お世話になった恩師や、仲の良かった友人の訃報の知らせを受けたとき、誰しも、あまりのショックに頭の中が真っ白になってしまうでしょう。
できることなら、すぐにでも駆けつけて、遺族の方々をお慰めしたいけれど、「やむを得ない事情」で、どうしても駆けつけることができない・・・そんな場合に、遺族にお送りするお手紙が、「お悔やみ状」です。
「やむを得ない事情」とは、たとえば、出張中や入院中であったり、あるいは身内の結婚式や出産などと重なってしまった時のことをさします。そのような場合は、とりあえずお悔やみの手紙を出して、後日改めて焼香に伺うようにしましょう。
たたし、お悔やみの手紙は、ただお送りすればよいというものではありません。
自分がやり場のない悲しみでいっぱいでいること、この悲しみをどう表現していいのか分からないこと、遺族の方々のお嘆きを考えると、胸がいっぱいになることなどなど。。自分も今、深い悲しみの中にいることを書いて気持ちのこもったお悔やみの手紙になるように心がけましょう。
ここでは、お悔やみ状の書き方の一般常識とは、どんなものかをご説明しましょう。
お悔やみの手紙を送る時に知っておきたい7つの一般常識
その1.お悔やみの手紙は、いつ送ればいいのでしょう?
お悔やみの手紙は、訃報の連絡を受けたら、なるべく早く送るのが常識です。
まずすぐに弔電を打ち、その後に、できるだけ早くお悔やみの手紙を書いて、弔意を表します。その場合は、手紙が、弔電よりも遅く届く可能性がありますが、お悔やみ状に香典を同封して一緒に送ることもできます。(香典については、その5を参照してください。)
なお、もしもあなたが、葬儀や告別式に参列する場合は、原則としてお悔やみ状は出しません。
その2.どんな書き出しがいいのでしょう?
お悔やみのお手紙は、普通の手紙のような頭語「拝啓、謹啓」などの書き出しの言葉はいりません。また、季節をあらわす「時候のあいさつ」も必要ありません。
冒頭は、お悔やみの言葉から書き、知らせを受けて驚き、悲しんでいる自分の心境を素直に表しましょう。たとえば、「○○様のご逝去を本日伺い、目が閉ざされたような、やり場のない悲しみにくれております。」、「○○様が亡くなられたとのお知らせに接し、ただ呆然とするばかりです。」などと、故人への哀悼の念を書きましょう。
また、お悔やみ状に限り、頭語は書きませんが、結語に「合掌」という言葉を使用することもできます。
その3.遺族を励ます言葉を添えましょう
お悔やみ状の中で、悲嘆に暮れている遺族の心情を思いやる言葉を添えることも、大切なマナーの1つです。遺族の心をいたわり
、身体を気遣う言葉を書き添えましょう。
例えば、「ご家族のお嘆きはいかばかりかとお察し申し上げます。」「お悲しみをお慰めすることばもございません。」などと、遺族の気持ちに寄り添ってみたり、「お力落としのことと存じますが、くれぐれもご自愛ください。」などと、遺族の身体を思いやる言葉を添えましょう。
一方で、不吉な状況を連想させる忌み言葉や、「ただただ、くれぐれも、皆々様、ますます、しみじみ」などのような重ね言葉は、使わないように気をつけましょう。相手を不快にさせる表現で、せっかくの手紙が台無しになってしまわないように注意しましょう。
その4.すぐに駆けつけられないことをお詫びしましょう。
すぐにでも駆けつけたいのに、どうしても弔問にお伺いできないことを、お手紙の中でお詫びしましょう。その際に、弔問に伺えない具体的な理由を書く必要はありません。
出張しているときなどは、「ただ今、社用にて○○に滞在しておりまして、ご葬儀には間に合いませんが」などと書き添えてもいいですが、結婚式などの祝い事と重なるときは、「やむを得ない事情で」などと書き、詳細を書くことは控えるようにしましょう。
その5.香典を同封する場合の文面は?
香典を同封するときは、文面の後半で、「心ばかりのものを同封しました。」と一筆書き添えましょう。こうすることで、あとで遺族が香典返しをする時の名簿代わりにもなり、遺族側としては助かるでしょう。
お悔やみのお手紙は、通常であれば、封筒でお送りしますが、香典を同封する場合は、現金書留用の封筒を使います。不祝儀の熨斗袋に、薄墨の筆で「御霊前」または「御供物料」などと書き、そのまま同封して送りましょう。
封筒のあて先は、喪主あて、もしくは、故人の遺族あてに送ります。
その6.お悔やみのお手紙は、はがきでもよいですか?
お悔やみのお手紙は、白い縦書きの便箋に手書きします。不幸が重ならないように、便箋の枚数が2枚にならないように、1枚でまとまるように気をつけて書きましょう。
ペンは、黒の万年筆か黒のボールペンで書き、カラーペンは避けましょう。封筒は、弔辞が重なるのを避けるため、二重になっていない封筒(一重のもの)を使いましょう。
その7.遺族に、故人とあなたの関係が分かるようにしましょう。
遺族が、お悔やみの手紙をいただいた時に、故人とあなたのとの関係が分からず、遺族が困ってしまうということがないように、一言文面に、あなたが誰なのかを書き添えましょう。
例えば、「私は、○○さんと、高校時代の同級生だった者です。」、「昨年のクラス会で10年ぶりにお会いできたときには、あんなに笑顔でいらっしゃったのに・・・」
などと、遺族が、故人とあなたがどんな間柄だったのかを分かるようなニュアンスの文を一言入れるようにしましょう。
いかがでしたでしょうか?
お悔やみのお手紙は、一般的なお手紙と書き方が随分違うということがお分かりいただけたでしょうか?
お悔やみの手紙は、もちろん故人のご冥福をお祈りするのが目的ですが、大げさに悲しみを表現して、かえって遺族を悲しませてしまうことがないように注意しましょう。
あくまでも遺族あてに出す手紙ですので、遺族をお慰めしたい、励ましたいという気持ちをこめた文面にすることが大切です。ですから、故人の人柄をほめたり、さりげなく思い出に触れ、遺族と悲しみを分かち合うことができたら、あなたの思いやりが伝わって、きっと遺族の方々も励まされることでしょう。
真心のこもった、弔意を表すお手紙になるように心がけましょう。
まとめ
お悔やみの手紙を送る時に知っておきたい7つの一般常識
その1.お悔やみの手紙は、いつ送ればいいのでしょう?
その2.どんな書き出しがいいのでしょう?
その3.遺族を励ます言葉を添えましょう。
その4.すぐに駆けつけられないことをお詫びしましょう。
その5.香典を同封する場合の文面は?
その6.お悔やみのお手紙は、はがきでもよいですか?
その7.遺族に、故人とあなたの関係が分かるようにしましょう。