葬式の挨拶には、ある程度決まった言い回しや例文がありますよね。もちろん、葬式では遺族の方に自分の気持ちを、自分の言葉で伝えたいと思う気持ちは大事ですし、それ自体に問題はありません。
ただ、遺族を悲しい気持ちにさせたり、不快な気持ちにさせたくはないもの…。葬式の挨拶は、通常の会話や挨拶と異なり、計り知れない悲しみの底にいる人に対してかける言葉だ、ということを忘れてはいけません。
言葉選びを厳選し、相手に失礼のないように、かつ、少しでも励みになるような挨拶をしなくてはいけないのが、葬式の挨拶。自分の言葉だけで伝えるのは難しいですよね。
そこで今回は、葬式で挨拶をする時に、基本の例文やマナーをきっちり押さえる事ができるよう、葬式の挨拶をする時に使える表現や例文を、7つのポイントでお伝えします。
葬式の挨拶、基本の例文。
押さえておきたいマナーとは
葬式の挨拶は手短に
参列者として参加する葬式で挨拶をする際は、なるべく手短に済ますのがマナー。
【 葬式の挨拶:手短に 】
■ 葬式で挨拶をするタイミングは受付が多いですが、受付では他の参列者が並んでいますから、あまり時間をかけるのは、周囲に迷惑をかけることになります。
・ また、葬式の開始前や通夜振る舞いの際に、喪主や遺族の方に直接挨拶をする機会があることもありますが、この時にも手短にするのがマナー。
遺族の気持ちを考えずに、根掘り葉掘り不要な情報を聞き出したり、自分がペラペラと話すのはマナー違反ですから、簡潔に済ますべきです。
基本のお悔やみの言葉
遺族の方や受付の方に葬式で挨拶をする時に、基本となる例文が「この度は誠にご愁傷様です」。受付でたくさんの参列者の方が並んでいる時には、この一文だけを伝えて、お香典をお渡しするのがスマートです。
【 葬式の挨拶:お悔やみの言葉 】
■ 遺族の方と対面で挨拶する機会があれば、「この度はご愁傷様です」の後に、一言なら付け加えても良いかもしれません。
・ 「謹んでお悔やみ申し上げます」
・ 「心からご冥福をお祈りいたします」
…などを添えると丁寧です。
驚きの気持ちを表す言葉
葬式で挨拶をする時に付け加えるといいのが、驚きの気持ちを表した言葉。故人が亡くなることなど想像もしていなかった、という事を伝える意味があります。
【 葬式の挨拶:驚きの言葉 】
■ 例えば、
・ 「突然の知らせに大変驚いております」
・ 「先日お会いした時はお元気そうでしたのに」
…などの言葉です。故人の死を予期していたような言葉を伝えるのは不適切ですから、あえて、思ってもいなかった、驚いたという感情を言葉にして遺族に伝えるのです。
遺族に対する励ましの言葉
遺族と近所づきあいがあったり、相手が自分より年下もしくは同じ年代の場合には、葬式で挨拶をする時に励ましの言葉をかけると、相手の気持ちも救われます。
【 葬式の挨拶:励ましの言葉 】
■ 「お気を強くなさってください」とか「ご心痛いかばかりかと思いますがどうかご自愛ください」などの表現が適切。
ただし、故人と面識はあっても遺族と面識がない場合や、職場の上司など目上の人に対して励ましの言葉をかけると、相手によっては気分を害してしまうことがありますので、注意が必要です。
手伝いの申し出
葬式で挨拶をする際に、遺族と親しい間柄の場合にはお手伝いを申し出る言葉をかけるのも、遺族にとってはありがたいこと。実際に手伝いをして欲しいということではなく、その気持ちが嬉しいのです。
【 葬式の挨拶:手伝いの申し出 】
■ 基本のお悔やみの言葉に「何かお手伝いすることがあれば言ってくださいね」と一言添えればいいのです。
・ 葬儀は葬儀社が行う場合がほとんどですので、本来は手伝いは必要ないのですが、遺族にかける言葉としては、相手の気持ちに寄り添うものになります。
重ね言葉はNG
参列者として、葬式の挨拶で使ってはいけない言葉があります。それが重ね言葉です。重ね言葉とは、「再び」や「度々」など繰り返しを表現する言葉で、この言葉を使うと、不幸なことを再び呼び寄せるため不吉だとされているのです。
【 葬式の挨拶:重ね言葉 】
・「度々お世話になることがありました」⇒「いつもお世話になっておりました」に言い換え。
・「まだまだ教えて頂きたいことがたくさんありました」⇒「もっと教えて頂きたいことがありました」へ変換。
…などなど、重ね言葉ではない表現に言い換える必要があります。
直接的な表現を避ける
葬式の挨拶で使ってはいけない言葉で、意外なのが直接的な表現。
【 葬式の挨拶:直接的な表現 】
■ 「死ぬ」や「死」という言葉は直接的なので、遺族の方に挨拶をする時に使うと、失礼に当たるのです。
・ 「死ぬ」は「お亡くなりになる」に、「急死だったので本当に驚きました」は「突然のことでしたので大変驚きました」など、表現をぼかすのもマナーです。
いかがでしたでしょうか、葬式での挨拶は手短に済ますことがマナーですが、挨拶は短くすればするほど、自分の気持ちを簡潔にまとめて相手に伝えなくてはいけません。
少しでも言葉選びや表現を間違えると、相手をさらに悲しい気持ちにさせてしまったり、不快な気分にさせてしまうことになると考えると、やはり基本を知ることは大切…。
葬式での挨拶は形式ばった例文にとらわれずに、自分なりの言葉で伝えたいという気持ちは大事なのですが、遺族にかける挨拶文を一度自分の中でまとめてみて、相手に失礼にあたる言葉がないかをチェックしておくことをおすすめします。
普段の会話はいくらでも後から訂正がきくものですが、葬式での挨拶は相手の心に一生残るものになるかもしれません。だからこそ、今回お伝えした例文やマナーを守って慎重な言葉選びをしなくてはいけないのです。
まとめ
葬式の挨拶におけるマナーと例文
・葬式での挨拶は手短に済ますのがマナー
・基本のお悔やみの言葉は「この度はご愁傷様です」
・お悔やみの言葉では驚きの気持ちを添える
・遺族に寄り添って励ましの言葉をかける
・近しい間柄なら「お手伝い」を申し出る
・重ね言葉は使わずに適切な言葉に言い換える
・直接的な死の表現は使わずにぼかすのもマナー