ビジネスで使う場面が多い「謙譲語」を完璧に使いこなすコツ

ビジネスで使う場面が多い「謙譲語」を完璧に使いこなすコツ
ビジネスでは謙譲語を使う場面がとても多いもの。スマートに使いこなすことができたら格好良いですよね。学校でも学習する機会のあった敬語ですが、いざビジネスの場面となると、最初からうまくは使えないものです。

また、丁寧に話せばよいということではなく、使い方を誤ってしまうと、相手から失礼だと思われてしまうこともあります。相手を敬ったつもりが、逆に相手を下げてしまう言い回しになることがあるのです。

謙譲語を含む敬語のマナーは、意識して頭に入れようとしなければ、決して自然に身につくものではありません。反面、一度身につけてしまえば、考えることなく使うことができます

そこで今回は、大切な場面で不自然な敬語を使ってしまわないように、謙譲語を使いこなすためのコツをお伝えします。

尊敬語と謙譲語の違いを知っておこう

敬語には尊敬語謙譲語丁寧語がある、ということを知らない方はほとんどいないでしょう。

しかし学校生活では、生徒が先生など目上の人に対して使う敬語は、「~です」「~ます」の丁寧語のみです。社会に出てから使うことの多い尊敬語や謙譲語を使った経験がある方はあまりいないはずです。そこで簡単におさらいすると、

尊敬語は“相手の動作に対して使うもの“

謙譲語は”自分の動作に対して使うもの“

例を挙げると、「どちらにいらっしゃいますか。」が尊敬語、「どちらに伺えばよろしいですか。」が謙譲語です。

ビジネスでは、尊敬語よりも謙譲語を使うシーンの方が多いでしょう。「行きます」「確認します」「わかりました」などのように、自分が行なうことを相手に丁寧に伝えるためには、謙譲語を使いこなすことが必要です。

 

謙譲語の基本的な表現をマスターしよう

謙譲語は、普段使う動詞が、独特の言い回しに変わります。まず、これらをすべてしっかり把握しておきましょう。そうは言っても、ビジネスで自分が行う動作には限りがありますから、覚えられないほど多いものではありません。

使う頻度の多い動詞を、例文とともに挙げていきます。

「行く」→「参る」「伺う」…それでは5時半に伺います。

「来る」→「参る」「伺う」…また明日、こちらに参ります。

「言う」→「申す」…〇〇社の□□と申します。

「聞く」→「伺う」「お聞きする」…○〇と伺っております。

「見る」→「拝見する」…お写真を拝見しました。

「わかる」→「承知する」「かしこまる」…承知しました。かしこまりました。

「食べる」→「いただく」…お先にいただきました。

「知っている」→「存じ上げる」「存じる」…○〇様のお名前は存じ上げております。

「もらう」→「いただく」「頂戴する」…1ついただきました。1つ頂戴しました。

「する」→「いたす」…印刷であれば、私(わたくし)がいたします。

それ以外の動詞は、「お」または「ご」+動詞+「する」または「いたす」がほとんどです。「ご案内いたします」などのように使います。「ご連絡いたします」という使い方は二重敬語となり、本来は正しい敬語ではありませんが、最近では普通に使われるようになりました。

また、よく聞く「おっしゃる」「いらっしゃる」などは尊敬語ということになります。これらを自分の動作に使うと、相手よりも自分を立てて話していることになります。うっかり使ってしまわないように気を付けましょう。

 

身内に謙譲語を使う場合に注意しよう

上司、お客様、取引先など外部の方、目上の方と話す際には、相手の動作には尊敬語を使います。ただし、お客様や取引先の方などの外部の方と話をする際、上司などの身内の方の動作を述べる際には謙譲語を使います

例文を読むとわかりやすいです。

「…と、佐藤部長がおっしゃっていました。」と言ってしまうと、取引先の方よりも、自分の部長を上げて話していることになります。

「…と、部長の佐藤が申しておりました。」というように、上司の敬称は省略し、謙譲語を使うのが正しい言い方です。

慣れていないうちはとても間違えやすいので、十分に気を付けましょう。

 

自然に話せるように練習しよう

頭ではわかっていても、とっさの場面で正しい敬語、謙譲語を使うには慣れが必要です。十分に敬語に慣れていないうちは、極端に言えば簡単な外国語を話す感覚です。

先方へ電話をかけるとき、上司に話をするとき、一呼吸おいてどのような反応が返ってくるかを想像しながら、イメージトレーニングをしておきましょう

しっかり声に出して練習することも大切です。慣れてしまえば、頭で考えるより先に、自然な敬語が話せるようになります。

 

このように、謙譲語を使いこなすには、知識と慣れが必要です。

敬語は、対話でも、メールでも、また手紙でも使用する大切な言語です。正しい謙譲語を使えるというだけで、“仕事ができる人”、“しっかりしている人”という印象を与えることができます

少くらいの間違いなら、大きく仕事に支障が出ることは無いでしょう。しかし、あまりにも適当に敬語を使っていると、相手に不信感や不快感を与えてしまいます。

何より、正しい敬語が使えていると、自分に自信が持てます。初めて会う取引先の方などとも、堂々と話すことができるようになります。完全に自分のものにできれば、口も耳も敬語に慣れて、敬語を使う方がしっくりとくるのがわかりますよ。

ぜひ謙譲語を使いこなして、ビジネス人としてスキルアップしていきましょう。


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