒羽二重染め抜き五つ紋付き着物と羽織、羽織紐は丸組みか平打ちで色は黒か白、袴は仙台平か博多平、半襟・長襦袢は白または黒かグレーの羽二重、帯は博多織の角帯、 足袋は白か黒、草履は畳表付で鼻緒は白か黒になります。

注意点としては、扇子は不要です。喪家側の場合は喪服そのものが喪に服する意を表わしているので、喪服には喪章はつけません。

準喪服:無地か細い縞の着物に黒羽二重五つ紋付き羽織、羽織紐と半襟はグレーか黒、袴は仙台平、半襟・長襦袢は白かグレー、帯は地味な角帯、足袋は白か黒、草履は畳表付きで鼻緒は白か黒です。

略喪服:地味な御召、紬の着物に一つ紋または三つ紋付の羽織、羽織紐と半襟はグレーか黒、袴は仙台平または着用しない、半襟・長襦袢は白かグレー、帯は地味な角帯、足袋は白か黒、草履は畳表付きで鼻緒は白か黒です。

女性の各喪服の違い

正喪服:黒無地染め抜き五つ紋付の着物で、喪服の生地は関東では黒の羽二重(はぶたえ)、関西では黒の一越縮緬(ひとこしちりめん)が多いとされています。

半襟・長襦袢は白、帯は黒の袋帯か名古屋帯、帯締めは黒の平打ちか丸くげ、足袋は白、草履は布製の黒か畳表付きで鼻緒は黒です。注意点は髪飾りや帯止めは不要です。

準喪服:色無地一つ紋または三つ紋付きの長着、帯は黒、帯締めは黒の平打ちひも、長襦袢と半襟は白、足袋は白、草履やハンドバックは黒です。正喪服同様、髪飾り、帯止めは不要です。

略喪服:寒色系の無地に一つ紋または三つ紋付きの「半喪服」又は色無地や小紋の地味な長着、半襟・長襦袢は白、帯は黒無地、帯締めは黒の平打ちひも、足袋は白、草履やハンドバックは布製の黒です。

正喪服同様、髪飾り、帯止めは不要です。

 

アクセサリーなどについての注意点

髪型:小さめにまとめてロングの人はアップ、セミロングの人は耳にかけて、目立たないピンで留めるなどして顔にかからないようにします。ショートヘアの場合はそのままで問題ありません。

お化粧:喪服の時には「方化粧」といい、紅を差さないのがしきたりで、赤いマニュキュアやマスカラ、アイシャドーは避けます。口紅もリップクリーム程度かごく薄い色に抑えます。グロスなど光沢感のあるものは避けましょう。

アクセサリー:どの格式の場合でも婚約指輪、結婚指輪以外はつけません。

 

さて、葬儀の式では、とりあえずしっかりした正式な喪服を着ておけば大丈夫と思っている人は意外と多いのではないでしょうか。

しかし実際は、正喪服は喪に服する遺族・親族が着用します。一般会葬者は遺族より格式の軽い略喪服を着用するのが礼儀です。

服装以外にも髪やアクセサリー関係も注意が必要です。葬儀の場では自分を良く見せる為のお化粧などは必要ありません。

なぜ普段と違う服装をして訪問をするのか、その意味を理解して先方に対してして失礼のない服装をしたいものですよね。


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