直葬が注目される近年の事情。選ぶ前に心得る7つの事柄


直葬(ちょくそう)は、葬儀の新しい形としてイメージを変え、今また注目されつつありますよね。例えば新聞の折り込みチラシや、ポスティングされた広告での葬儀社のチラシで、実際に「直送」の言葉を目にした方も多いのではないでしょうか。

この直葬とは、家族などごくごく故人に近い方で、宗教色もなく「火葬」で見送る、という、ほとんどの流れを取り除いた、シンプルな弔い方の葬儀スタイル。

その簡素さから「自分が亡くなったらぜひ直葬にしてほしい。」という、終活者の方々も多いのですが、実際に直葬での弔いを考えるとしたら、実は心得ておかなけらばならないことが幾つもあります。

まだまだ一般的ではない葬送方法だけに、できれば滞りなくスムーズに進めたいですよね。そこで今回は、直葬の心得7つの事柄をまとめました。簡単に見えて簡単ではない直葬、決断前にぜひ一読されてみてください。

 

直葬が注目される近年の事情。
選ぶ前に心得る7つの事柄

 

近年、直葬が注目される理由とは

直葬は、主に以下のような理由で支持されています。

【 直葬が支持される理由 】

・ なるべくお金をかけずに故人を弔いたい。

・ 親戚づきあいや近所づきあいがあまりないので、親族のみで故人を見送りたい。

・ 宗教にとらわれず、なるべく簡素に故人を見送りたい。

これらは遺族の意向もありますが、冒頭で述べたように、故人が生前から直葬を望んでいたというケースが非常に多いのが特徴です。

 

理解したい直葬のメリット、デメリット

確かに直葬を望む理由も理解できるのですが、決断をするのなら、まず考えなくてはならないのは、直葬にはメリットとデメリットがあるということ。まずはそれらを把握することが、直葬を心得る第一歩です。

【 直葬のメリット 】

・ 葬儀にかかる費用が安い

・ 参列者がいないため、飲食などの接待費がかからない

・ 葬儀の準備に追われることがないので、遺族のみでしっかりとお別れの時を過ごすことができる。

確かに、一般的な葬儀の10分の1ほどの費用で済むこともあるのが直葬。ただ、だからこそ起きるトラブルも多数あるのです。

【 直葬のデメリット 】

・ 香典がないため、直葬に関わる費用はすべて「遺族持ち」となる。

・ 故人とお別れをしたかった方から反感を持たれて、トラブルにつながることがある。

・ 後々訃報が伝わった時に、個人的な弔問が相次ぎ、その対応に追われるケースがある。

このように、一見より楽に見える直葬ですが、実はそうではないことを覚えておくことが大切です。

 

親族の理解を得ること

直葬が葬儀の「ひとつの形」として捉えられるようになったのは、この10年以内のこと。人々の間に浸透しているかに見えても、従来の葬儀とは違うため、現実に執り行おうとすると、まだまだ理解を得られていない部分が多いことに気付く方は多いです。

【 直葬は親族が理解してできること 】

■ 特に、親族の方の理解を得ないまま直葬を執り行ってしまうと、「こちらのことも考えず、勝手に葬られた」と、後々のトラブルにつながる可能性が高くなるのが注意点。

・ したがって、故人を直葬で見送りたい、あるいは故人の意向で直葬を執り行いたいのであれば、まずは誠意をもって親族に相談し、理解を得ることが大切です。

 

故人の友人・知人に配慮をする

実は直葬で最も問題となっているのは、故人の友人や知人から、「最後のお別れをしたかったのに、葬儀に参列することすらかなわなかった…。」という、反発や不満が生まれて、トラブルが発生するところ。

直葬のようなある意味新しいスタイルの弔いは、特に年配になればなるほど、受け入れられないものでもあります。

【 直葬前に、友人や知人へも配慮する 】

■ 直葬にするのなら、友人や知人など周囲の人々に十分配慮し、「どうしても直葬で故人を見送りたい。」理由を、理解してもらうと気持ち良く進められるはず。

・ 場合によっては「お別れの会」を催して、それらの人々の心に区切りをつけてもらう機会とすることも、良い対策のひとつ。

故人のつきあいの範囲が広ければ広いほど、直葬については慎重に考えておくと安心です。

 

「菩提寺」があるなら、必ず相談

もしも「菩提寺」があり、そのお寺の墓所にお墓を持っているのなら、必ずお寺側に直葬にしたい意向を伝えなければなりません。そもそも「菩提寺」とは先祖代々そのお寺の宗旨(宗教の教え)に帰依しており、葬礼や仏事を営んでもらうお寺という意味合い。

【 直葬を検討するなら、菩提寺への相談は必須 】

■ そのため、葬儀や葬送方法について何も相談しないまま、自分たちで直葬を行うことは、大変なマナー違反。

・ もしも何も菩提寺に相談せず直葬を行った場合、納骨を拒否されたり、読経などの宗教的儀式を省いてしまったことで、今後のお寺との関係が失われることがあります。

 

安すぎる直葬料金には、裏がある

直葬にかかる料金は、20万~30万円ほどがおおよその相場。しかしネットで直葬を執り行ってくれる葬儀社を調べると、それよりもずっと安い金額が提示されていることも、よくあること。

【 冷静に考えて、直葬の料金を判断する 】

■ もちろん良心的な葬儀社もありますが、よくよく金額の説明を読んでみると、必要な物品料や、サービス料が含まれていないことも少なくありません。

・ つまり、安く済むはずが予想外の出費に見舞われた、…という事態が発生しがちなのです。

そのため、安さを謳っている葬儀社よりも、料金体系がわかりやすく、質問にも誠実に答えてくれる葬儀社を選ぶことをおすすめします。

 

直葬と火葬式の違い

直葬の他に「火葬式」という葬儀のスタイルも多く目にするようになりました。なんとなく直葬と同じイメージに捉えられがちですが、実はその内容が少々違います。

「火葬式」とは、火葬炉の前で僧侶にお経をあげてもらうなどの「宗教的儀式」が入るスタイル。それに対して直葬はそういった一切のことを省いて、火葬のみに重きを置いているスタイルなのです。

【 一般的な直葬の流れ 】

① 臨終を迎える

② 遺体を安置場所に搬送する

③ 納棺・出棺

④ 火葬

⑤ お骨上げ(骨を骨壺に納めること)

…となりますが、この流れに少しでも儀式的なことがプラスされたら火葬式、と捉えるとわかりやすいはず。どちらのスタイルが良いかを比較することも、より良い弔いのために必要かもしれません。

 

いかがでしたでしょうか、今回は近年終活で注目されている直葬について、概要をお伝えしました。何と言っても直葬は、通常の葬儀に比べれば、どんなに料金がかかってしまったとしても安く上がることがほとんど

しかし、家族以外に誰にも配慮することなく、自分たちだけの判断で直葬を執り行ってしまうと、思わぬ対人トラブルが生んでしまうことがある点が難しい側面です。

それは、もしあなたの大切な友達がある日亡くなってしまって、それを知ったのは直葬が終わった後だった…と想像すると、なんとなく察しがつくのではないでしょうか。

単に費用や儀式の煩雑さから、通常の葬儀を避けると「こんなことになるとは…」という結果を生みがちです。

もしも直葬を執り行いたいのなら、周りの方に誠意をもって説明することや配慮することを第一に心がけてください。それをクリアして初めて、よい直葬ができるのではないでしょうか。

まとめ

直葬を選ぶ前に意識したい心得

・直葬はお金が掛からず、自由な点が選ばれる理由
・親族や友人とトラブルになることがある
・トラブルにならないよう、親族の理解は不可欠
・故人の友人・知人にも事前の配慮を怠らない
・「菩提寺」があるのなら必ず相談をする
・安すぎる直葬料金には、追加料金が掛かることも多い
・遺体の安置場所を確保する
・火葬式は直葬に宗教的な儀式がはいったもの


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