訃報。
突然訪れる悲しい出来事に、胸が引き裂かれる思いをされる方も多いでしょう。まだ心の整理がつかない時に、ご遺族から指名を受けて行うのが弔辞の挨拶です。重責と感じる方もいらっしゃるでしょうが、ぜひ引き受けて、故人との思い出を振り返って下さい。
故人との最後のお別れ、これまでのお礼と共に、ご自身が感じた想いを、弔辞に乗せて話しましょう。今日は「弔辞のマナー」、基本構成順に例文も紹介していきますから、作成時のヒントにして下さい。難しい事はありません。
まずは、故人へ手紙を書くように、話しかけるように記載していけば良いのです。最後に客観的視点で読み返し、伝わりやすい文章、分かりにくい内容でないかチェックすれば大丈夫です。
故人へ対するあなたの気持ちを、あなた自身の言葉で表現して下さいね。
ご自身の立場を紹介しよう。
まず始めに、ご自身の紹介をして下さい。
弔辞を始める前の前置きと言える部分です。
「○○でございます。友人と致しまして、謹んで哀悼の意を表したいと思います。」
「○○でございます。株式会社○○を代表いたしまして、○○様のご逝去を悼み、謹んで告別の言葉を申し上げたいと思います。」
「○○でございます。○○を代表いたしまして、お別れの言葉を述べさせて頂きたいと思います。」等で構いません。
簡単に簡潔に、故人への弔辞を始める前置きとして、ご自身の立場を話して下さい。
故人への哀悼の言葉から始めよう。
弔辞のはじまりは、訃報を聞いた時の自分の気持ちから始めます。聞いた時の驚き、ショック、悲しみ、その感情を言葉に乗せて表現して下さい。
「弔辞 突然の訃報に、驚きと悲しみでいっぱいです。」
「弔辞 ○○さん、こんなに悲しい知らせを受けたのは初めてです。悲しみで涙が止まりません。」
「弔辞 ○月○日、あなたの訃報に接しました。突然の事で、言葉になりません、本当に残念です。」
故人の名前や日付は入れても入れなくても、どちらでも良いですが、入れた方が、より一層印象的な始まりとなるでしょう。
故人と自分の関係を説明しよう。
次に、故人とあなたとの関係を話します。
出会った時のお互いの印象でも構いませんし、どういった関係にあるかの説明でも構いません。
「○○さんと出会ったのは、大学時代でしたね。学部は違ったけれど、同じサークルで、何かと共通の話題で盛り上がりましたね。」
「○○さんとは、なぜか気が合いました。離れてはいたけれど、会えば一瞬にして距離が縮まるような、そんな心が通じる家族の様な存在でした。」
もっと具体的な内容でも構いません。出会った場所や時間、その時の印象など、ご自身の思い出から引き出して言葉に変えて下さい。
<strong故人の人柄、思い出を組み込もう。
故人のエピソードで色付けしていきましょう。人柄や印象的な思い出を話して下さい。
「○○さんは、笑顔がとびきり似合う方でした。どんな時も笑顔で、悩みなんかないんじゃないか?と思える程、いつも場を盛り上げてくれました。」
「○○さんは、心優しい方でした。東京育ちの私とは違い、道端の花や草にまで気をかけるような、本当の優しさです。犬や猫もよく近づいてきていましたね。あなたに会うと、いつも心が癒され、元気になれました。」
故人の人柄を表すような思い出話が最適です。心が和むような、そんな素敵なエピソードを取り入れてみましょう。
故人から得た物、教えて貰った事を話してみよう。
人柄の話題に続き、故人から得た事柄を伝えていきます。
故人と過ごした事で、感じた宝物を話して下さい。
「○○さんが私に教えてくれた事が沢山あります。いつも笑顔で居る事の大切さ、自然と和む空気作り、相手を包む大きな心。どれも皆、○○さんがいたから感じられた事ばかりです。今更だけど、ありがとう。」
「今、○○さんと過ごした時間を思い返しています。面白かった事、楽しかった事、色々な事を一緒に経験しましたね。あなたが居たから、全てが心温まる思い出となっているような気がします。使う言葉や仕草、全てに優しさが感じられました。一生忘れることが出来ません。」
難しく考えず、故人とご自身の間にある印象的なエピソードを選んで話すと良いでしょう。
ご遺族へのお悔やみの言葉を述べましょう。
ご遺族への配慮も必要です。お悔やみの言葉と共に、故人への思い、ご自身の気持ちを伝えましょう。
「○○さんを突然失った御家族のご悲嘆は計り知れない程でありましょう。微力ながらご遺族の方々に出来る限りの事を差し上げられればと思う次第でございます。」
「○○さん、きっと貴方の事だから、静かな世界からご家族、私達を見守ってくれることでしょう。私も出来る限りお力添えしていきたいと思います。」
「ご家族皆様のご心痛をお察し申し上げますと共に、心より哀悼の意を表します。」
長文でも短文でも、どちらでも構いません。弔辞の長さ、文章構成、伝わりやすさを考えながら、選ぶと良いでしょう。
故人への哀悼の言葉で結びましょう。
弔辞締めの言葉で、最後のお別れとして下さい。
「名残はつきないけれど、これからは○○さんの分も時間を大切に過ごしていこうと思います。どうぞ安らかに眠って下さい。」
「心からありがとう。○○さんの笑顔をずっと忘れません。ご冥福をお祈りいたしまして、お別れの言葉とさせていただきます。」
「今日までの間、多くの癒しと優しさをありがとうございました。どうぞ安らかにお眠りください。合掌」
感謝の気持ち、冥福を祈る気持ちで結ぶと良いでしょう。故人への最後の挨拶ですから、胸に浮かぶ言葉を直接言葉に変えて下さいね。
これで基本的な弔辞の流れが分かりましたよね。一般的な弔辞の構成はこの流れで大丈夫ですので、忌み言葉に注意して作成して下さいね。難しい言葉を使用するよりも、話しかけるような直接的な言葉の方が、伝わりやすく印象的な弔辞になります。
ご遺族が”あなた”を選んでくれた事に感謝し、故人との思い出を振り返る、よい機会にして下さい。聞いている方が、あなたと同様に故人を思い返すような、そんな弔辞になると良いですね。