挨拶文の基礎知識☆シーン別7つの例文と心得

挨拶文の基礎知識☆シーン別7つの例文と心得

挨拶文は日本人ならではの、風情溢れるマナーです。はっきりとした四季が楽しめる日本では、お手紙や挨拶状を執筆する際は、それらの季節の挨拶文を添えるのが一般的です。決まり文句のように見える季節の挨拶文ですが、実は奥が深くもあります

お中元やお歳暮に添えるお手紙、また結婚式の招待状暑中見舞いに寒中見舞いなど、その挨拶状により、季節の挨拶文を考える必要があるのをご存知ですか?

メールの普及と、ネット注文のギフトが中心となった現在では、挨拶文自体が暮らしから離れてきたため、実は基本的な書き方を知らない人々も多くなりました。けれども、そんな今だからこそ、粋に挨拶文を添えたメッセージを送ってみませんか?

ただ挨拶状の種類によっては、季節の挨拶文は記載すべきではない場合もあります。そこで本記事では、昔ながらの挨拶文を添えるための、効果的な場面に応じた基本マナーを、お伝えします。

それぞれの挨拶状を書く際、どのような季節の一文を挿入するべきか、例文を挙げながらポイントをお伝えして参ります。挨拶状を書くけれど、どのような出だしにしてよいのか分からないという方は、ぜひ本記事を参考にしてくださいね。

 

挨拶文の基礎知識☆
シーン別7つの例文と心得

 

お中元は送る時期によって、挨拶文も変化

日頃お世話になっている方へ、お礼の気持ちを込めて贈るお中元、もし送り状を添える場合は、文頭に季節の挨拶文を入れましょう。その際、お中元を送る月によって挨拶文は微妙に異なります。

【お中元を贈る季節によって違う、挨拶文】

★ 6月頃に送る場合
・ 初夏を思わせる「薄暑」「向暑」など
・「麦秋の候、皆様にはお変わりなくお元気でお過ごしのことと存じます」

★ 7月に送る場合
・ 夏の一番暑い季節をにおわせる季語「炎暑」「盛夏」など
・「炎暑の候、皆様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます」

挨拶文は基本的に季節を感じさせるものですので、夏の暑さの様子に合わせて、このように言葉を使い分けます。

 

お歳暮の挨拶文の相手別の使い分け

11月の下旬から12月にかけて一年の感謝の気持ちを添えて贈るお歳暮も、添え状をつけるのが好ましいです。その際、11月と12月の季語を入れるのが一般的です。

【お歳暮の挨拶文に適した言葉】

★ 11月であれば秋を感じさせる言葉を。
「晩秋の候、落ち葉が風に舞う季節となりました」と添えるのが美しいでしょう。

★ 12月に親しい方へ贈る場合には…。
「師走に入り本年も押し詰まってまいりましたが、ご家族の皆さまはいかがおすごしでしょうか。」と述べると好感度も良いはず。

季節の言葉なども、贈る方によって少しアレンジするのがお歳暮の挨拶文といえます。

 

お悔やみのお手紙の注意事項

知り合いの訃報を受けながら、葬儀に参列できない時に、お悔やみの手紙を送る場合があります。この場合もお手紙ですから、ついつい季節の挨拶文を入れたくなりますが、お葬式にまつわる手紙には、特別なマナーがあります。

■ お悔やみの手紙では、季節の挨拶文は記載しないのがマナーです。

文頭から、お悔やみの言葉をまず述べ、故人に哀悼の意を捧げる方法が、本来のマナーです。

■お悔やみ文の例)

「〇〇さまのご急逝のお知らせを受け、信じられない思いでいっぱいです」、また「このたびは〇〇さんのご逝去の訃報に接し、ただただ呆然としております」

など。

このように、通常の手紙などで挿入する頭語や季節の言葉は、省略するようにします。お悔やみ文は訃報を聞いたら出来るだけ早く贈ります。そしてお通夜やお葬式に参列できずに、お悔やみの手紙を出したとしても、関係性によっては四十七日までには、御霊前に手を合わせられるよう、心がけると、相手にも真心が伝わります。

 

結婚式の招待状にも、挨拶文を

結婚式の招待状を出す際も、季節の挨拶文は挿入します。まずは文の始まりに、招待状を出す季節に沿った文面を入れるとスムーズです。

【結婚式の招待状で適切な、挨拶文】

「〇〇の候 皆様には益々ご清祥のこととお慶び申し上げます」

が適切です。

そして、〇〇の部分には、招待状を送る月の季語を入れるのが一般的です。

【月ごとの挨拶文に入れる季語】

・1月「厳寒の候」・2月「梅花の候」・3月「軽暖の候」・4月「陽春の候」・5月「新緑の候」・6月「初夏の候」

・7月「盛夏の候」・8月「残暑の候」・9月「爽秋の候」・10月「秋晴の候」・11月「初霜の候」・12月「師走の候」

など。

ここでの注意点は挙式をする月ではなく、あくまでも招待状がゲストに届く月の季節の言葉を入れることです。

 

暑中見舞いでの挨拶文の基本

暑い夏、暑中見舞いとして、お手紙を送る人々は今でも多いです。体力を消耗し体調を崩すことがある夏、知り合いの体調を気遣い家を訪問することが一般的でした。現在では、暑中見舞いというハガキでのご挨拶へと変化していますね。そのような暑中見舞いでも、季節の挨拶文はもちろん挿入します。

【暑中お見舞いでの挨拶文】

★ まずは、「暑中お見舞い申し上げます」と述べます。

その後に季節の言葉が続きます。

例)

梅雨が明けたとたんに、猛烈な暑さとなりましたが、皆様はお健やかでいらっしゃいますか」

炎暑ことのほかきびしい暑さが続いておりますが、みなさまお変わりなくお過ごしのことと存じます」

など。

暑中お見舞いをする時期は、夏バテなどが気になる猛暑の季節。体調を気遣う言葉を、季節の言葉と織り交ぜる文面が一般的です。

 

残暑見舞いでの挨拶文の書き方とは

残暑見舞いのハガキについては、挨拶文よりも前に、現在の人々が間違えやすい注意事項があります。

★ 立秋である8月7日から、8月末までに出すことが習わしであるのが、残暑見舞いです。

暦の上ではもう秋であるにもかかわらず、続く暑さに体調を気遣うためのお見舞いとして送ります。もちろん、文頭には季節の挨拶文も挿入します。まだまだ続く暑さに身体を気遣う、文面を織り交ぜます。

【残暑見舞いでの挨拶文の事例】

立秋とは名ばかりの暑さが続く毎日ですが、皆さまはお分かりなくお過ごしでしょうか。」

朝夕に、吹き始めた涼しい風に、秋の気配を感じる頃となりました。」

など。

8月と言えば夏真っ只中ですが、残暑見舞いでは暦上の秋に出す、と言う意味合いが込められています。そのため、体調を気遣う文面とともに、秋を思わせる挨拶文を入れるのが一般的です。

 

寒中見舞いでの挨拶文の書き方

1年の中で最も寒い季節を迎え、相手の体調を気遣い、近況を知らせるのが寒中見舞いです。寒中見舞いは、1月1日から1月7日くらいまでに送るのが一般的です。

【寒中見舞いでの挨拶文の注意事項】

★ 喪中の方へ年賀状の代わりに、寒中見舞いを送る場合もあります。その場合は、季節の挨拶文を入れないのがマナーです。

しかしそれ以外の場合では、季節の挨拶文は入れるのが一般的です。

【寒中見舞いでの挨拶文の例文】

厳寒の侯、いかがお過ごしでしょうか」

本格的な寒さを迎える今日このごろ 皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか」

などと述べましょう。

 

いかがでしたでしょうか。今回はメールや電話が主流となった今だからこそ、キチンとしたマナーで送りたい、手紙に添える挨拶文の基本的な心得を、7つの場面を想定してお伝えしました。季節の一文を入れるべき挨拶文や、その時々に応じた内容が伝わったのではないでしょうか。

お手紙の文頭に、挨拶文を一言入れるのと入れないのでは、相手に与える印象はずいぶんと違います。特にシニア世代の人々へは、このような挨拶文マナーをしっかりと抑えた手紙を添えると、好感度も高いです。日本人には共通した相手を気遣う言葉でもありますので、ぜひひと言添えて手紙やお中元、お歳暮を送りたいですね。

また挨拶文を文頭に入れず、そのまま本題を述べると、業務的でかたい印象を相手に与えてしまいます。しかし、挨拶文を文頭に入れて間を置くことで、ゆったりと読みやすい手紙になります。日本人らしい心遣いでもあります。

ぜひ本記事でお伝えした文例を、ご自身のパターンにアレンジし、素敵な挨拶状を作成してください。

 

まとめ

手紙やメッセージを送る時に添えたい、挨拶文の基礎知識

・お中元は送る月によって微妙に違う!季語に気を付けて
・お歳暮の挨拶文は贈る相手によってちょっとアレンジを
・まずは哀悼の念を!お悔やみのお手紙には挨拶文は必要なし
・結婚式の招待状には月ごとの季節の言葉を
・季節の言葉と共に。暑中見舞いには体調を気遣う一言を
・残暑見舞いには秋を思わせる季語を添えて
・寒中見舞いにも季語を!喪中の方には季語NG!


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