亡くなって一年目にあたる一周忌には、お供え物を持って故人の冥福を祈りつつ、親しかった人たちと思い出を語り合いたいものですよね。そして、亡くなった直後と違い、一周忌の法要までには準備する時間があります。亡くなった方が好きだったものを選んで、お供え物として仏前に供えてあげましょう。
とはいえ、一周忌のお供え物として、故人が好きだったものならどのようなものでも良い、ということではありません。遺族に迷惑をかけるようなものは避けた方がよいでしょう。また、仏教式で一周忌の法要を行うなら、仏教のマナーとしてお供えしていけないものもあります。そこで今回は、一周忌にはお供え物を選ぶ際に知っておきたいお供え物の基準について伝えします。
手間をかけさせない
お葬式は急なことですが、その1年後に営む一周忌は、遺族がかなり前から準備して行います。とはいえ、一周忌の法要の日は、遺族は参列者やお坊さんへの対応などで忙しくしています。そのような遺族に一周忌のお供え物で手間をかけさせてはいけません。
例えば、一周忌のお供え物の定番とも言える生花を持って行く場合、花束にはせず、花屋さんでアレンジしてもらったものを持参しましょう。これは、花束で持参すると、遺族が急いで花瓶を用意したり、その花瓶に活けたりしなければならなくなるからです。
また、例え故人が好きだったとはいえ、重い物やかさばるものを用意して持参すると遺族に迷惑をかけてしまいます。遺族に手間をかけさせないお供え物を用意しましょう。
日持ちする食べ物を
一周忌のお供え物としてよく用いられる物と言えば、焼き菓子などの日持ちのするお菓子が挙げられます。遺族にしてみれば、仏前に供えられたお供え物は、痛んでしまう前に仏前から降ろして遺族が頂くのが一般的です。しかし、一度にたくさん頂いても、食べられる量には限りがあります。
その点、日持ちする食べ物であれば、一周忌後もお供え物を仏前に置いておけて、後日遺族が頂くこともできます。さらに一度に食べきる必要もなく、来客用にも使えるので重宝します。
ただし、お菓子を一周忌のお供え物とするなら、赤やピンクといった派手なものは避けましょう。これは、お葬式に参列する際、アクセサリーや派手な持ち物を避けるのと同じです。
分けられるものを
一周忌のお供え物には、お菓子の他に常温で保存できて日持ちする海苔などの食べ物や、缶入りのジューズなども用いられます。なお、食べ物を選ぶ場合は、個別に包装された物を選んでください。
遺族にとっては、一周忌のお供え物として一度にたくさん頂いても使いきれません。仏前に供した後は、一周忌法要の運営に協力してくれた親戚や知人に配ることもあります。そのときに個別に包装されていれば、配るのも容易です。
また、暑い時期の一周忌のお供え物なら、ゼリーや水羊羹など、冷やして食べるお菓子もおすすめです。ただし、ビールなどのアルコールは遺族に飲める人がいないと迷惑になります。たとえ故人が好きだったとしても、残された遺族に配慮して選んでください。
肉や魚は避ける
仏教の儀式では、殺生をイメージさせるものを避けるのが基本マナーです。もちろん、このマナーは一周忌のお供え物にも当てはまります。例えば、贈り物の定番といえばハムが挙げられますが、これは殺生をイメージさせるのでマナー違反です。もし、故人の好物が肉や魚で、どうしてもお供え物にしたい場合は、一周忌法要時のみ外して仏前に供するなど、遺族と相談してから持参するとよいでしょう。
なお、昔から缶詰は、一周忌のお供え物として使われていました。そのため、肉や魚の缶詰ならマナー違反にはなりません。もし、故人の好物の缶詰ならお供え物にも使えます。また、一周忌のお供え物として生花をアレンジしてもらう際、とげのあるバラは避けるのが一般的です。花屋さんで事情を話して、マナー違反にならないようにアレンジしてもらってください。
お供え物の金額の相場は
一周忌のお供え物を選ぶ際、高価なものを用意してしまっては、遺族に気を使わせてしまいます。かといって、安価なものを仏前にお供えするのは、故人に対して失礼にあたります。そのため、地域の相場を考慮した金額でお供え物を選びましょう。
なお、一般的には、一周忌のお供え物にかける金額は、5千円から1万円と言われています。また、遺族との付き合いによっても、地域によっても変わってきます。もし、迷ったら近所に住む親せきなどと相談して決めてはいかがでしょうか。
そして、もし一周忌に参列できない場合は、一周忌法要の前にお供え物が着くよう送るのが一般的です。また、一周忌法要の際に仏前に供えてほしいと、遺族に依頼するお手紙を添えてください。なお、香典は現金書留で送ります。お供え物といっしょに宅配便などでは送れないので注意してください。
さて、一周忌にはお供え物を選ぶ際に知っておきたいお供え物の基準についてお伝えしました。
一周忌に限らず何かを贈るからには、贈った相手に喜んでもらいたいものです。とはいえ、一周忌のお供え物は、亡くなった方に贈ったものでも、実際に受け取るのは残された遺族です。亡くなった方に喜んでもらうと同時に、遺族にも喜んでもらえるものをお供え物として選びましょう。
また、仏教の一周忌法要の場に置かれることも考えなければなりません。多くの人の目がある以上、マナーを守ったものを用意しないと、恥をかいてしまうこともあります。ぜひ、マナーをまもりつつ、遺族にも喜んでもらえるお供え物を持参して一周忌法要に参列してください。
まとめ
一周忌のお供え物を選ぶ際に知っておきたい基準とは
・遺族に手間をかけさせないものを選ぼう
・焼き菓子など、日持ちするものを選ぼう
・個別に包装された分けられるものを選ぼう
・仏教のマナー違反になる肉や魚は避けよう
・お供え物の金額にも配慮をしよう