喪主が大切な故人のために決めたい、葬儀スタイルと約束事

喪主が大切な故人のために決めたい、葬儀スタイルと約束事

喪主になったら、故人のためになるべく故人の意向に沿った葬儀スタイルを選びたいものです。葬儀について、遺言に要望が記してあったり、生前に喪主である人物に葬儀スタイルについて明確に希望を伝えている場合には、そのとおりにするのがベストですが、そうでない場合もあるでしょう。

例えば、交通事故や心筋梗塞、脳梗塞などが原因で、故人自身も周囲の人も思いもよらないような急死で息を引き取ってしまうケースでは、故人がどのような葬儀スタイルを希望していたのかはわかりません。

しかし、故人の配偶者や子供は、喪主を務めなければいけませんし、なるべく故人だったら、どのような葬儀スタイルを希望するかを汲み取ってあげる必要が有るでしょう。そこで、故人の意向になるべく沿うための葬儀スタイルと約束事を7つお伝えします。

 

喪主が大切な故人のために決めたい、
葬儀スタイルと約束事

 

親族、会社、近所の人を招いて行う一般葬

故人が特に葬儀スタイルに指定をしておらず、一般的な葬儀がいいであろうと喪主が判断した時は、一般葬を行いましょう。一般葬と言えば、そのほとんど(約8割)が仏式で行われます。

【一般葬をおすすめする事例】

・ 日本人の多い無宗教のケースでは、無宗教ながらも決められた儀式に則って葬儀を執り行いたい、という喪主の希望は案外多いです。その場合には、日本で最も一般的に執り行われる一般葬が向いています。

・ もちろん昔から伝わる一般葬なので、もともと代々墓がある故人の葬儀には向いています。

・ 同じように親戚、親族にしっかりとお伝えして執り行いたい場合には、喪主としては一般葬を選ぶケースが多くなります。

■ 一般葬では、親戚はもちろん、会社でお世話になった方や近所で親しかった人、また、友人など、故人にとってゆかりのある人達が分け隔てなく参列することができます。

故人が著名人でない、いわゆる一般人の場合には、故人を偲びたいと思っている人達が集まることが出来る一般葬がいいでしょう。

 

故人の希望が叶えられる家族葬

自分が喪主として、故人から葬儀のスタイルについて、家族だけで行いたいとか、好きな音楽を流しながら、特別な演出をして欲しいと頼まれたら、家族葬があります。

【家族葬を執り行う】

・家族葬と言っても人数などに特別な定義はありません。本当に同居する家族だけで執り行う4人程度の家族葬もあれば、10人、20人と言う家族葬もあります。

・家族葬は基本的にはごく身内だけで行う葬儀。そのため周囲や地域に知らせることがなく、そのための費用も発生しません。ごくごくシンプルに葬儀が執り行われます

・そのため家族葬の場合、喪主は香典を辞退する事例が多いです。

・家族葬では10人前後のごく少数のケースで、50万円~60万円程度の費用が目安です。けれども人数が増えたり、(そのため)マイクロバスを利用したり、と必要経費が加算される場合もあるので、事前にしっかりと人数を決めることが肝心です。

家族葬は、故人の家族やごく親しい友人だけで行うことができるため、故人の趣味にまつわる演出生前に希望していた葬儀スタイルをほとんど叶えることが出来ます。

ちなみに、家族葬に知人・友人の立場で呼ばれる事例もあります。とまどう方もなかにはいますが、それはきっと故人の意向でもあるので、喪主の方に一度伺いつつ、参列しても問題はありません。

 

火葬のみのシンプルな直葬

故人から生前に葬儀は火葬のみでいいと言われていた場合、喪主は直葬の葬儀スタイルを選択します。この世から旅立つ時は、ひっそりと逝きたいと考える故人の要望に最適だからです。

【喪主が直葬(ちょくそう)を執り行う事例】

・ 火葬のみの直葬なので、葬儀費用は通常よりも格段に抑えた費用で執り行います。そのため、生前の医療費などを考慮して、故人が喪主(遺族)を想い、直葬を希望する事例も多くあります。

・ 直葬の費用の目安は20万円~30万円程度です。安い葬儀社では15万円とも出ていますが、直葬とは言え真心を込めて執り行いたいもの。しっかりとした葬儀社を選びたいですね。

喪主としてはしっかりとした葬儀で故人を送りたいケースが多いのですが、最近では『エンディング・ノート』の普及もあって、故人の意向で最小限の葬儀で安く抑える事例が増えています。

・ 無宗教で代々墓がない(菩提寺がない)場合、故人の自由な気質も伴って、故人の希望により、宗教儀式を省いた最小限の直葬を執り行う事例があります。

地域によっては故人の意向により、海に散骨をする『海葬』を執り行う事例もあります。ただし代々墓があり直葬後に納骨をしたいならば、喪主は菩提寺と一度相談をしておく必要があります。(納骨には宗教的な儀式が必要な場合が多いのです。)

とは言え直葬は、お通夜や告別式を行いませんが、宗教者を伴って、納棺の儀式やお別れの儀式などはしっかり行いますので、決して手抜きの葬儀スタイルではないのです。

 

200人以上が参列できる大型葬

故人が生前にたくさんの生徒を教えてきた教師だったり、企業の役職者だったりと、参列するであろう人数が200人以上だと言う時には、喪主は一般葬ではなく、大型葬のスタイルで葬儀業者に依頼をしましょう

【大型葬を執り行う】

・ 大型葬の場合には、多くの事例で葬儀社が中心に段取りを組みますが、故人の関係者から『葬儀委員長』として連絡係やお手伝いの役割を果たす人物がいる事例が多いです。

・ 大型葬では200人以上の多くの参列者が訪れます。そのため前述した関係者の『葬儀委員長』を中心として、葬儀社は参列者様との関係性を確認しながら葬儀を進めます。

・ 事前に予想できる参列者様の人数は、できるだけ把握し、葬儀社との打ち合わせをして行きます。

大型葬ではその規模から、生前の故人の功績を称えることができるので、ある程度の社会的地位にあった故人であれば、故人が特別望んでいなくとも、喪主が気をきかせて行うのが一般的です。

 

企業の広報も兼ねて行う社葬

故人が企業の代表取締役社長や会長などの場合に、企業として葬儀を行うことになった場合は、喪主は社葬スタイルで葬儀をとり行います。社葬とは大型葬と似ていますが、企業が主催する葬儀です。

【社葬を執り行う事例】

・ 社葬は主に社長や会長の他、殉職した故人への葬儀の事例が多いです。故人が役員の場合にも、執り行われることがあります。

・ 基本的に社葬は会社が執り行いますが、なかには『合同葬』の事例もあります。その場合、喪主は事前に会社と費用分担について打ち合わせが必要です。

・ 社葬同意のために、喪主と会社での打ち合わせが生じます。例えば、宗教や寺院など、喪主と会社で打ち合わせをして決めて行きます。

・ 喪主は自分達の親族の出席者を伝える必要があります。

企業が主催しているため、社内の人間はもちろんですが、取引先にも訃報をお知らせして、ご参列頂きます。そのため、故人の役職の後任が決定している時には、役職交代を伝える広報的な役割を果たすのです。

 

無宗教をつらぬく無宗教葬

喪主が故人から生前に「宗教的な儀式は一切しないで欲しい」と希望を聞いている場合には、無宗教葬で葬儀をとり行います。無宗教葬では、宗教的な儀式は一切行わないのが約束事となります。

ただし、無宗教葬を執り行うことができる故人は、現実的には少ないかもしれません。と言うのも、日本人の多くは無宗教でありながら、お付き合いのある寺院(菩提寺)がある故人が多いからです。

【無宗教葬を執り行う場合の注意点】

・ 菩提寺がある場合、納骨の際に断られたり、葬儀のやり直しを依頼される事例があります。事前に菩提寺にお伺いを立てる必要があります

・ そのため喪主が無宗教葬を選ぶ事例では、代々墓がなく霊園墓地などにお墓を立てている故人が多いです。

・ 霊園墓地などのお墓であっても、親族とのトラブルも時に見受けられますので、無宗教葬を執り行う喪主の方は、親族にもお伺いをすると問題が生じません

無宗教葬は、お別れの儀式の内容や演出をすべてオリジナルで考えることができます。故人から葬儀内容を指定されていれば、それに沿って行うことできるので、形式にとらわれないオリジナルの葬儀で故人を送り出すことができます。

 

葬儀は近親者だけで本葬は大人数でもOKな密葬

最近芸能人や有名人の葬儀で多く聞くのが密葬です。密葬は、家族葬と似ていますが異なり、葬儀は家族や近親者のみで行い、火葬をしたあとで大人数の参列者にむけて本葬を行う葬儀スタイルです。

【喪主が密葬を執り行う事例】

・ 社会的地位がありながらも、家族で故人を偲ぶことができる葬儀が密葬です。

・ 火葬後の大人数に向けた葬儀は、『しのぶ会』など○○会という名目で執り行われる事例があります。○○会とされる葬儀は、宗教にこだわらず、自由なスタイルで故人を偲ぶことができます。

そのため、葬儀は近親者だけで、参列者に気を遣うことなく心から故人との別れを惜しみたいけれど、故人を偲んでお別れを言いたいと思う人達とも、お別れの場を設けて挙げたいと喪主が判断したり、故人が希望していたら密葬を執り行います。

 

いかがでしたでしょうか。喪主になったら、さまざまな葬儀スタイルを調べてください。より故人の希望に沿うような、葬儀を執り行うことができます。喪主は、故人に最も近い存在ですから、故人が生前どのような考え方の人だったかを思い起こせば、おのずと最適な葬儀スタイルを選ぶことが出来るでしょう。

最近では書店でも『エンディングノート』が多く販売されています。本文でも述べたように、比較的元気な時からこのエンディングノートを準備している人々も多いです。部屋を整理していたら出てきた、という事例も見受けられます。

また、故人が喪主にあたる人物に生前に自分の葬儀について希望を伝えていた場合、いくら親戚など周囲の人が葬儀の形式に口をだしてきても、故人の意思を尊重してあげるのが望ましいです。そこは、周囲の人達に故人の考えや思いを代弁して伝えるのも喪主の大切な役割です。

今回お伝えした7つの葬儀スタイルさえ知っておけば、大方の場合は、故人の意向に沿った葬儀を執り行うことが出来ます。

 

まとめ


喪主なら知っておきたい葬儀スタイルとその約束事とは

・一般葬は故人が生前に親しかった人たちを広く招くことができる
・家族葬は近しい人達だけで故人の希望通りに葬儀ができる
・直葬は火葬のみのシンプルなスタイルで葬儀ができる
・故人の社会的地位が高い場合は大型葬で多くの人に参列してもらう
・企業の代表者には役職者交代の広報も兼ねて社葬を行う
・故人の意向で無宗教にこだわりたいなら無宗教葬スタイルにしよう
・密葬は葬儀は近親者のみで行うことができ本葬は大人数で行う


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