「お通夜の作法ってどんなもの?」と聞かれても、正確に答えられる方は、なかなかいませんよね。香典や服装の作法、礼拝の作法など、何度もお通夜に参列した経験がある方でも、どこかしら曖昧になってしまうもの。
突然訪れる訃報だけに、お通夜の作法がわからなければ支度も不安、会場でも緊張の連続になりがちです。一方、基本となる作法をおおまかでも把握しておけば、会場でもそれほど緊張することなく、落ち着いて故人を偲ぶことができますよね。
そこで今回は、お通夜の作法を解説、突然でも落ち着いて参列できる、基本をお伝えします。
ポイントは、準備しておけるものは作法に則り準備しておくこと、お通夜の会場は悲しみの席なので、厳粛な気持ちで振る舞うこと、このふたつです。是非一度読み返し、参考にしてください。
お通夜の作法をおさらい。
突然の訃報にも慌てない基本
お通夜の作法、香典の相場
お通夜の準備で気になるのが、香典の相場。故人との関係により、金額の相場は変わりますが、おつきあいの深さによっても金額が変わるのが特徴です。心配ならば、周りの方に相談し、香典の金額を決めると安心。
【 お通夜の作法、香典相場 】
・ 故人が親族→ 1万~3万円
・ 故人が友人・知人・職場関係の方・近所の方→ 3千~1万円
ちなみに「4」や「9」がつく金額は、数字の音の響きが「死」や「苦」を連想させるため避けてください。また、お札は新札ではないものを用いるのがお通夜の作法。もしも新札しか用意できなければ、縦半分に折り目をつけてから包めば大丈夫です。
葬儀形式による、不祝儀袋の準備
お通夜の形式(どのような宗教に則って通夜が執り行われるか)によって、香典を入れる不祝儀袋の形式も変わります。基本的には形式を確認したいものですが、なかなか分からないこともあるのではないでしょうか。
【 お通夜の作法、不祝儀袋 】
■ それぞれの形式によって、キリスト教なら「御花料」などさまざまな表書きがありますが、どの形式でも失礼にならない表書きも知っておきたいもの…。
・ もしもお通夜の形式が不明なら、水引は黒白の結び切りで「御霊前」の表書きの不祝儀袋を用意すれば安心です。
香典は袱紗(ふくさ)に包み持参すること
香典は外包みが折れたり汚れたりするのを防ぐため、弔事用の袱紗(ふくさ)に包んで持参するのがお通夜の作法です。
【 お通夜の作法、袱紗(ふくさ) 】
■ 弔事用の袱紗の色は青系や緑系・グレー系のものを使いますが、紫色の袱紗は慶弔両方に使うことができますので、1枚あるとなにかと便利。
・ 通常は一枚布の形ですが、封筒形になっている「金封袱紗」は扱いやすくおすすめです。
通夜での礼拝の作法
お通夜の形式がわかったら、礼拝の流れを確認しておくと安心。礼拝の流れはネットやマナーの本などで簡単に確認できます。
動作のひとつひとつを覚えなくても、おおよその流れがわかっていれば、礼拝の時に自分の前の方の作法を参考にすれば良いので、それほど緊張せずに済むはず。
【 お通夜の作法、礼拝 】
■ 仏式ならば「焼香」、神式ならば「玉串奉奠(たまぐしほうでん)」、キリスト教式ならば「献花」など、必ずひとりひとりが行う礼拝の儀式があるので、それに合わせて調べてください。
・ 仏式の通夜なら、もし持っているなら数珠も準備しておくと安心です。
会場に入るまで
ここまではお通夜に参列するまでの準備でしたが、ここからはお通夜の会場での作法を簡単に解説します。まず、会場へは遅くともお通夜の開始の10分前には会場に着くようにしてください。寒い時期なら、受付をする前にコートを脱ぐのも忘れずに。
【 お通夜の作法、受付 】
■ 受付では「この度はご愁傷さまです」と挨拶をし、記帳。
・ その後、袱紗から香典を取り出して「御霊前にお供えください」と伝え、両手で香典を受付の方に渡すのが、基本の流れです。
会場に入ってから
受付を済ませたら、一礼してから会場の中に入ると丁寧な印象。友人や知人を見かけてもおしゃべりはせず、目礼で済ませることが大切ですが、案外ここで気を許してしまう方もしばしば…。
【 お通夜の作法、数珠 】
■ 仏式のお通夜なら、この時に数珠を左手に掛けておくとスマート。
・ もちろん、お通夜の進行中はむやみに席を立たないようにしてください。
通夜ぶるまい
間違えやすく遠慮しがちなのですが、本来通夜ぶるまい(お通夜後の会食)は、故人の供養。なるべく参加し、一口だけでも箸をつけるのがお通夜の作法です。
ただ、会場内で騒いだり、大声で笑ったりしないよう注意し、もちろん、お酒に酔わないよう、飲みすぎは厳禁。
【 お通夜の作法、返礼品 】
■ 最後に返礼品を頂くことがほとんどですが、この際には、「ありがとうございます」ではなく、「恐れ入ります」か無言の会釈で答えるのも、お通夜の作法。
・ 会がお開きになったら、会場のロビーや外では立ち話をせず、すぐに帰路についてください。友人や知人と話したいことがあったら場所を変えるのが適切です。
いかがでしたでしょうか、今回は慣れないお通夜の作法、前日にチェックしておきたい事柄をお伝えしました。
いろいろ注意しなければならないことはありますが、香典のことや服装のことは、お話したようにある程度決まった「形」がありますので、それに沿って準備を進めれば大丈夫。
このような時のために葬儀用の服装と小物一式、袱紗や数珠などを揃えておくことも大切なことです。お通夜は故人とのお別れの場。特に葬儀や告別式には参列できない場合は、まさに最後のお別れ。その気持ちを忘れることなくお通夜に臨みたいものです。
多くの弔問客の方も、お通夜の作法にはあまり自信がないまま参列している方は、案外多いもの。慣れている方などほとんどいないはずですから、多少「間違えた」ということがあっても、あまり動揺せずに、厳粛な気持ちでいればおそらく大丈夫。
どうかあまり気負うことなく、作法の流れを捉えた上で、お通夜に参列し、故人を偲んでください。
まとめ
お通夜の作法、チェックポイント
・相場は故人との関係性と親しさで決める
・形式が分からなければ、「御霊前」の表書き
・お香典は袱紗(ふくさ)に包んで持参
・礼拝の作法を形式別に、あらかじめ確認
・受付では「この度はご愁傷さまです」
・数珠は左手に掛けておく
・通夜ふるまいは口を付ける
・返礼品を頂いたら、「恐れ入ります」