お悔やみの手紙は、訃報が届いた時に、何らかの事情で駆けつけることが出来なかった場合に送られるもの。突然の訃報が届くことは、なんともつらいものです。
故人が親しければ親しいほど、大変な悲しみに襲われますが、これは生きている以上誰にでも起こり得ることですので、しっかりと受け止めなくてはなりません。
もしも通夜や葬儀に駆けつけられない場合など、故人と「最後のお別れ」ができなかった時はできるだけ早く「お悔やみの手紙」を遺族に送り、弔意を示します。
しかし、このようなお悔やみの手紙は、書いたことのない方がほとんどです。いざ文面をしたためようと思っても、何を記したらいいのか悩んでしまいがちです。
そこで、ここではお悔やみの手紙を送る時に、失礼にならない7つのポイントをお伝えします。もちろん「文面のルール」はありますが、大切なのは故人を悼む思いと共に、遺族の心を慰める思いを表すことです。
そのことを忘れずに文章を綴れば、決してお悔やみの手紙のルールは難しくありません。本記事を参考に思いを伝えて下さい。
お悔やみの手紙を送る時。
失礼にならない7つのポイント
お悔やみの手紙を送る時とは?
【 お悔やみの手紙を送る時 】
■ 冒頭にも述べましたが、お悔やみの手紙は通常「訃報を受けても通夜や葬儀に駆けつけることができない場合」に送ります。
・ これは弔問の代わりになるものなので、正式には不幸を知ったらまず弔電を打ち、その後なるべく早い時期に手紙を送るのがマナーです。
お悔やみの手紙は故人が友人・知人の肉親の場合は友人・知人宛てに送りますが、もし友人・知人本人が亡くなった場合は遺族宛てに送ることになります。遺族の名前がわからない時は「故○○様 ご遺族様」という宛名を使います。
また、訃報を葬儀の後に耳にした時にも、お悔やみの手紙で弔意を示します。どちらの形でも、後日弔問に伺う予定があれば、手紙の文面に添えておきます。
■ お悔やみの手紙はあくまでも「略式の挨拶」ですので、後日弔問に伺うことができるのなら、それに越したことはありません。
便箋・封筒に気を配る
お悔やみの手紙は、どのような便箋や封筒を使ってもよい訳ではありません。失礼にならないための大事なポイントになりますので、ぜひ気を配ってください。
【 お悔やみの手紙:便箋と封筒 】
・便箋・封筒は色柄ナシの白いものを用いる。
・封筒は「重なること」を避ける意味で、二重ではなく一重のものを。
・便箋は縦書きとし、黒インクの万年筆または黒ボールペンを用いる。
なお、便箋も封筒と同様「重なること」を避けるため、文面は1枚に収めるという考え方もあります。必ず守るべきマナーではありませんが、念のため覚えておいて下さい。
お悔やみの手紙の書き方の決まり
お悔やみの手紙は、以下のような「文面のルール」に則って構成します。
【 お悔やみの手紙:構成 】
①書き出し
・ 「拝啓」「謹啓」などの頭語や「時候の挨拶」などの前文は不要です。
②お悔やみの言葉
■ 訃報を受けた際の驚きと、遺族に対するお悔やみの言葉を述べます。
・ もし故人が友人・知人の場合は、故人と自分がどのような関係であるかを記しておきます。
③葬儀に駆けつけることができなかったことへのお詫び
・ 欠席の内容を具体的に記す必要はありません。「遠方につき」「やむを得ない事情で」など、ぼかした表現で「最後のお別れ」ができなかったことへのお詫びを記します。
また、葬儀が終わった後などに訃報を知った場合は「訃報を知らなかったお詫び」を記します。それとともに短く故人との思い出やエピソードを記しても良いです。
④故人の冥福を祈る言葉
⑤遺族を気遣う言葉
・ 遺族を慰める言葉や、いたわり励ます言葉を記します。
なお、結語は遺族の宗派が仏教の場合は「合掌」としますが、何も記さなくても失礼にはあたりません。また「追伸」は「故人を追う」という忌み言葉に繋がりますので、お悔やみの手紙においてはNGとなります。
このような表現はNGです
以下のような文章の表現は失礼にあたりますので、十分気をつけて下さい。
【 お悔やみの手紙:NG表現 】
・ 遺族の悲しみを深めるような、大げさな「悲嘆の表現」
・ 長々と故人との思い出話を書き連ねること
・ お悔やみとは全く関係のない話題に触れること(自分の近況も書かないようにします)
なお、例えお悔やみの手紙を送る相手が親しい友人でも、くだけた言葉遣いは避けて、丁寧な言葉を用いて書きます。
「忌み言葉」に気をつけて
こちらも文章の表現に関わることですが、誰でも冠婚葬祭において「忌み言葉」をスピーチやメッセージなどに用いることはNGだと聞いたことがあるのではないでしょうか。
これはお悔やみの手紙でも同じことです。内容を便箋にしたためる前に一度下書きをして「忌み言葉」が含まれていないかチェックをすると、ミスを防ぐことに繋がります。
以下に「忌み言葉」の例をお伝えします。
【 お悔やみの手紙:忌み言葉 】
○ 重ね言葉→「不幸が重なる」ことに繋がります。
・ 「重ね重ね」「ますます」「たびたび」「いよいよ」「次々」など
○ 「不幸の連続」を連想させるような言葉
・ 「続く」「追って」「再び」「再三」「再四」など
また「死ぬ」は「逝去」、「生きていた頃」は「お元気だった頃」に言い換えるなど、ダイレクトな表現を避けることも大切です。
香典を同封する時のポイント
さて、お悔やみの手紙と共に香典を同封したい、という方もいらっしゃるかもしれません。その場合はお金を不祝儀用の「のし袋」に包み、現金書留の封筒で送ればOKです。
【 お悔やみの手紙:香典を同封する 】
■ この場合はお悔やみの手紙の文面の中に、香典を同封したことをさりげなく述べ、霊前に供えてくれるようにお願いをする一文を盛り込むと、尚良いです。
また、香典返しを断りたい時は「どうかお返しのご心配などはご無用にてお願い申し上げます」と記しておきます。
香典の「のし袋」の選び方
最後に香典を包む、不祝儀用の「のし袋」についてご説明します。宗教によって表書きが変わりますが、どの宗教でもOkなのは「御霊前」となります。
【 お悔やみの手紙:香典のし袋の表書き 】
■ 仏式
・ 「御霊前」
・ 「御香典」
・ 「御花料」
・ 「御香料」
・ 「御供物料」
なお「御仏前」は「四十九日の法要」以降の香典に用いる表書きですのでご注意を!
■ キリスト教式
・ 「御霊前」
・ 「御花料」
■ 神式
・ 「御霊前」
・ 「御玉串料」
・ 「御榊料」
なお、のしは「白黒または双銀の結び切り」とし、名前はフルネームを薄墨で記します。
いかがでしたでしょうか。以上、お悔やみの手紙を送る際に、礼儀をもってお悔やみを伝える7つのポイントをお伝えしました。お悔やみの手紙を送ったことがない方にとっては、初めて目にするお話もいくつかあったのではないでしょうか。
とは言え、いくら文面のルールを頭に入れたとしても、遺族の悲しみを思うと何をどのように書いたらよいものやら、筆が進まなくなることも考えられます。故人が自分にとっても親しい方だったらなおのことです。
しかし頑張って文章を綴って、お悔やみの手紙を出すことは礼儀だけではなく、大きな意味もあります。あなたの手紙で、遺族の悲しみに満ちた心も、少し和らぐかもしれませんし、あなたと遺族もより一層、温かな絆で繋がることができるかもしれません。
そして故人もきっと、あなたのその気持ちを喜んでくれるはずです。
まとめ
お悔やみの手紙を書く時に、意識したい7つのマナーとは
・お悔やみの手紙を送るのは、突然の訃報に参列出来なかった場合
・便箋・封筒は色柄ナシの白いものを用いる
・お悔やみの手紙は「文面のルール」に則って構成する
・大げさな悲嘆や、長々とした思い出話、関係ない話はNG表現
・「重ね重ね」「ますます」や「再三」などの「忌み言葉」に注意
・香典の同封は、霊前に供えてくれるようにお願いをする一文を
・香典の「のし袋」の表書き。どの宗教でもOkなのは「御霊前」