人が亡くなれば執り行われる葬式ですが、参列するところが神道の葬式だと、どうすればよいか不安になりますよね。そもそも、日本で行われている葬式の形式は一つではなく、宗教や宗派によって色々な種類があり、その一つに神道があります。
ですが、一般的な葬式と同じようにすればよいのか、神道独特の何かがあるのかを把握している人は少ないことでしょう。それを知らずに神道の葬式に参列してしまうと、思わぬマナー違反を犯してしまい、恥をかくかもしれません。
また、マナー違反は故人や遺族に対して失礼になってしまいますので、そうならないためにも神道の葬式のマナーや知識を知っておきましょう。
そこで今回は、神道のお葬式で知っておくと安心な基礎知識とマナーをお伝えします。
一般的な葬式とやや違うところがある
葬式の大まかな流れは、一般的なものと大差ありませんが、細かい部分では違うところがあります。なので、神道の葬式の流れを簡単に載せておきます。
・葬式(1日目)
①通夜祭:一般的にはお通夜にあたります。参列者は玉串を奉り拝礼し、神職は祭司(祝詞)を奏上します。
②遷霊祭:通夜祭に続いて行われるもので、部屋を暗くして霊璽(位牌にあたるもので「れいじ」と読む)に神職が故人の霊を移します。
・葬式(2日目)
①葬場祭:一般的に言うところの葬儀・告別式です。行われるのは弔辞の奉呈、弔電の奉読、祭詞奏上、玉串奉奠(たまぐしほうてん)などです。
②火葬祭:火葬の前に通夜祭と同じことを火葬場で行います。
③埋葬祭:遺骨を埋葬するために行うもので、遺骨をお墓に納め、花や銘旗といって故人の名前や職名などを記した旗をお供えします。
④帰家祭:自宅に帰って塩や手水で自分を清め、無事に葬式が終わったことを霊前に報告します。その後、神職をはじめとするお世話になった人を招いて「なおらい」という宴会を実施します。
この流れを見ても分かるように、一般的な葬式ではやらないようなものもあります。なので、神道の葬式に参列する際は、恥をかかないようしっかりと流れを押さえておきましょう。
焼香に変わる儀式がある
神道の葬式には、この形式ならではの独特な儀式があります。それが、玉串奉奠(たまぐしほうてん)と呼ばれるものですが、平たく言えば故人の手向けとして行うもので「焼香」と同じ意味を持ちます。
焼香は机に灰が置いてあり、それを自分でつまんで行っていきますが、玉串奉奠は神職から受け取るところから始まります。玉串奉奠のやり方を以下に記載します。
①神職から両手で玉串を受け取り遺族に一礼します
②玉串を立てるように持ち、時計回りに回転させます
③祭壇側に玉串の根元がくるように台に置きます
④玉串を置いたら祭壇に二礼して音を出さないように手を二回打ったら一礼します
⑤数歩下がって遺族に一礼します
玉串奉奠は遺族や参列者全員に見られますし、必ずやることですので、やり方をよく理解しておきましょう。
数珠は使わない
葬式に必要なものとして真っ先に思い浮かぶのが数珠ですが、神道の葬式では使いません。そもそも、数珠は僧侶がお経を読んだ数を数えるために使用していたもですので、僧侶ではなく神職が執り行う神道では必要ないのです。
ほとんどの人は「葬式には数珠」という図式になっていますので、つい持って行ったり使ってしまいそうになりますが、それはマナー違反です。なので、よく確認してから参列して下さい。
不祝儀袋は注意して選ぶ
不祝儀袋には色んな種類がありますので、選ぶ時には注意しなければなりません。神道の葬式で使えるのは、蓮の花が書かれておらず白黒か双銀の水引がされているものです。
また、表書きには「御霊前」か「御玉串料」と記載します。不祝儀袋にも神道ならではのルールがありますので、選ぶ時は使ってよい不祝儀袋かをよく確認しなければなりません。
服装は一般的なもので
神道の葬式は、一般的なものとは違う部分がところどころ見られますが、服装は同じ格好をすれば大丈夫です。喪服を着用し、服だけでなく靴下やストッキング、靴に小物まで黒で統一します。
また、神道でも小物やアクセサリーは派手なものを避け、結婚指輪以外のアクセサリーは、なるべく着けないようにします。服装のマナーは、一般的な葬式と同じなので「神道だから」と強く意識する必要はありません。
使えない言葉がある
「冥福」「成仏」「供養」という言葉は、一般的な葬式ではよく使われる言葉ですが、神道の葬式では使ってはいけません。これらの言葉は、仏教の用語であるため、神道では使えないのです。
なので、遺族には「御霊(みたま)のご平安をお祈り致します」と言葉をかけるようにしましょう。
このように神道の葬式では、一般的な葬式とは違うところがあります。なので、それを知らずに参列してしまうと、マナー違反を犯してしまうかもしれませんので、参列するまえに確認しておくことが大切です。
また、葬式の流れも違うとこや神道ならではのことがありますので、こちらもよく確認しておきましょう。ただ、参列する際の服装は一般的な葬式と同じ喪服ですので、服装に関しては、そんなに悩むことはありません。
今回は神道の葬式についてお伝えしましたが、日本にはその他にも様々な葬式の形がありまので、よく確認もせず「一般的」な考えで参列すると、痛い目にあう可能性があります。葬式は急に訪れるものですので、参列する準備でバタバタしますが、どういう形の葬式かは事前に調べておきましょう。
まとめ
神道のお葬式で知っておくと安心な知識とマナーは
・一般でいう通夜と葬儀があるが神道ならではのものもある
・「焼香」ではなく「玉串奉奠」で故人に手向けをする
・数珠は使わない
・白黒か双銀の水引で蓮の花が書かれていない不祝儀袋を選ぶ
・服装は一般的な服装でOK
・遺族への声掛けは「御霊のご平安をお祈り致します」と言う