弔辞を初めて頼まれた時。困ったら参考にしたい例文集

弔辞は人の死を悼む気持ちを表すとともに、遺族の悲しみを慰めるための言葉でもあります。誰でも読むことが出来るわけではなく、個人と深い縁があった人や親しかった人が遺族から依頼されて弔辞を読みます。

つまり遺族からも信頼されているということですので、もしそれが初めての弔辞の依頼であっても、快く引き受けたいものです。

「正式な弔辞」は大判の奉書紙(厚手の上等な和紙)や巻紙に薄墨で清書をし、それをさらに奉書紙の「上包み」に包んで持参します。もっとも、社葬や団体葬でなければ、白い便箋に万年筆で清書をし、白い一重の封筒に入れる「略式の弔辞」でも構いません

この弔辞を見ながら読み上げるので、いわば原稿が手元にある形になりますが、それでも文章を組み立てる段階では何を伝えたらいいのか困ってしまうこともあるかもしれません。

ここではそんな時のために、弔辞で使うことのできる例文をお伝えします。

 

弔辞を初めて頼まれた時。
困ったら参考にしたい例文集

 

弔辞の長さの目安と、忌み言葉

具体的な弔辞の例文をお伝えする前に、弔辞の長さの目安と、使ってはいけない「忌み言葉」についてご説明します。

弔辞を述べる長さは3分ほどが目安とされています。文字数では800~1,000文字程度が適していますので、まずは語りたい言葉を下書きしてください。下書きをしたら「忌み言葉」が含まれていないかどうかをチェックします。忌み言葉とは「その場で使っては縁起が悪い」とされる言葉です。

○ 忌み言葉のあれこれ

■ 重ね言葉:

「重ね重ね」「たびたび」「ますます」「いよいよ」などの言葉を重ねる表現

■ 不吉な言葉:

「苦しむ」「倒れる」「朽ちる」「浮かばれない」など

■ 不幸が続くことを連想させる言葉:

「なお」「再び」「続く」「追って」「次々」など

また、死や病苦に関するダイレクトな言葉は適切な言葉に言い換えます。

【 死や病苦の言い換え 】

・「死」→「逝去」「永眠」など
・「ご存命」→「ご生前」
・「生きていた頃」→「お元気だった頃」
・「看病」→「看護」「介抱」「手当て」「手を尽くす」など
・「事故」→「不慮の出来事」「災難」「悲運」など

これらの言葉は弔辞の内容だけではなく、遺族との会話の時も使わないように注意します。また内容の注意事項として、政治や宗教の話や、故人に悪い印象をもたせるような話は盛り込まないことも大切です。

 

哀悼の言葉から始める

それでは、ここからは具体的な弔辞の例文についてお伝えします。弔辞の冒頭には「哀悼の言葉」を述べます。

【 弔辞の始まり : 例文① 】

・ 「○○さんのご霊前に、謹んで哀悼の辞を捧げます」

・ 「○○さん、今あなたのご霊前に、深い悲しみと共にお別れの挨拶を捧げます」

などがそれにあたります。

弔辞は故人に対し二人称で呼びかけるような構成になるので、後に続けたい内容によっては、弔辞の始まり文も合わせて変化します。

【 弔辞の始まり : 例文② 】

・ 「○○さん、突然の訃報に言葉がありません」

・ 「○○さん、本日はあなたへの弔辞を読むことになろうとは思いもよらず、まだ信じられない気持ちでいっぱいです」

と、もう少し親しみをこめた言葉でもよいでしょう。また、ご遺族へのお悔やみの言葉から始める弔辞もあります。

【 弔辞の始まり : 例文③ 】

・ 「ご遺族の皆様はさぞお嘆きのことでしょう。心よりお悔やみ申し上げます」

などの言葉で、ご遺族を気遣う思いを伝えてもよいですね。

 

故人との関係・故人との思い出を述べる

弔辞の始まりから続く部分。この部分は、自分と故人との関係をまず述べます。

【 弔辞の中盤 : 例文④ 】

・ 「○○さん、あなたと出会ったのはまだ私たちが小学生の頃でした」

・ 「○○さんとは高校の美術部で知り合いましたね」

など、故人に向かって呼びかけるように話します。その後、故人との思い出話やエピソードを述べます。

例えば…)

「あなたとは幼いころは日が暮れるまで遊び、時には隣町まで冒険の旅に出たりしましたね。

ある時帰り道に迷って半べそをかいた私を、笑顔で『大丈夫、大丈夫』と励まし続けてくれたあなたの顔が今も浮かびます

あの時はあなたの言う通り、叱られたものの無事に家に帰りつくことができましたね。

大人になってもあなたは変わらず、いつも笑顔で私を励ましてくれました。」

などの、故人の人となりがにじみ出ているようなエピソードを述べるのが一般的です。故人がどんな人物だったか、どこを尊敬していたかなど「故人を褒める観点」からまとめてみます。

この時、わざわざ難しい言葉や、使い慣れない美しい言葉を探してくる必要はありません。あくまでの自分の思いをこめた言葉を弔辞にします。

 

故人を亡くした悲しみを述べる

この部分では、故人を亡くした悲しみを述べます。

例えば…)

「1年前に○○さんから病気のことを聞いた時は、きっとすぐに元気になると信じて疑いませんでした。

このようなお別れの日が来ることも考えすらしませんでした。

もうあの笑顔を見ることができないと思うと、悲しくて仕方がありません。」

例文②)

「あなたがいなくなってしまったなんて、未だに信じられません

夢ならばいいのにとさえ思います。

しかしあなたは常に前を向いて歩む人でした。

この現実を受け入れてあなたの思い出とともに、私も前を向いて歩んでいきます。」

など、語りかけるようにまとめます。

全体的に弔辞は「ゆっくり読み上げる」ことが大切ですが、特にこの部分は感情がこみあげて言葉に詰まってしまうかもしれません。それでもなるべく落ち着いて、しっかりと読み上げます。

 

故人への感謝と「冥福」を祈る言葉で締めくくる

弔辞の締めの言葉は、故人への感謝と「冥福」を祈る言葉です。ただし「冥福」は仏式の用語ですので、キリスト教や「冥福」の概念がない浄土真宗の葬儀では用いない方がよいです。

【 弔辞の例文 : 締めくくり 】

・ 「○○さん、今まで本当にありがとうございました。どうぞ安らかにお眠りください

・ 「○○さんありがとう。あなたのことをこれからも忘れません。これまで大変な思いをされた分、ゆっくりお休みください

などの言葉で締めくくります。

 

弔辞を初めて読むあなたに、心を伝えながら礼儀に沿った例文集はいかがでしたでしょうか。最後になりますが、弔辞を読み上げる際の手順についても触れておきます。

司会者に名前を呼ばれたら、遺族・僧侶(神式なら神官、キリスト教式なら司祭)・遺影一礼し、弔辞を開いて(略式なら封筒から出して)読み上げます。読み上げる際は、上包みをたたんだ上や封筒の上に弔辞を載せます

読み上げたら弔辞をたたんで上包みに包みなおすか封筒に入れ、祭壇に向けて供えます

弔辞は遺族をはじめ、葬儀の参列者全員が聞くものです。項目内でも申し上げましたが、難しい言葉や美しい言葉ではなく、あなた自身の言葉で弔辞を述べることが大切です。

場面が場面なだけに難しく思うこともあるかもしれませんが、故人への敬意や感謝の気持ち、そして故人を失った悲しみを素直に伝えるようにすれば、きっと故人も喜んでくれるでしょう。

 

まとめ

初めて頼まれた弔辞。故人を偲ぶ気持ちが伝わる礼儀と例文集

・弔辞の長さの目安は3分で800~1,000時。忌み言葉には要注意
・「突然の訃報に言葉がありません」など、哀悼の言葉から始める
・故人との出会いのきっかけや関係、故人との思い出を述べる
・故人を亡くした悲しみを、語りかけるようにゆっくりと、述べる
・故人への感謝と「冥福」を祈る言葉で締めくくる(「冥福」は仏式)


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