通夜の挨拶は基本的に喪主がするものですよね。告別式の出棺前の挨拶と通夜の焼香が終わった後の参列者に向けての挨拶は、葬儀に足を運んでくださったことを、喪主としてお礼をする重要な機会ですし、故人に代わってメッセージも伝えなければいけません。
通夜の挨拶では、喪主以外の近しい遺族が頼まれて行う場合でも、喪主の挨拶と同じように、通夜を執り行った側として挨拶を述べたいところですが、故人が亡くなって間もなく行うだけに、アドリブでしようと思っても、中々できるものではありません。
ただ、通夜の挨拶には基本的な構成と一般的な言い回しがありますから、自分で一からオリジナルで考える必要はないのです。そんな通夜の挨拶の基本構成を押さえて、皆様に失礼なく進めたいですよね。
そこで今回は、通夜の挨拶を頼まれた時に参考になる、基本構成と例文を、7つのポイントでお伝えします。
通夜の挨拶を頼まれたら。
基本の構成と7つの例文
冒頭のお礼の言葉
通夜の挨拶は、弔問客がお焼香を済ませた後に行うもの。お焼香中は遺族は祭壇の側に着席していますから、一人一人に参列してもらったお礼の言葉を伝えることができません。
【 通夜の挨拶、冒頭のお礼 】
■ そのため、参列者に向けての挨拶では、まずはお礼の言葉を述べます。
・ 「本日はお忙しい中、ご参列を頂きまして誠にありがとうございます」、「本日はご多忙の中、通夜のお焼香を賜りましてありがとうございます」などの例文を使ってください。
故人が亡くなった報告
通夜の挨拶ではお礼の言葉の後に、故人が亡くなった時の報告を簡単にすることがあります。
【 通夜の挨拶、報告 】
■ あまり詳しく言いたくない場合には、「父〇〇は、△月△日□時□分に息を引き取りました」と日時だけの報告でも構いません。
・ 安らかに息を引き取った場合には、前述の日時の報告に加えて「家族に見守られながら、病室にて静かに息を引き取りました」などの言葉が適切。
その時の情景がわかるような言い回しにすると、参列者にとってわかりやすく伝えることができます。
故人に代わってのお礼
通夜での挨拶では、喪主もしくは遺族である自分から参列者にお礼を伝えるのはもちろんですが、故人に代わってお礼の言葉を述べることも忘れてはいけません。
【 通夜の挨拶、お礼 】
・ 「生前、お世話になった方々にこのようにお集まり頂き、本人も大変喜んでいることと思います」
・ 「本人も皆さまにご参列頂いて喜んでると思います。重ねて御礼申し上げます」
…など、本人の気持ちを代弁するように伝えると良いです。
生前の簡単なエピソード
告別式の挨拶と異なり、通夜の挨拶は手短にするのが一般的。そのため、故人の生前のエピソードなど、長くなる話は割愛することが多いですが、もし故人のエピソードを織り交ぜるとしたら、故人に代わっての挨拶の後が適切です。
【 通夜の挨拶、エピソード 】
■ 「生前、父は会社をリタイアした後も、かつての同僚の方や部下の方々と趣味の釣りを通して仲良くして頂いて、友人に恵まれたと良く申しておりました。」など。
参列者と故人に関わるエピソードが、わかりやすくて良いです。
今の心境と結びの言葉
通夜の挨拶の結びの言葉を言う前に、自分の今の心境や今後についての挨拶をしておくと結びの言葉に自然につながっていきます。
【 通夜の挨拶、結び 】
■ 「わたくし自身、突然のことでまだ気持ちの整理がついていない状況ではございますが、このように皆様にお集まり頂いて、父は幸せな人生だったと思います。
今後とも、変わらぬご厚情を賜れましたら幸いでございます。
本日は誠にありがとうございました。」
…などとして、結びの言葉につなげます。
告別式の案内
通夜の挨拶では事務的な連絡もしなくてはいけません。通夜の翌日に告別式をするケースがほとんどですので、結びの言葉の後にその日時と場所を案内してください。
【 通夜の挨拶、案内 】
■ 「明日は告別式を予定しております。
□時□分より、こちらと同じ会場にて執り行いますので、お時間の都合がよろしければ、ぜひ、ご参列頂けますと幸いでございます。」など。
日時と会場をわかりやすく伝えるように、意識してください。
通夜振る舞いへの促し
通夜では、通夜振る舞いといって、故人を供養する意味で参列者に軽食やお酒を提供します。
参列者は、お焼香を済ませたら香典返しを受け取り、通夜振る舞いの会場で飲食をしてから帰宅しますが、通夜振る舞いの会場にそのまま行かずに葬儀会場にとどまっている参列者に向けては、通夜振る舞いの会場に行くよう促すのです。
【 通夜の挨拶、通夜振る舞い 】
■ 「また、ささやかではございますが、こちらを出ましてすぐ右手の会場にて、軽食とお飲み物をご用意しております。
ぜひ皆さま、お時間が許す限りごゆっくりして頂ければと存じます」
…など。
この通夜振る舞い、ひと口でもいただくのがマナーではありますが、喪主の立場としては、あまり強要しない伝え方で促すと印象が良いかもしれません。
いかがでしたでしょうか、通夜の挨拶は、告別式で行う挨拶よりも短めに行いますが、伝えなくてはいけないポイントは、実は意外と多くあるのです。
今回お伝えした7つのポイントの中では、故人のエピソードを除いてどれも外すことのできない構成ですし、故人の生前のエピソードも、できれば入れた方が気持ちがこもっていて良いとされています。
通夜の挨拶をする機会というのは、誰しもあまり多くありません。ですが、通夜という故人を供養する大切な儀式の場ですから、間違いや伝え漏れがないように細心の注意を払いたいもの…。
あまり準備時間がない通夜ですが、事前に挨拶文をまとめて練習しておくと安心。通夜で挨拶をする時間帯には、参列者の多くは帰っていて、親しい間柄の人ばかりになっている頃。基本を押さえつつ、気持ちが届く通夜の挨拶をしてください。
まとめ
通夜の挨拶の基本構成とは
・参列頂いた弔問客へお礼の言葉を述べる
・故人が息を引き取った時の事を報告する
・故人に代わって参列者へ重ねてお礼をする
・故人の生前のエピソードを簡単に織り交ぜる
・自分の心情や今後についての挨拶をする
・翌日にある葬儀の日時と場所を案内する
・参列者に通夜振る舞いに立ち寄ることを促す